ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

SNSで知らずに破壊的カルトの被害を広げているかもしれない!

<雑談>2018年6月22日

【怪しいアカウントにフォローされたら】

どうも、日本基督教団華陽教会で牧師をしている柳本伸良です。

 

今回は、SNSにおける破壊的カルトの被害拡大を防ぐための話をします。

 

 目次

 

ちなみにブログを初めてから24記事目で、ようやく礼拝メッセージ以外の記事を書いています……

 

実は先日、Twitterでこんなツイートを投稿しました。

 

 

その後……

 

「そのようなこともあるんですね」

「私も小まめにチェックしてます」

「フォロワーを見たら怪しそうなのがあって、調べてみたら有名なカルトの団体の方達でした!」

 

……といったコメントをいただいたので、もう少し詳しくブログの方で書いておこうかなと思いました。

 

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【破壊的カルトのSNSフォローは活発】

実は、私がSNS上で破壊的カルトの勧誘を警戒するようになったのは、以前こちらの記事を紹介されていたからです。非常に分かりやすい記事なのでぜひご覧ください。

 

blog.goo.ne.jp

SNS上の勧誘が活発なのは、キリスト教系の破壊的カルトだけではありません。リンクのように、他の健全な宗教団体からも注意が呼びかけられています。

 

ちなみに、私がTwitterで改めてこの投稿をしたきっかけは、

 

(1)繰り返し自分が破壊的カルトのメンバーと思われる人からフォローされる

(2)フォローしてきた相手のツイートに「◯◯さんと◯◯さんもフォローされています」と出てくる。

(3)どれが怪しいアカウントなのか判断しにくくて、ブロックできない人が多いと思われる。

 

といった理由からです。

 

まず、(1)繰り返し自分が破壊的カルトのメンバーと思われる人からフォローされる……については最後のツイートにも載せましたが、だいたい私は一ヶ月に1〜2人程度、破壊的カルトと思われる団体、メンバーからフォローされています。

 

ちなみに、神学部の学生だった頃は1年で8回、破壊的カルトからの勧誘を受けるという脅威の引き寄せ体質でした。

 

(*たまたま、破壊的カルトの脱会活動をしている牧師先生から勧誘の手口を聞いていたので気づくことができました……)

 

Twitterを始めた当初は、プロフィールに「牧師」「教会」と載せていたためか、立て続けにそれらのアカウントからフォローされました。

 

なんと、最初に来たフォローはアカウント開設4時間後くらいです。

 

おそらく、上記のキーワードで検索をかけて、手当たり次第フォローしているんだと思います。

 

また、複数のキリスト教関連団体や教会のアカウントをフォローしてから、急激にフォローされる機会が増えた時期もありました。

 

どうやら、フォローした相手のフォロワーを辿ってどんどんフォローする……という手順を踏んでいるみたいです。

 

「怪しいアカウントだけど自分がフォローしなければ、メッセージのやりとりをしなければ大丈夫!」と思われるかもしれませんが、自分が大丈夫でも、自分のフォロワーさんは大丈夫ではありません。

 

怪しいかどうか判断する知識を、自分と同様にみんなが持っているわけではないからです。(判断の仕方については後述します)

 

【フォローされたままにしないで!】

次に、(2)フォローしてきた相手のツイートに「◯◯さんと◯◯さんもフォローされています」と出てくる……についてですが、本当によく出てきます。

 

なんなら、フォローされているどころか、フォローし返している場合もあります。

 

特に、いくつかの教会や牧師先生のフォロワーさんに、傷害事件・性的被害・金銭的被害を起こした団体のメンバーを見かけることが増えて、かなり危惧しています。

 

もしかしたら、「健全なキリスト教団体のメンバーではない」と知った上で、「自分との関わりを通して健全な信仰に導かれるかもしれない」と思っている方がおられるかもしれません。

 

その方にはどうか理解していただきたいのですが、先ほども言ったように、そのメンバーはこちらのフォロワーをフォローしていきます。

 

何なら、「私もクリスチャンです」「私たちのLINEのグループに入りませんか?」「今度◯◯で聖書研究の合宿があるので、ぜひ一緒に行きましょう!」とメッセージを送り、あなたのフォロワーを自分たちの団体へ引き込んでいるかもしれません。(もう既に!)

