ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『信じているなら……』 マタイによる福音書4:1〜11

在宅礼拝 2021年2月21日


『信じているなら……』在宅礼拝 2021年2月21日

 

案 内

華陽教会では、感染拡大による岐阜県の医療提供体制の逼迫を受けて、会衆が集まる礼拝を休止し、配信等による在宅礼拝へ切り替えています。共に今、見えない教会に集められていることを覚え、互いのために祈りを合わせ、神の招きにあずかりましょう。

 

前 奏

先週の水曜日から、キリストの受けられた苦しみと十字架の死を思い起こす受難節に入りました。この期間は、キリストの復活を記念するイースターの準備をしつつ、イエス様が贖われた私たちの罪を悔い改め、その憐れみに感謝する時でもあります。

 

受難節の日曜日は、全部で6回ありますが、一部のキリスト教会では、7本の蝋燭を用意して、毎週1本ずつ炎を消し、イエス様が十字架にかけられた日を記念する金曜に、最後の火を消します。そして、イエス様が復活した日曜日、イースターに、全ての蝋燭へ火を灯して礼拝する……ということをやっています。

 

蝋燭の炎は光や命の象徴ですが、受難節には、その炎を1本ずつ消して、イエス様の受けた苦しみを思い起こすんです。華陽教会では、祭壇に立てられた6本の蝋燭をイースターまで順番に倒していくことで、私たちの痛みや苦しみを共に負われたイエス様の歩みを覚えます。共に今、その道のりを思い起こしましょう。

 

招 詞

見よ、わたしは今日、命と幸い、死と災いをあなたの前に置く。(申命記30:15)

 

讃美歌

旧讃美歌300番「みそらのかなたに」を歌います。54年版讃美歌をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

共に祈りを合わせましょう。

 

◆赦しと和解をもたらす私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて在宅礼拝を始めることができ、感謝致します。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を受けようとしている人を祝福してください。

◆私たちの神様。イエス様の受けた苦しみを思い起こす受難節に入りました。自分に向けられた怒りも、妬みも、蔑みも、全てを受けとめた上で、とりなしてくださった方の憐れみと慈しみを覚えます。どうか今、私たちの叫びも受けとめてください。

◆私たちの神様。あなたが送られた独り子は、人々のために傷つき、怒り、悲しみました。私のために憤り、私のために泣き、私のために叱りました。どうか今、信じて私にぶつかるあなたと、あなたの独り子の呼びかけに、もう一度向き合う勇気を与えてください。

◆私たちの神様。あなたは心から悔い改め、あなたに振り向く全ての人を赦してくださいます。どうか今、ここに連なる一人一人をあなたが憐れみ、全ての罪から清め、永遠の命を受け継ぐ者としてください。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖 書

聖書の言葉を聞きましょう。マタイによる福音書4:1〜11(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

 

交読文

共に、詩編の言葉を読み交わしましょう。詩編91:1〜16

(*起立のジェスチャー)

交読詩編付きの讃美歌21をお持ちの方は、後ろの方をお開きください。司会と会衆で交互に読んでいきますので、皆さんは、一段下がったところと太字のところをお読みください。(新共同訳交読詩編より)

 

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メッセージ

信じているなら望んだものが与えられる、信じているなら病気や事故から守られる、信じているなら豊かな財産に恵まれる。疑ってはならない、迷ってはならない、ためらってはならない……信仰者にとっての誘惑とは、我に返って「世俗の視点」「現実的な見方」に戻ってしまうこと、神への信頼を失ってしまうことである。

 

もし、牧師が穏やかに、丁寧にそう語りかけるなら、「確かにそうだ」「神の力を信じよう」と、素直に受け取る人が多いかもしれません。望みを捨てる、諦める、疑問を持ってしまうことこそ、悪魔が自分にささやきかける「誘惑」だと思われるかもしれません。実際、そのように教えているグループもたくさんあります。

 

「礼拝を止めてはなりません。信じているなら、感染が広がることはありません」「疑ってはなりません。疑いこそが、あなたを病気にさせるのです」「ためらってはなりません。あなたの信じる思いこそ、望みを叶える力になります」……だから、恐れず、怯まず、不安や危険に立ち向かいましょう。迷いを捨てて、突っ走りましょう。

 

