ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『集まっているはずがない』 使徒言行録2:1〜13

聖書研究祈祷会 2022年4月27日


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案 内

華陽教会では、岐阜県の医療提供体制を踏まえて、会堂に集まる集会を休止し、配信等による在宅聖研を行っています。共に今、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の341番「来たれ聖霊、わが主」を歌います。讃美歌21をお持ちでない方はそのままお聞きいただき、心で賛美をささげましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆復活と希望をもたらす私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここにいる配信奉仕者と、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。先日の日曜日には、書面決議による教会総会を無事に開くことができ、感謝致します。どうか今、直接意見を交わすのが困難な人たちも、思いを置いていかれないように、引き続き、私たちの教会運営を導いてください。

◆私たちの神様。子どもたちの間で、新型コロナや胃腸風邪が広がる中、保護者やスタッフの協力で、感染の広がりが抑えられていることを感謝いたします。どうか今、対策やケアに当たっている大人たちを支え、子どもたちの回復と安全を導いてください。

◆私たちの神様。対策を凝らしながら、対面授業や行事を再開している人たちに、あなたの知恵と助けがもたらされますように。どうか今、子どもも大人も、豊かな日常を歩んでいくことができるように、適切な判断と行動を導いてください。

◆愛と平和の源であるイエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録2:1〜13の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Holger SchuéによるPixabayからの画像

メッセージ

みんなで礼拝堂に集まることができない時期に、イエス様の弟子たちが、一つの部屋に集まっていた話を聞く。それぞれの自宅から教会へ出かけることができない時期に、天下のあらゆる国から集まってきたユダヤ人たちの話を聞く。しかも、会話や歌を控えなければならない時期に、一斉に、あらゆる国の言葉で語り出したという話。

 

神様から聖霊を受ける、特別な力を受ける、話せるはずのなかった外国の言葉を語り出す、敵に捕まることを恐れていた人たちが表へ出てきて伝道する……それだけでも、今の時代から、かけ離れた話に聞こえるのに、新型コロナの流行によって、さらに、私たちから遠い話に聞こえるようになりました。

 

だって、そもそも集まれない。家から、施設から、出られない。大声で話したり、大勢で会話することが許されない。ペンテコステの出来事みたいに、私たちが大勢で集まって群衆たちに語りかけて、神様のことを伝えるなんて、ちょっとイメージできません。なんなら、今年の6月5日に迎えるペンテコステも、まだ、集まれるか分かりません。

 

神様が約束していた聖霊が、イエス様から送られて、弟子たちに与えられた日、閉じこもっていた者たちが、外へ出て宣教し、世界中に教会を建てていった始まりの日……使徒言行録2章の記述は、「今の時代に、そんなことできるはずがない」「そんなこと起こるわけがない」という印象を抱かせます。

 

そもそもこれは、信心深い人たちが、天下のあらゆる国からやって来て、エルサレムに集まっていたから実現された出来事だ。12人の弟子たちが一つの部屋に集まって、一緒に祈っていたから与えられた出来事だ。同じ時間、同じ場所、同じ仲間が集まれない、集まっていない私たちに、聖霊が与えられるなんて、期待する方が馬鹿げている。

 

そう思うかもしれません。ですが、聖書をよく見てみると、2000年前にペンテコステを体験したのは、私たちと同様、「集まっていない」「集まっているはずがない」人たちでもあったんです。どういうことかと混乱する人もいるでしょう。「ぶどう酒でも飲んで、先生も酔っちゃいましたか?」と言いたくなる人もいるでしょう。

 

それなら、一緒に聖書を見てみましょう。この日、聖霊を受けた弟子たちが、あらゆる国の言葉で、自分たちの故郷の言葉で語り出すのを聞いたのは、15の地域と民族の名で分けられている人々でした。めいめいが生まれた故郷の言葉を聞いたとあるので、単に、異なる言語というだけでなく、方言や訛りのようなものもあったんでしょう。

 

聖霊を受けた弟子たちは12人しかいなかったのに、その数を超える故郷の言葉が、人々の耳に入ります。まるで、そこに集まっているはずのない仲間が、一緒に聖霊を受けて、あらゆる国の言葉で話し出したかのようです。さらに、語り出した者だけでなく、聞いていた者たちにも驚かされます。本当にここへ居合わせたのか疑わしい……。