 

被害を拡大しないため、自分のフォロワーを守るため、どうか思い切ってブロックしてください。

 

破壊的カルトの団体に引き込まれた人たちは、確かに被害者です。助けてあげたくなります。

 

しかし、マインド・コントロールを受けている場合、それは依存症と同様、ふとしたきっかけで簡単に解けるものではありません。

 

むしろ、「ブロックされない」「他の人への勧誘が成功する」ことを通して、これは神の導きだ……とますます、マインド・コントロールを強めてしまうことになります。

 

「被害者が加害者になる」という過程を一つでも多く潰してあげてください。それが、ブロックする相手への助けにもなります。

 

ついでに言うと、そもそもカルトメンバーのアカウントは、「勧誘用に作られたアカウント」つまり、フォローやメッセージを送る以外に使われない可能性もあります。

 

どんなに、自分の Tweetやタイムラインで脱会のきっかけとなる言葉が流れていても、それらはだいたい見られてません。

 

破壊的カルトは、基本的に「情報コントロール」を行います。自分たちに都合の悪い情報を信者に「見せない」「出さない」「信じさせない」手法です。

 

SNSも、勧誘目的以外にほとんど使わせていないと思います。

 

したがって、フォローしてきた相手にどうしても「マインド・コントロールが解けるきっかけを与えたい!」という場合は……

 

その方が所属する団体の起こした反社会的な事件、暴行、被害などが載っている記事(できれば写真つき)を添付してメッセージで送った後、即ブロック!……という方法をとるくらいしか思いつきません。

 

ただ、顔や本名を晒してSNSをしている人の場合は、それによってどんな反応が返ってくるか分からないので、おすすめしません。

 

基本的にはブロックして無視が自分にも、相手にも、自分のフォロワーさんにも一番良い方法だと思います。

 

また、フォロワーが100や1000を超える企業系アカウントなどは、一々チェックするのが大変だと思います。

 

ですので、せめてフォローバックする際には、相手のプロフィール、タイムラインを確認して、危険なアカウントでないことを確かめてください。

 

もちろん、「フォローした後で相手が破壊的な集団のメンバーになってしまった場合」「アカウントを乗っ取られた場合」もあるので、限界はあります。

 

私もフォロワーさんの変化に気づかない可能性があるので、なるべく一人一人が知識を持つ必要があります。

 

【破壊的カルトのメンバーかどうかの判断】

そこで、(3)どれが怪しいアカウントなのか判断しにくくて、ブロックできない……という問題が出て来ます。

 

最後に、これらの怪しいアカウントの判断の仕方を説明します。

 

その前に、「破壊的カルトとは何か?」を少し確認しておきます。

 

巷でもよく「カルト」という言葉が「異端」や「邪教」の意味で使われていることがありますが、

 

本来、ある集団をカルトと呼ぶ基準は、その集団の教義や儀礼が<奇異>に見えるかどうかであってはなりません。

 

あくまで、その集団が個人の自由と尊厳を侵害し、社会的に重大な弊害をもたらしているかどうかであるべきです。*1

 

「破壊的カルト」と呼ぶ場合には、単に熱狂的で少数の信者が集まった集団を指すのではなく、身体的・精神的・金銭的被害を生み出す反社会的な集団のことを指します。

 

 

www.jscpr.org

上の日本脱カルト協会のホームページでは、『集団健康度チェック』という表を公開しています。こちらが、破壊的カルトかどうかを判断する一つの基準になります。

 

この『集団健康度チェック』を見ると分かるように、実は、破壊的な要素のない集団・団体はほとんどありません。

 

