ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『敵地で人を癒す』 使徒言行録5:12〜16

聖書研究祈祷会 2022年7月27日


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案 内

華陽教会では、感染症拡大を防ぐため、初めて参加する方のみ、お問合せいただき、10〜15名以内になるよう人数を調整して、少人数で配信と並行した聖書研究祈祷会を行っています。共に今、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の166番「主は、わたしを究め」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。第6波を上回る勢いで、新型コロナ感染症の第7波が広がっています。医療現場も相当逼迫し、スタッフもギリギリの状態です。どうか今、多くの人が助かるように、治療に当たる人が守られるように、私たちの行動を導いてください。

◆私たちの神様。7月8日の銃撃事件以降、カルト問題やカルト2世に大きなスポットが当たっています。一方で、過去の経験がフラッシュバックする2世や脱会者もいます。どうか今、新たな被害を防ぎつつ、当事者の心が守られるように助けてください。

◆私たちの神様、自らの意志で自由にならない属性を理由に、犯罪と結び付けられたり、排除されたりする人に、あなたのお守りがありますように。どうか今、差別や偏見と分からずに特定の人を攻撃し、追い出そうとする人に、気づきと回復がもたらされますように。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録5:12〜16の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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andreas160578によるPixabayからの画像

メッセージ

神の子であるイエス様が、天へ昇って姿が見えなくなった後、その弟子たちが、信者と一緒に集まるようになった場所は、普通なら考えられない場所でした。なぜなら、自分たちを導いてくれた救い主、イエス・キリストを「十字架につけろ」と扇動し、処刑させてしまった祭司長や長老たちが闊歩する、神殿の境内だったからです。

 

当然、イエス様を信じて弟子になった人たちも、祭司長や長老から目をつけられ、神殿守衛長やサドカイ派に投獄され、議員や律法学者の取り調べを受け、「今後、キリストの名によって誰にも話すな」と脅しを受けています。そんな敵対勢力が、勢揃いした空間が、エルサレム神殿の境内でした。

 

もちろん、敵対勢力のど真ん中ですから、そこに集合した彼らが、歓迎されるとは思えません。「一同は心を一つにしてソロモンの回廊に集まっていたが、ほかの者はだれ一人、あえて仲間に加わろうとはしなかった」とあるとおりです。わざわざ白い目で見られるところに、みんなで集まっていたんです。

 

ソロモンの回廊は神殿の東側にあり、以前、足の不自由な男を癒した使徒ペトロが、民衆にイエス様のことを話し出し、祭司や神殿守衛長に捕らえられた場所でした。そんなところにまた集まって、民衆へイエス様のことを話し、心を一つにして祈るって、なかなか考えられません。仲間が逮捕され、白い目で見られ、耳を傾けてもらえないところです。

 

しかも、イエス様の弟子たちは、神殿へ行き来する大通りで、エルサレムとその付近から、連れて来られた病人を一人残らず癒します。ただでさえ目をつけられて、いつ逮捕されるか分からないのに、敵の近くで、汚れた霊につかれた人や、病気にかかっている人を一々助けていくなんて、危険極まりありません。

 

そもそも、エルサレムという町も、町中の人々も、イエス様を信じる人にとっては警戒すべき対象です。なぜなら、彼らこそ、祭司長たちに扇動され、イエス様を「十字架につけろ」と大声で訴えた、あの時の一人だからです。一週間前には「ダビデの子、ホサナ!」と歓迎していた救い主に、あっさり掌を返して死を突きつけた、大衆の一部だからです。

 

そんな人々が近づいてきて、「どうかわたしを癒してください」「どうかうちの子を助けてください」と願います。ダメもとで、何とか癒してもらおうと、弟子たちの影に触れようとします。癒された人々は、清くなった体で、またエルサレム神殿へ行くようになります。祭司長や長老たちが指導する、律法学者が闊歩する、あの神殿で礼拝します。

 

どうでしょう? 皆さんが地上に残されたイエス様の弟子だったら、神殿でメッセージを語るでしょうか? エルサレムで病人を癒すでしょうか? たぶん、もう少し離れた所に教会を建てて、自分たちのコミュニティーへ来た人だけを癒そうとするんじゃないでしょうか? 白い目で見られないところ、話を聞いてくれるところで、語ろうとするんじゃないでしょうか?

