ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『処刑前のメッセージ』 使徒言行録7:1〜8

聖書研究祈祷会 2022年9月28日


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案 内

華陽教会では、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の577番「聞けよ、主の民」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。今月も初めから最後まで、あなたが守り、導いてくださったことを感謝致します。どうか今、宗教改革記念日や召天者記念礼拝、初めてのミニバザーなど、これから続いていく行事一つ一つを豊かに行わせてください。

◆私たちの神様。幼稚園の運動会も少しずつ準備や練習を進めています。子どもたちと保護者、先生やスタッフのみんなが、努力を積み重ねています。どうか今、一人一人の力が精一杯発揮できるように、必要な力をもたらしてください。

◆私たちの神様。岐阜県の医療提供体制が、徐々に回復してきたことを受け、華陽教会も来週から三密を避けた会衆礼拝を再開します。どうか今、教会に集まる人たちの健康と安全を守り、配信を通して自宅や施設から参加する人と、共に心を一つにさせてください。

◆私たちの間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録7:1〜8の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Christine FullerによるPixabayからの画像

メッセージ

キリストが天に昇って見えなくなった後、残された弟子たちが伝道し、教会を建て、信徒を増やしていく一方、あちこちで、キリスト教徒に対する迫害や弾圧が始まりました。そんな中、最初に殉教した信徒、神様に従って、命を失ったイエス様の弟子は、ステファノという外国出身の人物でした。

 

実は、初代教会における最初の殉教者は、ペトロ、ヤコブ、ヨハネなど、最も長くイエス様に仕え、最も近くで従ってきた12使徒ではありませんでした。むしろ、最近になって選ばれた、貧しい人々の食事の世話を押し付けられた、ギリシャ語を話すユダヤ人に過ぎませんでした。

 

そんな人が、大祭司、長老、律法学者の前で、堂々と語って死んでいきます。彼が法廷に引き出され、殺される前に語った最後のメッセージは、使徒言行録中、最も長いメッセージと言われています。ペンテコステの日に、聖霊を受けた使徒ペトロが、立ち上がって語ったときのメッセージよりも長いんです。

 

ですが、その内容は、特に新しいものではありません。旧約聖書を読んだことがある人や、キリスト教主義の幼稚園やミッションスクールに通っていた人なら、聞いたことのある話が、順番に出てきます。

 

神様に従って、故郷を離れ、新しい土地へ向かったアブラハム……アブラハムから生まれ、神の民として割礼を受けた息子のイサク……イサクから生まれて、イスラエルの先祖となった族長ヤコブ。さらに、ヤコブの子孫、ヨセフの一族がエジプトで奴隷となり、彼らを解放するため、導き出すことになったモーセなど、有名な聖書物語が、次々と語られていきます。

 

これらは決して、ステファノを取り囲むユダヤ人が知らない話、忘れた話ではなく、誰もが、小さい頃から繰り返し聞かされてきた内容です。むしろ、彼を裁判にかけた大祭司や律法学者が、人々に自分たちと神様の関係を思い出させ、神様から与えられた掟である律法を、大事に、大事に守るよう促すために、一生懸命語り聞かせてきた内容です。

 

つまり、メッセージの大半は、聞く人にとって当たり前の、目新しくない教えでした。何か聞いたことのない、新しい主張が語られたわけではありません。ステファノは、族長に始まり、率いた王や預言者、彼らの言葉を聞いてきた自分たちの先祖が、何度も神様の言うことを聞かなくなり、反逆を繰り返してきたことを話します。

 

自分たちの先祖は、神様に助けられても、守られても、その言うことを聞かずに、身勝手な生き方をしてきた。神様が遣わした、選んだ人たちの言葉も、信じないで、守らないで、無視したり、拒絶したりしてきた。何度も神様を裏切り、神様の遣わす人を蔑ろにしてきた。

 

こういうと、非常に厳しく聞こえますが、おそらく、大祭司や律法学者も、同じように人々に語ってきたんです。私たちは何度も神様の言うことを聞かずに、反抗して、あんな事件やこんな事件を経験してきた。神様の遣わす人の言葉を蔑ろにして、あんな状況やこんな状況に陥ってきた。しかし、今なお、神様は私たちを守り、導き、助けてくださる。

