ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『ここに集まるはずがない』 クリスマス・イブ演奏礼拝

クリスマス・イブ礼拝 2020年12月24日


クリスマス・イブ演奏礼拝(日本キリスト教団 華陽教会)2020年12月24日

 

案 内

メリー・クリスマス! ようこそ、いらっしゃいました。本日は、クリスマス・イブの夜ですが、感染症の流行に伴い、例年のような会衆賛美を中心とするキャンドル・サービスができなくなっています。

 

そこで、飛沫感染のリスクを下げて、会衆賛美を1曲のみに限定し、教会員の有志による演奏をささげる礼拝として、共に楽しみながらイエス様の誕生を祝いたいと思います。

 

いわゆるコンサートではなく、自分にできる精一杯の演奏をささげる礼拝なので、どうぞ皆さんもご一緒に、感謝の気持ちをささげていただけると嬉しいです。それでは、招きの言葉に耳を傾けましょう。

 

招 詞 イザヤ書9:5

ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、力ある神/永遠の父、平和の君」と唱えられる。

 

前 奏 Cesar Franck “VIEUX NOEL”

最初に、Cesar Franck の“VIEUX NOEL”を聞いて、喜びを分かち合う準備をしましょう。

 

祈 祷

共に祈りを合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である私たちの神様。クリスマスを前に、様々な事情で、思いきり歌うことができない夜、新しい形で喜びを分かち合い、あなたに感謝をささげる機会が与えられました。

◆どうか今、集まることができない人も、それぞれの場で、良い知らせを分かち合い、この日を豊かに記念することができるように導いてください。そして、大きな困難と虚無に覆われた人たちを、あなたの暖かい光で照らしてください。

◆人と人との間におられる、私たちの友なる主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖 書 マタイによる福音書2:1〜10

イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。『ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた。

 

外国から呼ばれる

救い主が誕生した日、最初にイエス様を礼拝したのは、かつて、イスラエルを攻め滅ぼしたアッシリアやバビロニアのある地域、東の国からやってきた占星術の学者たちでした。

 

彼らは、星を占いに用いる異教の国の祭司でもありました。本来、ユダヤ人と一緒に、神の子を礼拝するはずのない人たちでした。クリスマスは、相入れないはずの人たちが集められ、共に救い主の訪れを喜んだ日でもあるんです。

 

神様からもたらされた、全ての国への呼びかけに応え、ラウダーテドミヌム “Laudate Dominum”「全ての国よ、主を賛美せよ」の演奏に合わせて、詩編117編の朗読に耳を傾けましょう。

 

演 奏 Laudate Dominum「全ての国よ、主を賛美せよ」

詩編117編(新共同訳より抜粋)

すべての国よ、主を賛美せよ。

すべての民よ、主をほめたたえよ。

主の慈しみとまことはとこしえに。

わたしたちを超えて力強い。ハレルヤ。

 

聖 書 ルカによる福音書2:1〜7

そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。

 

田舎から呼ばれる

救い主の誕生を最初に祝ったのは誰だったか? それは、お腹を痛めて産んだ母と、彼女に付き添っていた夫に他ならないでしょう。ところが、この2人が住んでいたのは、ガリラヤのナザレという村にある、貧しい大工の家でした。

 

特に裕福な家でも、祭司の家でもありません。普通なら、救い主を産むために呼び出されるはずのない人たちが、田舎からベツレヘムへ呼び出され、家畜小屋で赤ちゃんを産みました。

 

本来、神の子を託されるとしたら、経験を積んだ助産師や、王に仕える召使いでしょう。しかし、神様が自分の独り子を託したのは、まともな宿にも泊まれない、若くて貧しい夫婦でした。

 

2人は救い主の赤ん坊を寝かしつけます。誕生したばかりの命を、王が狙っている中で、守る力もないように見えるマリアとヨセフが、子守唄を歌って、赤ちゃんを安心させていました。

 