 

今日、健全なキリスト教会で、「うちに来れば、あなたの病気は癒やされます」とか「礼拝に出たら、あなたの悩みが解決します」という言葉で、人を集めようとすることはありません。もし、そういうことをしたら、宗教カルトやマルチ商法と同じ仕方で、人を集めることになるからです。神様の意志ではなく、自分たちの思いの強さで、奇跡が起こるかのように思い込ませてしまうからです。

 

しかし、中には、病気が癒やされない人を「神に赦されていないから」と言ったり、事故や災害が起きた場所を「信仰が足りない地域だから」と言ってしまったりする人もいます。神の赦しを得たいなら、信仰によって癒やされたいなら、自分たちの信仰に異を唱えない教会へ来て、あなたも仲間になるように……と。

 

ところが、初代教会は、自分たちの信仰に異を唱えるところへ集まって、その人々に語りかけました。「あなたたちも救われるように」と、心を一つにして祈り、語っていきました。汚れた霊に悩まされている人、病気に苦しんでいる人は、一人残らず癒していきました。「自分たちの教会へ来たら助けてあげよう」とは言いません。自分たちの方から、自分たちの話を聞かない場所へ出て行って、語り、癒し、導きます。

 

なぜなら、使徒たちをはじめ、仲間に加わった全ての者は、みんな信じていなかったのに、信じる者となるように、イエス様の方から繰り返し呼びかけられた者だからです。疑い続けたトマスのもとへイエス様が現れたように、三度否定したペトロのもとへイエス様が訪れたように、戸に鍵をかけて締め出していた自分たちにイエス様が平和を宣言されたように、彼らもまた、信じない者、疑う者、背いている者を、受け入れに行きます。

 

私たちもまた、自分たちの信仰に異を唱える世界と出会ったとき、かつての先人が、エルサレムで救いを否定したり、助けることを拒否したり、滅びを宣言したかどうか、振り返りたいと思います。むしろ、私たちが世界に呼びかける言葉は、私たちがキリストに呼びかけられた言葉でありたいと思います。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(神奈川県綾瀬市の大塚平安教会)のために、医療従事者のために、治療中の人のために、困窮している人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆神奈川県綾瀬市の大塚平安教会のために祈ります。信徒と牧師が奮闘している主日礼拝、子どもの教会、祈祷会の集まりが、豊かに用いられますように。神様に与えられた信仰を実践することができるように、一人一人が支えられますように。

◆医療従事者のために祈ります。新型コロナウイルスだけでなく、RSウイルスなど、子どもの間で感染症が広がっています。熱や嘔吐で苦しんでいる子どもたちに、あなたの癒しがもたらされ、病院や訪問先で治療に当たる医師や看護師、家族が支えられますように。

◆治療中の人のために祈ります。感染症をはじめ、様々な病気や怪我の治療をしている人たちに、あなたの励ましがありますように。発達障害の二次障害や依存症に苦しむ当事者や身内の上にも、回復がもたらされますように。

◆困窮している人のために祈ります。経済的に困っている人や、悪質な環境から抜け出せない人、人間関係で追い詰められている人に、あなたの助けがありますように。それぞれ必要な治療や支援、避難や休息を得られるところにつながれますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌16番「苦難のはざまから」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。主の祈り。

 

主の祈り93-5A

天にまします我らの父よ。
願わくは御名をあがめさせたまえ。
御国を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を今日も与えたまえ。
我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。
アーメン。


日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳

天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン。

 

報 告

本日も、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった4名、同時に視聴された12名、計16名が参加されました。後から動画や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

華陽教会では、今週から8月7日まで、奉仕者と数名の会衆で順番に集まり、配信と並行して礼拝を行う『調整型小規模礼拝』へ移行しています。聖書研究祈祷会も人数を調整するため、初めて参加する方のみ、お問い合わせいただいています。

 

またしばらく、ご不便・ご迷惑をかえてしまいますが、ご理解・ご協力どうぞよろしくお願いします。また日曜日まで、皆さん一人一人に、神様の平和がありますように。