ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『文句たらたらの神』 アモス書2:6〜16

聖書研究祈祷会 2021年1月13日


『文句たらたらの神』在宅聖研祈祷会 2021年1月13日

 

案 内

華陽教会では、感染拡大による岐阜県の医療提供体制の逼迫を受け、聖書研究祈祷会も、今週から集まることを避け、配信等による在宅聖研として行うことになりました。場所も時間もバラバラですが、神様によって見えない教会に集められたことを覚え、共に聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

最初に、讃美歌21の23番「イェスよ、われを顧みたまえ」を歌いましょう。讃美歌21をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美を味わいましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆聖霊を豊かに注がれる私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、水曜日の在宅聖研祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を受けようとしている人を祝福してください。

◆知恵と学びの主である私たちの神様。全国で医療提供体制が逼迫する中、多くの集会や活動が変化を余儀なくされています。どうか今、これまでの知見と誠実な判断によって、適切な行動が取れるように、私たちみんなを導いてください。

◆癒しと回復の主である私たちの神様。病床や人手の不足、感染症への対応によって、十分な治療を受けにくくなっている人がいます。どうか今、患者も医療従事者も、その心身が守られるように、一人一人にあなたの御手を伸ばしてください。

◆正義と公正の主である私たちの神様。今こそ、誤った情報や恐怖をあおる言動に惑わされず、あなたから与えられた思考力を最大限に発揮できるよう導いてください。どうか今、政府も企業も国民も、命と尊厳を守れるように助け合わせてください。

◆私たちと連帯される、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。アモス書2:6〜16(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

 

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Thomas B.によるPixabayからの画像

メッセージ

新型コロナウイルスの第3派により、教会に集まる礼拝ができなくなった直後、神による厳しい裁きの言葉を取り上げるのは、正直、気がすすみません。メッセージタイトルに『文句たらたらの神』とつけたように、これほど容赦なく、神が人々を責め立てる箇所は見ていて気持ちの良いものではないでしょう。

 

ちょっと読んだら分かりますが、ここって要約すると、「あれだけ面倒みてやったのに、俺の顔に泥を塗ったな?」「相応の報いを受けてもらう」……そんな話に聞こえてきます。乱暴なのは分かっていますが、事実、アモス書の冒頭から語られる諸国民への裁きの中で最後に出てきたイスラエルの罪は、最も厳しい批判にさらされました。

 

なにせ、アラム、ペリシテ、ヘェニキア、エドム、アンモン、モアブ、ユダの民については、それぞれ1つの罪だけ具体的に取り上げられますが、イスラエルだけは7つの罪全体を具体的に取り上げ、最も厳しい神の審判に遭うことを宣告されているんです。明らかに、ここでは目の敵にされている。

 

これって、自分たちこそ諸国の中から選ばれた「神の民」、特別な国、という自負を持っていたイスラエルにとって、衝撃的な展開でした。あのペリシテよりも、フェニキアよりも、自分たちの方が厳しく批判されるなんて! 曲がりなりにも、親から子へと信仰を継承してきた自分たちが、異教に取って変わられた人々より、厳しく裁かれるなんて!

 

分かりやすく言うなら、正統な信仰を継承してきた自負を持っているクリスチャンが、異端のグループや棄教した人より厳しい裁きを宣告される……という事態です。いやいや、確かに私たち、色々問題あったかもしれませんが、あいつらよりはマシでしょう? 一緒にしないでくださいよ! そう叫びたくなる展開です。

 

よく、震災が起こった地域や、洪水に襲われた地域で、被害に遭った人々に対し、「あなたがたの不信仰が、このような神の怒りをもたらした!」「偶像を拝み、節制をせず、欲望にまみれた国だから、こんな裁きが下されたんだ!」と糾弾しに来る人がいます。「我々のように信仰を持てば、こっち側になれば、このような怒りは免れる」と。

 

そういう論調になるのを避けたくて、こういう時期はどうしても、神の裁きや審判について取り上げるのがためらわれます。しかし今回、聖書に出てきたのは、まさに、そのような「こっち側」「神の民だと認識している」人々に、最も厳しく、神の批判が語られるという展開です。

 

ここで、アモスが見事だなと思うのは、「あいつらと一緒にしないでくださいよ」と言い合うであろう諸国を並べ、もともとあった深いつながりを思い出させる取り上げ方です。1章の3節から登場するアラムの民は、イスラエル人の先祖であるヤコブの叔父ラバンの子孫……つまり同胞諸国です。

