ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『仲間と信じてもらえない』 使徒言行録9:26〜31

聖書研究祈祷会 2022年11月30日


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案 内

華陽教会では、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の433番「あるがままわれを」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆世界を創造され、完成される神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。キリストの誕生を記念するクリスマスの準備をする期間、アドヴェントを迎えました。どうか今、キリストが再びこの世に来られるときを待ちながら、みんなでその日を迎えられるように、一人一人を整えてください。

◆私たちの神様。次第に増加する感染症に、たくさんの医療従事者が対応しています。病院、施設、学校でも、予防のために多くの人が頑張っています。どうか今、それらの努力が報われて、一刻も早く収束するよう、私たちの意識と行動を導いてください。

◆私たちの神様。今度の日曜日には、隠退教師の鈴木重正先生がメッセージをしてくださいます。翌週には、中濃教会でも礼拝の奉仕をしてくださいます。どうか今、岐阜地区の様々な働きを助けてくださる隠退教師とその家族に、あなたの祝福がありますように。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録9:26〜31の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Ingela SkullmanによるPixabayからの画像

メッセージ

キリスト教を世界中へ広めていった、初代教会の宣教者、パウロとも呼ばれるサウロはもともとキリスト教徒を迫害するユダヤ人でした。迫害というのは、単に悪口を言ったり忌み嫌ったりする行為ではありません。家から家へと押し入って教会を荒らし、男女を問わず引きずり出して、牢へ送るという具体的な暴力です。

 

現代であれば、一発で不法行為に当たりますが、「信教の自由」なんてない時代、容赦なく人権が侵されました。自分たちと同じ信仰を持たないもの、自分たちの信仰から外れたものは、神を冒涜している存在として、こちらが罰を与えていい……そんな正当化が、パウロの姿から垣間見えます。

 

パウロは最初の殉教者、ステファノの殺害にも賛成していました。また、彼自身も、イエス様の弟子たちを脅迫していました。それだけでなく、殺そうと意気込んでいました。これもただ、心の中で思っていたわけではなく、彼はそれを行動に移すため、大祭司のところへ行って、キリスト教徒を連行し、処刑する許可をもらっています。

 

めちゃくちゃやばい人ですよね? 組織を離れようとしたメンバーや、自分たちを批判する人間に、脅迫し、暴力を振るい、ときには殺害してしまう、破壊的カルトの信者にも引けを取らない行動です。ここまで来たら、そう簡単には後戻りできません、自分のやってきたことが正しくない、間違っていたと認めることは困難です。

 

ところが、そんな人間が、復活したキリストの幻と出会い、自分が迫害していたイエス様の弟子に洗礼を授けられ、聖霊に満たされるよう祈られます。さらに、つい三日前まで敵だったにもかかわらず、異邦人や王たち、イスラエルの人々に、イエス様の教えと業を伝えるよう、重要な使命へ遣わされます。

 

展開が早すぎて、ついていけないかもしれません。今まで、「キリスト教会は間違っている」「彼らはみんな異端である」「自分たちに従わないなら、捕まえて連行する」「もとの信仰を捨てて、自分たちと同じ信仰を持たないなら、処刑したって構わない」……そんな態度を取っていた人間が、突然仲間になるんです。

 

当然ながら、パウロを知っていた人間は戸惑います。彼の口から出てくるものとは思えない言葉が聞こえます。「私は自分が迫害していたイエス様の幻に出会いました」「この人こそ神の子です」「この人こそ救い主です」「この人の教えてきたこと、行ってきたことは本当です」……そりゃ、誰だってうろたえます。

 

いやいや、あなた、この前まで先陣切って、キリスト教徒を捕まえていた人間じゃん? 自分は正しい、自分の言うことを聞くべきだって、家から家へ押し入って、みんなを連行していた人間じゃん? 何人かの処刑に加担しているじゃん? あんなことをしてきた人間が、まともな人のように受け入れられるとか、ありえないでしょう?

 

回心後のパウロに出会ったキリスト教徒の反応は、たぶんこれが自然です。彼を恨んでいた人もいたでしょうし、それ以上に恐れていた人が大半でした。複数の人の死に加担した、狂信的な行動をとってきた、元迫害者の一人が教会にやってくる。イエス様を信じる仲間になりたいと言ってくる。拒否反応が出てくるのは、想像に難くありません。

 

加えて、彼は元いたところのユダヤ人からも狙われている人間です。迫害者をやめて、キリスト教徒になったパウロは、裏切り者として、他のユダヤ人からも命を狙われ、危ないところを逃げ回ります。そんな人間に関わったら、ますます危険に思えます。この人を教会に受け入れるなんて、色々不安です。事実、パウロはエルサレムへ来てからも、ギリシャ語を話すユダヤ人から命を狙われるようになります。

 