 

言ってきたはずなんです。教えてきたはずなんです。もう神様の言うことを無視しないで、神様がくれた教えを守って、神様に従う生き方をしよう……と。ステファノのメッセージは、ほとんどそれの繰り返しです。少しだけ違うのは、人々が神様の言うことを聞かなかったのは、過去の話ではなく、自分たち自身も、今そうなっているという点です。

 

なかなか子どもが与えられず、神様の約束を信じきれずにいたアブラハム……末っ子のヨセフを妬んで、穴に突き落としてしまった族長たち……モーセの言葉を信じられず、不満や文句を垂れ流していたヨセフの子孫……人々に悔い改めるよう促す預言者を拒絶し、迫害してきた自分たちの先祖。

 

彼らと同じく、この時代を生きる自分たちも、神様の遣わした独り子を拒絶し、イエス様の言うことを聞かないで、十字架につけて殺してしまった。私たちも、先祖がやってきた罪を繰り返してしまった……ステファノのメッセージを聞いて怒った人々は、この点を認められません。

 

かつて、悪いことをしてしまった人たちと同じにならないように……という話は、耳にタコができるくらい聞いてきたのに、自分たちも取り返しのつかないことをしてしまった、自分たちも「拒絶する者」「反逆する者」になっていた……という話は受け入れられない。自分たちはちゃんと、「神に従う者」として、これからも気を付けていけばいいと考えたい。

 

しかし、ステファノは殺される直前に「兄弟であり、父である皆さん」と人々に呼びかけ、自分たちが過去と関係ない者ではなく、同じ過ちに陥っている者として、悔い改めを呼びかけます。神殿に集まる者も、教会に集まる者も、かつて神様を裏切り、反逆し、それでもなお、付き合い続けてもらったあの民と、変わらない一人一人です。

 

どこかで、「罪を犯した人たちとは違う」「本当の罪人とは違う」と考えてしまう私たちを、ステファノの言葉は「そうじゃない」と気づかせます。神様が裏切られてなお、助けてくださった民の中に、あなたもいる……私もいる……神様を、神様の送った人たちを拒絶してなお、付き合ってもらっている人間が、今ここにいる私自身だと気づかせる。

 

処刑前に、ステファノが語ったメッセージは、教会が、信仰者が、自分と関係ない第三者を訴える説教ではありません。私に、あなたに語られたメッセージであり、教会に、信仰者に、変化を促すメッセージです。共に、その言葉を噛み締めながら、再び出会いに来られるイエス様を迎えたいと思います。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(東京都調布市の仙川教会)のために、台風の被害を受けた人のために、事故の被害を受けた人のために、カルトの被害を受けた人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆東京都調布市の仙川教会のために祈ります。感染症による大きな打撃を受けた教会に、あなたの慈しみがありますように。心身ともに重荷を担う教師とその家族、信徒の方々の上に、癒しと支えがありますように。

◆台風の被害を受けた人のために祈ります。立て続けに接近してきた台風によって、家屋の損傷や怪我を負った人たちに、速やかな回復がもたらされますように。帰宅や用事が困難になった人たちに、あなたの励ましがありますように。

◆事故の被害を受けた人のために祈ります。理不尽な事件に巻き込まれ、傷ついてしまった人たちに、あなたの憐れみがありますように。生活が回復し、新たな人生を歩めるように、一人一人を助けてください。

◆カルトの被害を受けた人のために祈ります。不安や恐怖による高額の献金や霊感商法の被害を受けた人たちに、解放と回復がもたらされますように。家族や友人との関係が破壊された人、自由を奪われた人たちに、それらの癒しを与えてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌23番「わたしの口は絶えず歌う」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。主の祈り。

 

主の祈り93-5A

天にまします我らの父よ。
願わくは御名をあがめさせたまえ。
御国を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を今日も与えたまえ。
我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。
アーメン。


日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳

天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン。

 

報 告

本日も、教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。華陽教会では、今週から、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、教会に集まる集会を再開しています。

 

教会学校こども礼拝、聖書研究祈祷会、日曜礼拝も、問い合わせなしで参加できるようにしています。興味のある方はぜひ、お待ちしています。また日曜日まで、皆さん一人一人に、神様の平和がありますように。