ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『どこからカルトになりますか?』 マタイによる福音書7:15〜20

聖書研究祈祷会 2021年4月21日


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案 内

華陽教会では、現在の医療提供体制を踏まえて、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の人数調整をした上で、聖書研究祈祷会も短く開いています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の422番「主よ、この時代に」を歌いましょう。讃美歌21をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美をささげましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆復活と希望の源である私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会に集まることができ、感謝いたします。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を必要としている人を導いてください。

◆私たちの神様。去年と同様、再び新型コロナウイルスの感染者数が増加しています。4回に分けたイースター礼拝と総会が終わる25日までは、引き続き、半分ずつ教会に集まる予定ですが、どうか、会衆・家族・近所の一人一人を守ってください。

◆私たちの神様。日本に滞在している外国人のコミュニティーを守ってください。医療、労働、不動産における様々な困難から助けてください。特に、法律や通訳における問題が解決されるように、必要なサポートをもたらしてください。

◆私たちの神様。台湾、ミャンマー、香港で起きている人権侵害から、それぞれの市民を守ってください。自由と平和、正義と公正がもたらされるように、あなたが私たちに、各国に、働きかけてください。

◆私たちを送り出される、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。マタイによる福音書7:15〜20(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

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Jiří FröhlichによるPixabayからの画像

メッセージ

「偽預言者」という言葉が出てくると、ちょっと身を乗り出してしまうのは、私だけではないはずです。映画でも、ドラマでも、何なら現実のニュースでも、宗教に関わるトラブルで、最もインパクトがでかいのは、預言者やメシアを自称する、破壊的リーダーだからです。

 

1995年の地下鉄サリン事件以降、日本でも「カルト」という言葉が広く浸透していきました。もともとは熱狂的崇拝や、それを行う小グループを指す言葉ですが、今では、個人の人権を侵害し、公共の福祉を破壊するなど、社会問題を引き起こす団体を指すことが増えています。

 

たとえば、霊感商法など、死後や将来の不安を利用して金銭を巻き上げる行為。長時間低賃金または無賃金の奉仕を強要する問題。リーダーによるパワハラ、セクハラと組織的な隠蔽。信者の子どもたちへの虐待・暴力。正体や目的を隠した勧誘など、度々、新聞やテレビの中でも取り上げられてきました。

 

こういった金銭的・身体的・精神的被害をもたらす団体は、単なる熱狂的崇拝を行う小グループと区別して「破壊的カルト」というふうに呼ばれています。その中には、超能力や霊感が身に付くと謳う新宗教だけでなく、他の伝統宗教と、一見変わらない教義を教える教会や寺院も存在します。

 

見た目は立派な会社でも、入社してみたら悪徳企業(ブラック企業)だった……ということがあるように、教会も見た目はまともなところでも、中に入ってしばらく経ったらやばいところだった……ということがあり得ます。もともとはちゃんとした教会だったのに、後からカルト化していくところもあります。

 

ここまで聞くと、ちょっと気になってくるでしょう。自分がこれから行こうとしている教会は、あるいは今通っている教会は、「ちゃんとした教会」なのか、「カルトと呼ばれる教会」なのか、「カルト化しつつある教会」なのか? 組織やリーダーに、都合の良い教えを語る「偽物の教会」か「健全な教会」か、見分ける方法はあるのだろうか?

 

実は、マタイによる福音書が作られた初代教会の時代にも、まさにこの問題が起きていました。教会内で「偽預言者」と呼ばれる人たちが現れ、信仰共同体を都合よく操作したり、支配したり、変容させたりしていました。もともとは、イエス様の弟子たちが建てて広がった教会ですから、いわゆる正統教会の「カルト化」が始まっていたわけです。

 

その時代、福音書を書き記した人々は、かつてイエス様が語ったこの言葉を思い出しました。「偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である」……現在、多くの破壊的カルトのリーダーが、一見「良い人」「素晴らしい人」に見えるように、初代教会の偽預言者も、一見「羊の皮を身にまとった」穏やかな人格者でした。

 

いかにも「教祖」というような白装束や黒装束をみんな着ているわけじゃありません。必ずしも、強権的・権威的に見えるとも限りません。むしろ、自分たちのことをよく理解し、分かってくれる人、困っているところに助けをもたらしてくれる人……そんなふうについ頼りたくなる人たちです。

 

DVやデートDVを引き起こすパートナーが、付き合うまで、結婚するまでは、とても優しく親切な人に見えるのと同じです。高いステータスを身にまとい、周りからも信頼されているので、外側から「偽預言者」のようなリーダーを見分けることは、なかなかできません。でも、その内側は貪欲な狼です。もう逃げられなくなってから、すっかりこちらが信頼し、離れがたくなってから、彼らは本性を表します。

 