いかにも聖書から語っていそうな、信仰的な呼びかけに聞こえます。私たちの中で「逃げ出すこと」「投げ出すこと」は「誘惑に負けること」と直結しています。大いなる試練に対し、正面から突破し打ち勝つことが、誘惑に勝つことだと思っています。でも、イエス様が誘惑を受け、それに打ち勝つエピソードは、正面突破には見えません。

 

「神の子なら、これらの石がパンになるよう命じたらどうだ」……40日間、昼も夜も断食し、空腹に襲われたイエス様に、悪魔は突如ささやいてきます。皆さんにはどう聞こえるでしょう? 私には、こう聞こえます。「どうだ? いくら神の子であっても、石がパンになるなんて信じられないだろう。命じられるものなら命じてみろ!」

 

信仰的な挑戦ですよね? 信じているならやってみろ、疑わないでやってみろ。病気は治ると豪語して、薬を飲まずに祈り続け、回復するところを見せてみろ! これに対して正面から打ち勝つなら「神様にできないことはありません」と言って、石へパンになるよう、病気へ退散するよう命じるべきでしょう……信じているなら。

 

でも、イエス様は言いました。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』と書いてある」……ちょっとずるいと思います。悪魔の挑戦を投げ出したように見えないでしょうか? 望みを叶えられない言い訳に聞こえないでしょうか? 下手すれば、この言い訳こそ信仰者への誘惑に見える。

 

次に、悪魔はイエス様をエルサレムの神殿へ連れていき、屋根の端に立たせてこう言います。「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、あなたの足が石に打ち当たることのないように、天使たちは手であなたを支える』」……私にはこう聞こえます。「無理だろう? 天使たちに守られるなんて思ってもないくせに!」

 

信仰的な挑戦ですよね? 信じているならやってみろ、逃げずに証明してみせろ。感染を恐れず集まって、マスクをしないで賛美をし、ウイルスから守られるところを見せてみろ! これに対して正面から打ち勝つなら「恐れることはありません」と言って、屋根から飛び降り、三密に怯まず、平気な姿を見せるべきでしょう……信じているなら。

 

でも、イエス様は言いました。「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」……ちょっとずるいと思います。悪魔の試練を逃げ出したように見えないでしょうか? いやいや、平気な姿を見せた方が、神の業、神の力の大いなる証明になるじゃないか? 下手すれば、この返答こそ、聖句を用いた都合の良い言い訳に見える。

 

更に、悪魔はイエス様を非常に高い山へ連れていき、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言いました。私にはこう聞こえます。「お前には、こんな繁栄できないだろう? こんなに恵まれないだろう? 豊かになれるものならなってみろ!」

 

信仰的な挑戦ですよね? 信じているならやってみろ、迷わず実現してみせろ。恐れることなく借金し、ささげれば与えられると献金し、裕福になるところを見せてみろ! これに対して正面から打ち勝つなら「神は私を豊かにされる」と言って、弟子たちを集め、寄付を集め、悪魔を見返すべきでしょう。

 

でも、イエス様は言いました。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」……ちょっとずるいと思います。悪魔の勝負を断ったように見えないでしょうか? 下手すれば、この態度こそ、神の恵みを受け入れない、弱気な態度に見えてしまう。

 

どうでしょう? 誘惑を受けたイエス様の返事、態度、姿勢の数々は、下手すると「神を信頼していない」「試練を克服する気がない」と言われかねないものでした。信じているなら心配せず、恐れないで、望みどおりに行動する……そういう堂々とした、自信を持った姿こそが、模範的な信仰者と思いがちな私たちには、衝撃的な展開でした。

 

信仰が試される挑戦に対して、イエス様の抵抗は、静かで、地味で、かっこよくはありません。飢えたまま、弱いまま、貧しいまま、この戦いを終えられます。洗礼を受けた直後にもかかわらず、聖霊が降っているにもかかわらず、劇的な変身はなく、圧倒する勢いもなく、特別な力も使いません。

 

「信仰によって望みを叶え、神の力を証明してみろ」という悪魔に対し、「そのささやきこそが誘惑だ」と突き付けます。悪魔の挑戦に乗ることは、信仰的に見えて、不安に囚われ、恐怖に包まれ、支配に陥りやすくなる。信じているなら、どのように行動するのが適切なのか、今一度イエス様は私たちに問いかけます。