自分の通っている教会、会社、部活、セミナーでも、いくつか当てはまる要素を見つけることができるでしょう。

 

「自分にとって異質、受け入れられない団体だから即カルト!」と言うのは非常に乱暴なわけです。

 

どこから「破壊的カルト」と呼ぶべきかは、それぞれのケースによって慎重に判断しなければならないのですが、誰でも判断しやすい基準をいくつか挙げておきます。

 

1)現在、相談窓口のある「被害者の会」が存在する。

2)その団体による殺人・暴行・性的被害・金銭的被害が出ている。

3)正体や活動内容を隠したり偽って勧誘している。

 

私がSNS上で「破壊的カルト」として対応しているのも、特に1)と2)が確認できた団体です。

 

ちなみに、日本脱カルト協会の理事である川島堅二先生の宗教学研究室『カルト・セクト宗教情報センター』もたいへん参考になります。

 

川島堅二の宗教学研究室 Religious Studies

 

こちらには、いくつか注意するべき団体名も挙げられています。

 

ただし、破壊的カルトは度々、団体名を変えて活動していることがあるので、必ずしも「団体名+被害or事件」では検索にヒットしない可能性があります。

 

気になった団体については、上記の機関や相談窓口で確認するのがいいでしょう。

 

【SNS上で破壊的カルトの危険があるアカウントを見分けるコツ】

ここで、SNS上で怪しいアカウントを見分けるコツを一つ紹介しておきます。

 

私が「怪しいな」と感じるアカウントのポイントは、

 

(1)特定の団体のリツイートしかしていない。

(2)個人のアカウントなのに個人的なつぶやきが一切ない。

(3)「私もクリスチャンです」とメッセージを送ってくるが、所属教会を明かさない。

 

これらを満たす場合、勧誘目的のアカウントの可能性が高いです。

 

下記のような手順で判断していきます。

 

・リツイートされている団体名+被害or事件で検索する。

           ↓

・ヒットしなければ、「団体名+変更or別名」で検索する。

           ↓

・これでヒットしたら、その団体名+被害or事件で検索し直す。

           ↓

・刑事事件、裁判、被害者の会などが出てきたら、ブロックする。

 

以上です。SNSにおける破壊的カルトの勧誘は非常に活発です。

 

私の知っている教会のFacebookページが、ある団体に乗っ取られてしまったこともあります。

 

おそらく、どこかからID(たぶん教会のホームページに載せている電話番号かメールアドレスをそのまま使っていたのだと思います)とパスワードが漏れてしまったのでしょう。

 

Facebookの場合、個人のアカウントであれば、その人をフォローする3つ以上のアカウントが揃えば、乗っ取ることができてしまいます。

 

つまり、面識のない破壊的カルトのメンバーと3名以上つながってしまったら、自分のアカウントが乗っ取られてしまう可能性もあるのです。

 

さらにそれが、自分とつながっている友人、知人にも被害を及ぼす悪循環になっていきます。

 

「そんなに危険なら、やっぱりSNSは止めておこうかな……」と思われる教会、牧師も出てくるでしょう。

 

確かに、対策がどうしてもできないようなら止めた方がいいかもしれません。

 

ただ、インターネット上が破壊的カルトの独壇場になってしまったら、ますます「健全なキリスト教会のアカウント」との差が分からなくなってしまい、被害を加速させる恐れもあります。

 

多くの教会や教会関係者のアカウントが色んな人の目に触れることで、破壊的カルトのアカウントに対する違和感を、少しでも覚えやすくできるかもしれません。

 

そういう意味で、できれば現在SNSのアカウントを持っている教会や関係者の方には、注意するべき点を踏まえて対策し、運営を続けてもらえたら嬉しいなと思っています。

 

ここまで長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。また、破壊的カルトについては後日詳しく書きたいと思います。

*1:浅見定雄、2002