そんな中、パウロはエルサレムについて、イエス様の弟子たちに仲間として加わろうとします。そこは、ステファノ殉教後に、自分が教会を荒らし回った地域です。一時、エルサレムにいた信徒は、使徒たちを残してみんないなくなり、教会はほとんど消えてしまいました。そこへ再び集まってきた弟子のもとに、迫害した張本人がやって来ます。

 

案の定、皆は彼を弟子だとは信じないで恐れました。話の通じなかった狂信者のイメージが強かったと思います。今は回心し、落ち着いて対話しようとしていても、かつて刻み込まれた印象から、不信感が拭えません。元迫害者を受け入れるのか? 彼を仲間と認めるのか? 確実に拒絶する人が出てきます。

 

ところが、自分も教会を破壊された一人であったバルナバが、彼を引き受け、仲間の使徒たちのところまで案内します。パウロが旅の途中で復活したイエス様の幻に出会い、イエス様に語りかけられ、イエス・キリストの名によって大胆に宣教するようになった次第を話します。衝撃的な展開です。

 

バルナバをはじめ、使徒たちは、エルサレムの大迫害が起きたとき、一人の信徒も留めることができませんでした。みんな、ユダヤとサマリアの地方へ逃げていきました。各地で新たな教会が建てられる中、使徒たちのいるエルサレムでは、苦しい状況が続きました。そんな中、ようやく再び集まってきた弟子たちに、分断の種がもたらされます。

 

あの元迫害者を受け入れるか、受け入れないか……? 教会の安定を考えるなら、人の頭で考えれば、受け入れないのが正解でしょう。彼を受け入れれば、間違いなく、他の弟子たちの不信感を買います。使徒として、指導者として、本当に正しい判断か、問われることになります。みんながついてこなくなるかもしれません。

 

それでも、バルナバをはじめ、使徒たちは皆、パウロを仲間として信じ、受け入れていきます。彼はイエス様を迫害していた人間だけど、私たちもイエス様を見捨てて死なせた人間だった。私たちは最後までイエス様に従えなかったけれど、復活したイエス様にもう一度「わたしに従いなさい」と呼んでもらえた。彼もそうだったんだ……。

 

かつて、キリストを見捨てた弟子たちは、教会の働きに必要な者として、新たに受け入れられ、かつて、キリストを迫害したユダヤ人は、宣教の働きに必要な者として、新たに受け入れられていきました。イエス様を知らなかった者、イエス様を知らないと言っった者、イエス様を迫害してきた者たちは、教会の中心に必要な存在として召し出されます。

 

現在も、破壊的カルトの元脱会者や、元二世信者、カルトと認識されてはいないけど、極端で、排他的な集団から出てきた元メンバーが、神様に招かれ、教会を訪れることがあります。「元異端」「元カルト」というふうに、よく思われないことを恐れながらも、ときには本当にそう言われながらも、弟子の仲間に加わろうと、歩んでいる人がいます。

 

教会の皆さんはどうか知ってください。この人たちは、かつてキリストの幻と出会ったパウロであり、復活したキリストに出会ったペトロであり、現在も、キリストの体に必要とされている、イエス様の弟子の一人なんです。「この人は自分の弟子なんだ」と、イエス様がみんなに信じてもらおうとしている仲間なんです。

 

かつて、間違ったことを信じていた、取り返しのつかない過ちを犯してきたと、苦しみながら教会に来ている人は知ってください。あなたはイエス様に必要とされ、聖霊に満たされるよう祈られて、ここへ導かれた人間です。教会にいる他の人たちと、何ら違いはありません。あなたも私たちの仲間です。

 

どうか、キリストに出会っていく全ての者、全ての弟子たちが、お互いのことを信じることができますように。共に、平和を保ち、主を畏れ、聖霊の慰めを受けることができますように。神様の恵みと祝福が、私たちの間に広がって、神の国の栄光が現されますように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(神奈川県横浜市の新島教会)のために、療養中の人のために、依存症の人のために、心身症の人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆神奈川県横浜市の新島教会のために祈ります。神様が新島の住民と共に居てくださいますように。この教会が、島の教会として豊かに用いられ、信徒の生活が支えられ、神様の恵みと祝福が広がっていきますように。

◆療養中の人のために祈ります。入院している人、自宅で療養している人、施設で安静にしている人、それぞれに、あなたの癒しがありますように。また、コロナ禍のため、なかなか家族や友人と会えない人たちに、あなたの励ましと慰めがありますように。

◆依存症の人のために祈ります。薬物やアルコール、性や買い物など、様々な依存症を抱える人たちに、あなたの慈しみがありますように。適切な治療とケアが受けられるように本人と周りの理解が進みますように。

◆心身症の人のために祈ります。家庭、学校、職場、近所、環境の変化や様々な人間関係によって、疲れ、傷つき、日常生活に支障が出ている人たちに、あなたの助けがありますように。安心して休める場所、回復できる時間がもたらされますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌3番「閉じこもる私たちに」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も、教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の聖書研究には、教会に集まった5名、同時に視聴された8名、計13名が参加されました。後から動画を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。