 

あなたが「信仰の戦い」として悪魔に打ち勝とうとするとき、そのやり方は、イエス様が過ごした40日から、かけ離れていないでしょうか? 迷い、疑い、恐れることを安易に誘惑と結びつけるとき、そのささやきこそ、悪魔から聞こえていないでしょうか? イースター前の40日間、この方が示した姿勢を、もう一度見つめていきたいと思います。

 

讃美歌

讃美歌21の284番「荒れ野の中で」を歌います。讃美歌21をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美を合わせましょう。

 

使徒信条

教会の信仰を告白しましょう。使徒信条(讃美歌21の93-4Aです)。

 

我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず。主は聖霊によりてやどり、処女マリヤより生れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがへり、天に昇り、全能の父なる神の右に坐したまへり、かしこより来りて、生ける者と死ねる者とを審きたまはん。我は聖霊を信ず、聖なる公同の教会、聖徒の交はり、罪の赦し、身体のよみがへり、永遠の生命を信ず。アーメン。(*着席のジェスチャー)

 

とりなし

神様から委ねられた、とりなしの務めを果たしましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、わたしたちがささげる祈りをお聞きください。

◆世界の国民と政府のために祈ります。主よ、政治に携わる人々に、知恵と勇気と良心を与え、全ての場所に、自由と平和をもたらしてください。

◆世界に広がる全ての教会のために祈ります。主よ、教会を聖霊によって力づけ、その信仰を新たにし、私たちの一致と結びつきを強めてください。

◆教会員のために祈ります。主よ、私たち全てを、御言葉によって豊かに養い、あなたの愛と平和を伝える者として送り出してください。

 

◆一緒に礼拝できなかった人のために祈ります。主よ、病気や衰え、仕事や様々な事情のために、一緒に礼拝できない人たちを、あなたが癒し回復してください。

◆身近な人のために祈ります。主よ、私たちの家族や友人、仲間たちが、あなたの愛を知れますように、私自身を用いてください。

◆幼稚園、教会学校、地域の子どもたちを覚えて祈ります。主よ、子どもたちの健康と安全を守り、疲れを癒し、安らぎと成長をもたらしてください。

◆苦しんでいる人のために祈ります。主よ、病気や怪我、悩みや苦しみを抱える人たちに、あなたからの平安と、必要な助けを与えてください。

◆今も生きておられ、とりなしてくださる方、主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

主の祈り

共に、イエス様が教えられた最も基本的な祈り、『主の祈り』を祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。

 

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。

御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。

アーメン。

 

献 金

感謝の献げ物として献金をします。礼拝のライブ配信に参加されている方は、また後日、教会に来られたときにおささげください。

 

讃美歌

オンライン讃美歌「苦難のはざまから」(©️柳本和良)を3回繰り返して歌います。オンライン讃美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

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祝 福

共に、神様の祝福を受けましょう。

 

永遠の契約の血による羊の大牧者、わたしたちの主イエスを、死者の中から引き上げられた平和の神が、御心に適うことをイエス・キリストによってわたしたちにしてくださり、御心を行うために、すべての良いものをあなたがたに備えてくださるように。栄光が代々限りなくキリストにありますように。アーメン。(ヘブライ人への手紙13:20〜21)

 

報 告

本日も、配信を通して在宅礼拝にご参加くださり、ありがとうございます。先週の在宅礼拝は、私と奉仕者、役員の6名、同時に視聴されていた9名、計15名の出席でした。後から配信や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

今週、水曜日24日の段階で、感染動向が著しく悪化しなければ、28日から第一・第三日曜日のAグループと第二・第四日曜日のBグループに分かれて、半分ずつ会衆が集まる礼拝を再開していく予定です。

 

華陽教会に通われている方には、水曜日に電話連絡網と郵送する文書で、AグループかBグループかをお知らせします。これから教会に来たい方、初めて礼拝に来る方は、事前に教会の電話かホームページの問い合わせフォームから、出席したい日をご相談ください。

 

半分ずつ会衆が集まる間は、20名以内の人たちが、さらに4箇所に分かれて、十分な間隔を空けられるようにしていきます。教会員も新来者も、なるべく礼拝に出席する機会を持てるように、ご協力どうぞよろしくお願いします。

 

それでは、また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。