 

たとえば、メソポタミア出身のユダヤ人が、エルサレムへ集まるためには、160㎞以上の長い旅路を歩まなければなりません。祭りに合わせて帰還するには、地理的にかなり無理があります。エジプトだって、荒れ野を横断しなければなりません。ポントス、フリギア、パンフィリアといった、聞きなれない国や地域も出てきます。

 

さらに、「パルティア、メディア、エラムからの者」というのは、それぞれの民族を指していますが、これらの人々が集まるのも、歴史上あり得ないことでした。なぜなら、メディア人は少なくとも2世紀前に、全滅しているはずだからです。その言葉を語ることはおろか、聞き取ることができる者も、集まるはずがありませんでした。

 

使徒言行録の記者も、当然知っていたはずです。私たちからすれば、江戸時代に滅びた民族と居合わせるような話ですから。先ほども言ったように、聖霊を受けた弟子たちと、彼らが語り出すそれぞれの故郷の言葉も数が合いません。誰だって分かることです。にもかかわらず、書かずにはいられませんでした。

 

そこに「集まっているはずがない」人たちを居合わせ、一緒に語れないはずの言葉を語らせ、一緒に聞けないはずの言葉を聞かせてしまう……それが、ペンテコステの出来事だったからです。あの日、あの時、そこに居た人たちも、私たちと同様、集まっていない、集まっているはずがない人たちでした。にもかかわらず、みんなで居合わせました。

 

約束された聖霊を受ける出来事に、みんなで直面しました。時を越え、場所を越え、立場を越えて、そこに集められました。私たちが一つになって祈ること、一つになって聖霊を受けることは、距離も、時間も、感染症も、妨げることができません。私たちがどこにいようと、どんな状況であろうと、神様の送る聖霊によって、集まることができるんです。

 

その日、集まっているはずがない人たちと、私たちは集まります。閉め切っているはずの家に、新しい風が吹いてきます。距離の壁、言葉の壁、死の隔たりさえ壊されて、みんなで神の業を体験します。それが、ペンテコステです。神様が約束したものを与えられる出来事です。あなたの家が教会になり、あなたの祈りが、みんなの祈りになる日です。

 

あなたにも、あなたたちにも、約束された聖霊が来るのを信じなさい。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(神奈川県横浜市の横浜指路教会)のために、教会員のために、身近な人のために、苦しんでいる人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆神奈川県横浜市の横浜指路教会のために祈ります。コロナ禍で、主日礼拝を2回に分けている教会に、あなたの支えがありますように。それぞれの礼拝で顔を合わせられない人との間にも、あなたによって見えない結びつきが強められますように。

◆教会員のために祈ります。華陽教会をはじめ、それぞれの教会に連なる人たちに、あなたの慈しみがありますように。伝道、集会、建物、会計、多くの課題がありますが、一人一人が希望を持って、信仰生活を続けることができますように。

◆身近な人のために祈ります。感染症にかかったり、他の病気になったり、怪我を負ったり、認知症が進んだり、障がいの悪化に苦しんでいる人たちに、あなたの癒しがありますように。必要な治療や療養を得て、無事に回復が導かれますように。

◆苦しんでいる人のために祈ります。自分ではどうにもできないことのために、悩み、苦しみ、葛藤している人たちに、あなたの励ましがありますように。変化に必要な気づきと周りの助けがもたらされ、新しい命が与えられますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌3番「閉じこもるわたしたちに」(©️柳本和良)を歌います。オンライン賛美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。主の祈り。

 

主の祈り93-5A

天にまします我らの父よ。
願わくは御名をあがめさせたまえ。
御国を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を今日も与えたまえ。
我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。
アーメン。


日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳

天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン。

 

報 告

本日も、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。来週の日曜礼拝も、引き続き、配信等による在宅礼拝を行います。5月8日以降の礼拝と集会については、毎週水曜日に病床使用率の推移を見て役員会で検討します。

 

決定次第、教会員への連絡網とホームページ、各種SNSの公式アカウントでお知らせするので、各自ご確認ください。また、教会員の方は、総会資料と議決権行使書を郵送させていただいたので、こちらもご確認ください。また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。