演 奏  讃美歌21-272番「おやすみなさい」

共に、讃美歌21-272番「おやすみなさい」の演奏を聞いて、イエス様を託された2人の子守唄に、思いを馳せましょう。

 

聖 書 ルカによる福音書2:8〜17

その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。

 

屋外から呼ばれる

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congerdesignによるPixabayからの画像

メッセージ

救い主の誕生を祝うため、呼び集められた人の中に、野宿している羊飼いがいました。今で言う3K(きつい、汚い、危険)な仕事をしている人たちです。当然、動物の匂いが染み付き、衛生的にも、生まれたばかりの赤ん坊へ近づけたくない相手でした。

 

ところが、神様はこの人たちに、ご自分の独り子を見に来なさいと言われます。神殿で仕事をする祭司でも、会堂で教える先生でもなく、なかなか安息日を守れない、礼拝をみんなと守れない人たちに、「祝いに来てくれ」と言うんです。

 

羊飼いたちもびっくりしました。「本当に俺たちが行っていいの?」と思ったでしょう。でも、神様は天使を通して、彼らにこう言われます。「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう」

 

飼い葉桶、それは本来、羊や牛のご飯を入れる餌箱のことです。羊飼いも、満足にベッドが用意できないとき、そこへ自分たちの赤ちゃんを寝かせました。本来、新しい王、神の子である救い主が生まれたら、清潔なベッドに寝かせると思っていたのに、自分たちと同じベッドに、赤ちゃんが寝ていると言われます。

 

本当に、俺たちが生きている場所に、救い主がやって来た。私たちが集まれない場所じゃなくて、集まれる場所でお生まれになった……そのことを知った羊飼いは、大喜びでイエス様を拝みに行きました。

 

そう、クリスマスの夜、救い主の誕生を祝いに集められた人たちは、本来そこに集まるはずがない人たちでした。かつて対立していた者、爪弾きにされていた者、大事なものを託されない人たちでした。

 

しかし、自分たちが呼ばれること、招かれることを期待できない人たちに、神様は救い主の顔を見せ、祝いに来させ、「一緒に喜ぼう」と語りました。集まりなさい、集まり得ない者たち。喜びなさい、喜び得ない者たち。

 

今日ここでも、クリスマスを祝えないはずの人たちが集まっています。感染症が広がる中、家から出られない人たちと、歌が歌えない人たちと、演奏を通して、配信を通して、一緒にイエス様の誕生を祝っています。

 

会衆賛美 讃美歌21-264番「きよしこの夜」

神様は、私たちが期待もしていなかったことを実現なさるお方です。共に、この夜を記念して、一曲だけ、トーンチャイムの伴奏と一緒に、皆さんで賛美を歌いましょう。讃美歌21-264番「きよしこの夜」を、マスクをしたままで歌います。

 

主の祈り

共に、イエス様から教えられた、最も基本的な祈りを祈りましょう。

 

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、 我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。アーメン。

 

献 金

準備のある方は、感謝の献金をささげましょう。

 

献金は神様の恵みに対する感謝の応答です。教会の運営や地区・教区の働き、福祉や慈善活動の寄付に用いられます。金額に定めはありません。持ち合わせのない方は、受付で配られた袋をそのままお入れください。

 

演 奏 John Lennon “Happy Xmas(War Is Over)”

 

最後に、全ての人へ、愛と平和がもたらされ、クリスマスの喜びを分かち合えるように、John Lennonの “Happy Xmas(War Is Over)”の合奏に耳を澄ませて、祈りをささげましょう。

 

祝 福

共に、神様の祝福を受けましょう。

 

いかに美しいことか、

山々を行き巡り、良い知らせを伝える者の足は。

平和を告げ、恵みの良い知らせを伝え、救いを告げよ。(イザヤ書52:7より)

 

神がわたしたちを憐れみ、祝福し

御顔の輝きをわたしたちに向けてくださいますように。

あなたの道をこの地が知り、

御救いをすべての民が知るために。(詩編67:2〜3)

 

後 奏 讃美歌21-261番「もろびとこぞりて」