じゃあ、見た目で分からないならどこで判断するか? 福音書に記されたイエス様は、こう語っています。「あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない」

 

ようするに、そのリーダーによって結ばれた実、その組織によって引き起こされた結果を見て判断しなさい、と言っています。すごく客観的なアドバイス。たとえば、その団体で金銭トラブルが起きている、被害者の会ができている、民事裁判や刑事裁判が起きている……いくら良いことを言っている人でも、こういう具体的な実を見て判断しなさい。

 

よく、カルトかどうかを、変に見えるかどうか、怪しく見えるかどうかで判断しようとする人がいます。牧師の服装が変だ、礼拝の仕方が変だ、建物の雰囲気が怪しい……それらは、カルトかどうかとは、また別問題の話です。破壊的カルトの宗教儀礼は、もう怪しく見えないくらい、こっちが染まりきってから初めて招かれたりするので、最初から「怪しさ」「おかしさ」で判断することはできないことが多いんです。

 

むしろ、それよりも個人の人権が侵害され、社会問題を引き起こしかねないトラブルが起きているかどうか……で判断するのが、誠実な「偽預言者」の見分け方です。もちろん、通常は良いことをしているようにしか見えません。ボランティアに参加したり、色んな人を慰めたり、力強く会衆を引っ張っていく姿は、憧れさえもたらすでしょう。

 

でも、一方で献金を断れなくさせたり、体に触ってきたり、脅迫や侮辱など「不法を働く」姿を見せることもあります。毎年たくさんの新来者が入ってくる一方で、たくさんの人が傷ついて、その教会を離れていく。何度も、何度も大勢の人が入れ替わる……その団体がカルトかどうか、そのリーダーが偽物かどうかは、こういった「実」から判断します。

 

そして、「偽預言者に警戒しなさい」というイエス様の言葉は、これらの「良い実を結ばない木」が「切り倒されて火に投げ込まれる」ものであるとも語っています。つまり、健全な教会は、悪い実を結ぶ偽預言者を放ってはおかないということです。

 

たとえば華陽教会で、牧師をしている私自身が、もし悪い実をつけそうになったら、誰かを脅迫したり、セクハラしたり、献金を強要したりしたら、私をとりなす教会の皆さんで、その枝を切るよう、促されています。「先生、それは悪い実です」「良い実を結びません」「やめてください」と。場合によっては、教区や警察と相談して。

 

もし放っておくなら、カルト化していった教会の例に漏れず、この教会もその「実」によって警戒されてしまうところになります。教会の指導者が、偽預言者にならないために、教会そのものが、悪い実をつける悪い木になってしまわないように、私たちはあらかじめ、聖書から促されているんです。

 

今、教会に通っている人、これから教会に行こうとしている人は、ぜひ、聖書が促す健全な共同体のあり方を、そこが実践しているか、注意しながら見てほしいと思います。全ての教会が、良い実を結び木となれるよう、祈りを合わせていきましょう。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(大阪府大阪市の大阪台湾教会)のために、在日大韓基督教会のために、フィリピン合同教会のために、滞日外国人の教会のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆大阪府大阪市の大阪台湾教会のために祈ります。長期、短期を問わず、日本に滞在する台湾出身者が、この教会で健やかな信仰生活を送れますように。そして、この地で新たにキリストと出会う人たちが与えられますように。

◆在日大韓基督教会のために祈ります。岐阜教会・大垣教会をはじめ、全国にある在日大韓基督教会が、様々な困難から守られますように。特に、施設整備や備品の購入が困難な教会に、あなたの、地域の助けがありますように。

◆フィリピン合同教会のために祈ります。UCCP美濃加茂教会、安城教会をはじめ、日本に滞在するフィリピン人の教会が、感染症の脅威から守られますように。そこに集まる人たちの医療・労働・言語の問題が解決されますように。

◆滞日外国人の教会のために祈ります。ミャンマー、ベトナム、インド、中国、アフリカをはじめ、各地から日本へやってきた人々の教会に、あなたの祝福がありますように。困っていること、苦しんでいることに、あなたの手が差し伸べられますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌「どうか平和の主が」(©️柳本和良)を歌いましょう。オンライン讃美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

 

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主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。主の祈り。

 

天にまします我らの父よ。

ねがわくはみ名をあがめさせたまえ。み国を来らせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を、今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを 我らが赦すごとく、我らの罪をもゆるしたまえ。

我らをこころみにあわせず、悪より救い出したまえ。

国と力と栄えとは 限りなくなんじのものなればなり。アーメン。

 

報 告

本日も教会に集まって、配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の聖書研究祈祷会は、配信3名、出席5名、計8名が参加されました。後から動画や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

教会の集会に初めて参加される方は、三密回避の人数調整のため、電話かメールでお問い合わせください。また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。