 

11節から登場するエドム人も、ヤコブの兄エサウの子孫。アンモン人とモアブ人は、ヤコブの祖父アブラハムの甥であるロトを先祖としています。あまり意識されませんが、ペリシテだって、かつてはサウルから逃れたダビデ王を自分のもとに匿った国でした。アモスが並べている諸国は、イスラエルを中心に、神様が何度も介入し、用いてきた国々です。

 

それら一つ一つに、3つの罪、4つの罪があることを指摘しながら、「彼らと一緒にしないでくれ!」と言う前に、お前たちは互いに兄弟じゃないか? お前自身も同様の過ちを犯しているよ?……と神様は語ってくるんです。「こっち側」「あっち側」に分かれて「救われる身内」「裁かれる敵」の構図を作る私たちに、争いよりも、和解と平和が促されます。

 

私もドキッとするんです。どこそこの教会よりは、がんばって礼拝を守ろうとしている。あっちの人たちよりは、真剣に感染症と向き合っている。そんな思いに支配され、自分を「こっち側」「裁きを免れる側」として、「他と一緒にしないでくれ」という感覚が、どこかに現れてしまっている。

 

うちの教会は大丈夫。ここまでしたから、クラスターも、神の裁きも免れる。でも現実は、今配信をしているときも、置いていかれる人がいる。コミュニケーションが取れないまま、ほったらかしにされる人がいる。「もっと真剣に取り組んで」「こっちはちゃんとやってるよ」……そう誰かと争いそうになる度に、神様の語りかけが響いてくる。

 

お前たちは互いに兄弟じゃないか? お前も聖なる名を汚しているじゃないか? かつて、エジプトから開放されたイスラエルの民も、私に背いてばかりだった。かつてアモリ人の戦闘で勝利を渡されたイスラエル人も、私に反抗してばかりだった。お前が危機を免れるとき、それはお前の信仰ゆえか、それとも私の憐れみゆえか?

 

厳しい言葉だな……と思うのは、きっとどこかで分かっているからでしょう。私もここで裁かれた、イスラエルやユダ、モアブ、アンオン、エドムの人と同じなんだと。繰り返し、神の呼びかけを拒絶して、無視して、介入されてきた者なんだと。この方は厳しい怒りを向けるけれど、絶対見放さず、愚かな私たちを救い続けている方だと。

 

ちょっと暗くなりましたが、今こそ、この方の憐れみに信頼し、危機や恐怖にあおられる世の中で、互いの平和を目指して歩みたいと思います。私たちをエジプトの地から上らせ、荒れ野を生かせ、約束の地を得させた神は、この困難な日々にも、新たなゴールを与えるからです。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(兵庫県西宮市の西宮一麦教会)のために、医療従事者のために、陽性者・濃厚接触者のために、大雪の地域のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆兵庫県西宮市の西宮一麦教会のために祈ります。教会員の隣人がイエス様につながることができますように。隣接している一麦保育園の子どもたちや家族、職員が守られ、教会と豊かな関係を築けますように。

◆医療従事者のために祈ります。病床に余裕がなくなり、新たな患者の受け入れが難しくなっている人たちを、あなたが守り、助けてください。どうか、人手や設備、金銭的援助が適切に行き渡るように、世の中の動きを導いてください。

◆陽性者・濃厚接触者のために祈ります。自分自身が陽性者となった人、身内が陽性となり、濃厚接触者となった人に、あなたの癒しと慰めがありますように。誹謗中傷から守られ、順調に治療が進むように助けてください。

◆大雪の地域のために祈ります。大雪による被害や疲労が溜まっている人たちに、あなたの励ましがありますように。大きな事故や怪我から守り、一人一人の安全が保たれるように、私たちのつながりを用いてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

オンライン賛美歌「戻らない世界で」を歌いましょう。オンライン讃美歌は、日本基督教団鈴蘭台教会のホームページから、楽譜を見ることができます。

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。主の祈り。

 

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、 我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。アーメン。

 

以上で、在宅聖研祈祷会を終わります。教会に集まる聖書研究祈祷会の再開は、非常事態宣言の解除を目安として、2週間毎に役員会で検討し、順次、教会員への連絡網とホームページのお知らせでお伝えしたいと思います。また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。