聖餐式の休止にあたって
愛餐式もできなくなったことを受けて
新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの教会が一時期、在宅礼拝を行なっていましたが、私たちの教会を含め、少しずつ会衆が集まる礼拝を再開するところも増えています。
しかし、接触感染、飛沫感染のリスクが高い聖餐式は、未だほとんどの教会が再開できずにいると思います。私たちの教会でも、在宅礼拝期間中に聖餐式ができなくなったことを受け、各家庭でも行える「愛餐式」の動画を配信していました。
ところが、会衆の集まる礼拝を再開したことによって、大勢で食卓を囲むことによる感染リスクが懸念され、礼拝の中で聖餐式も愛餐式もできなくなってしまいました。そこで今回、聖餐式と愛餐式の式文を基に、新しく「食卓を囲めない日の祈り」を作成してみました。
「食卓を囲めない日の祈り」とは
これは、感染症の流行によって聖餐式ができない日曜日や、食事が喉を通らない方の病床訪問の際、聖餐式の代わりに使用できるものとして作ってみた式文です。ライブ配信を通して自宅で礼拝している方も、教会に集まった方も、信仰を告白した方も、告白していない方も、共に祈りを合わせることができます。
直接飲んだり、食べたりすることができない間も、神様が備える「見えないパン」「見えない水」である命の言葉をいただいて、神の国の恵みを分かち合いたいと思います。
食卓を囲めない日の祈り(式文)
賛美歌
ただいまより、「食卓を囲めない日の祈り」を始めます。最初に、オンライン賛美歌「枯れた谷に鹿が」(©️柳本和良)を3回繰り返して歌いましょう。
(*感染症に配慮する必要がある場合は、マスクをしたまま歌うか、奏楽に合わせて司式者が歌詞を朗読する)
招 き
かつて、私たちの主イエス・キリストは、パンを求めて集まってきた群衆に言われました。「わたしは命のパンである。わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない。(ヨハネ6:35)」「わたしが父によって生きるように、わたしを食べる者もわたしによって生きる。(ヨハネ6:57)」
また、主は水を求めてやって来たサマリアの女性に言われました。「わたしが与える水を飲む者は、決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。(ヨハネ4:14)」
主は、荒れ野で悪魔の誘惑を受け、空腹の中「石がパンになるよう命じたらどうだ」と言われたとき、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる(マタイ4:4)」と答えました。そうして悪魔は離れ去り、主はガリラヤに帰られて、人々に神の言葉を与えました。
今、様々な事情で食卓を囲めない私たちに、主は「命のパン」「命の水」である神の言葉を与えます。食事が喉を通らず水も飲めない人々に、みんなと一緒に食事を味わえない人々に、神様は新しい糧をもたらします。
共に、聖書を通して与えられた神の恵み、神の祝福を分かち合う、見えない食卓を囲みましょう。
(*訪問礼拝でこれを行う場合は、ここに「聖書朗読」と「メッセージ」が入る。礼拝の中で行う場合は、「食卓を囲めない日の祈り」を「聖書朗読」と「メッセージ」の後、感謝の応答の部分に配置する。)
感謝の祈り
恵みと祝福の源である私たちの神様、あなたは私たちの欠乏を満たす「命のパン」「命の水」をお与えになります。孤独に共感を、対立に連帯を、恐怖に信頼をもたらします。あなたは私たちを死の恐れから解放するため、御子イエス・キリストを遣わされ、共に渇き、共に飢え、共に痛みを負われました。
ご自分が渇いているときに、孤立した女性に水を求め、新しいつながりを与えました。ご自分が飢えているときに、神の言葉に信頼し、人々に希望を示しました。パンがなく、水がなく、共に食卓を囲めないとき、あなたの言葉一つ一つは、私たちに見えない糧をもたらします。
どうか今、あなたから受けた恵みと祝福を、私たちも互いに分け合う者とならせてください。あなたの愛と平和がこの世界を満たしますように。アーメン。
とりなし
共に、「命のパン」「命の水」である「神の言葉」を分け合いましょう。皆さんの隣に、前に、後ろにいる人、あるいはそばに居られない人、共に集まれない人のために、あなたが受け取った神の祝福を宣言しましょう。
司式者:主は言われます。
一 同:「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる(ルカ23:43)」
司式者:私たちも知らせましょう。
一 同:「主があなたと共におられます」
司式者:主は言われます。
一 同:「あなたがたに平和があるように(ヨハネ20:19)」
司式者:私たちも答えましょう。
一 同:「主のお言葉どおりになりますように」
応答の祈り
感謝の応答として、共に祈りをささげましょう。
信仰と希望と愛をもたらす私たちの神様、今ここで、食卓を囲めない日に、「命のパン」「命の水」であるあなたの言葉を分かち合えたことを感謝致します。日々、あなたがもたらされる日用の糧も、心を養う御言葉の糧も、必要なとき、必要な仕方で備えられてきました。
足りない者には与える者が、失くした者には見つける者が、一人の者にはつながる者がもたらされます。どうか今、私自身も、あなたからいただくつながり、発見、恵みの数々を、共に分け合う者として、送り出してください。
主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
讃美歌
オンライン讃美歌「あなたの内なる人を」(©️柳本和良)を3回繰り返して歌いましょう。
(*感染症に配慮する必要がある場合は、マスクをしたまま歌うか、奏楽に合わせて司式者が歌詞を朗読する)