ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『えげつないキリスト?』 テサロニケの信徒への手紙二1:3〜12

在宅聖研祈祷会 2020年5月6日

 


『えげつないキリスト?』テサロニケの信徒への手紙二1:3〜12

 

 

讃美歌

ただいまより、在宅聖研祈祷会を始めます。最初に、讃美歌(561)番「平和を求めて」を歌いましょう。動画では、権利関係に配慮して歌いませんが、『讃美歌21』をお持ちの方はぜひ、この賛美を味わいつつ、御言葉を受け取る準備をしましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

復活と希望の主である私たちの神様。5月最初の水曜日を迎えました。今、私たちは長期にわたる自粛に疲れ、新しい変化を必要としています。

活力を失った人、やる気がなくなった人、希望を見出せなくなった一人一人に、あなたの光を照らしてください。

可能になったこと、新しくなったこと、回復したことを見失わないよう、私たちの目を開いてください。

苦しいとき、困難なときにもたらされる、あなたの気づきと励ましを受け取らせてください。自分を裁き、人を裁くことから解放し、前に進む力を与えてください。

どうか主よ、今こそあなたの平和が実現し、あなたの栄光が現され、あなたの御名がほめたたえられますように。

主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。テサロニケの信徒への手紙二1:3〜12

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

メッセージ

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akiragiuliaによるPixabayからの画像

えげつない言葉

この動画を見る際、『讃美歌21』を手元に置いていた方は、最初に開いた讃美歌561番の歌詞と、今日の聖書箇所、テサロニケの信徒への手紙二1:3〜12の言葉に、思わずギャップを感じたでしょう。

 

一方では、平和を求めて歩もうとする、対立から対話へと絆を作っていく姿勢があり、もう一方では、敵対する者への裁きや滅びを積極的に語っていく姿勢がある。しかも、後者は聖なる書、私たちの生き方を正すはずの聖典の言葉です。

 

それなのに、愛し合うことより、対立や隔たりをもたらす言葉が並んでいるのは、何だか残念ですよね。これを見たとき、キリスト教を信じていない友人や家族、近所の人たちはどう思うだろうか? と考えずにはいられない人が多いんじゃないでしょうか?

 

正直言うと、私はこの箇所を取り上げたくありませんでした。テサロニケの教会で、信徒の多くが迫害に苦しみ、嫌がらせに遭い、その中を必死に耐えてきたのは分かります。なかなか世間に受け入れられず、攻撃を受け、怒りと悲しみを押し殺しながら、信仰を守ってきたのも分かります。

 

迫害される人たち

現在の教会も、新型コロナウイルス感染症の拡大により、あらゆるイベントが中止される中、礼拝に集まっているのが分かると、「あそこは何だ!」「周囲を危険に巻き込むのか!」と白い目で見られる状況です。

 

私たちの教会は、近隣でクラスターが発生したのもあって在宅礼拝になっていますが、知恵を絞って会衆を分けたり、屋外に集まったりして、何とか礼拝を続けているところもあるでしょう。

 

けれども、どれだけ安全に配慮しても、魂を養う礼拝にあずかろうとしても、世間一般から見れば不要不急の外出であり、避けるべき接触のある集会です。地域によって、教会によって状況は違えど、一律に「礼拝を続けているなんて!」と言われてしまうこともあるでしょう。

 

そんな中この手紙を読むと、残念ながら自分の中にも、私たちの生き方、私たちの大切にしているものを受け入れてくれない、攻撃してくる人たちに対する裁きや処罰を求める気持ちが、けっこう燻っていることに気づくんです。

 

今はこんなこと言われているけれど、いつか自分の過ちを知ってショックを受けてほしい。浅はかなことをしたと恥をかいてほしい……ここ2ヶ月、様々な対応や方法を考える中、批判や攻撃を受けてきた人たちは、ちょっと気持ちが分かるでしょう。

 

そう、私たちは大切なもの、大切な生き方を否定され、ぐちゃぐちゃにされ、介入されて怒っているんです。仕方ないと割り切っているかもしれませんが、どこかで自分の受けた苦しみが、実は不当なものだったと判明し、相手に跳ね返ることを望んでいる。

 

たとえ、「破滅しろ」とまでは言わなくても、イエス様が、私たちの生き方を否定した者に、罰を与えてくれないかと考えてしまう。

 

裁きをもたらす主

もちろん、イエス様は安易に滅びをもたらす方ではありません。むしろ、自分を裏切り、自分を見、自分を十字架につけた人たちのために、「この人たちは自分が何をしているか知らないのです」と神様に訴え、庇ってくれた方でした。

 

何も知らずに「十字架につけろ!」と叫んでいた人たちは、確かに後からショックを受けますが、非常に静かなショックでした。「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」こう言ってイエス様が息を引き取るとき、全地は暗くなり、太陽は光を失い、神殿の垂れ幕が真ん中から裂け、地面は大きく揺れました。

 

それを見た百人隊長は、ポツリと「本当に、この人は正しい人だった」と呟きます。想像以上に静かな裁き、自分たちの間違いを知らされ、呆然とするしかない様子……人々は胸を打ちながら返っていきます。私は何てことしてしまったんだろう? 私は何て言葉をぶつけたんだろう? あの人に唾まで吐いてしまった。

 

イエス様がもたらす裁きは、この人たちの生き方を変えることでした。今まで正しいと思っていた当たり前を覆し、以前と同じ生活ができなくなる。神様って、イエス様って、いったい何を私たちにさせようと言うんだろう? そう問わざる得ない人生へと変えていく。

 

キリスト者を殺すため、捕まえて回っていたパウロは、まさにそんな一人でした。彼はまさしく、イエス様の裁きを受けた一人です。自らのとんでもない間違いを暴かれ、それまでと全く違う生き方、敵対していたキリスト者を受け入れ、仲間になっていく生き方。

 

そう、私たちは批判され、非難され、攻撃に逢うとき、イエス様に裁きを求めます。神様に罰を与えてくださいと願います。主はその願いさえ、全ての人を救う道へと変えられます。互いに愛し、互いに仕えるつながりをもたらします。

 

私たちも祈りましょう。信仰を否定し、攻撃していくる人たちに、神様の救いに至る裁きがもたらされるように。私たちの怒りを受けとめ、痛みを喜びへと変える、対立を和解へと変える主に、あなたの叫びをぶつけましょう。

 

とりなし

共に主イエス・キリストが与えられた、とりなしの務めを果たしましょう。本日は、『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(大分県杵築市の杵築教会)のために、感染症拡大を防ぐため、店舗や営業を休止している人たちのために、休園や休校で子どもたちと一緒に過ごしている家族のために、遠隔授業や在宅ワークを始めた人たちのために、礼拝や集会へ集まれない人たちのために祈りを合わせます。

 

神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

 

大分県杵築市の杵築教会のために祈ります。主よ、この教会に委ねられた地域の子どもたちが守られ、幼い子から高齢の方まで、あなたの助けと導きがありますように。

 

感染症拡大を防ぐため、店舗や営業を休止している人たちのために祈ります。主よ、経営の危機や再開の困難を迎えているところに、あなたの助けと支えがありますように。

 

休園や休校で子どもたちと一緒に過ごしている家族のために祈ります。主よ、自粛の期間どうやって過ごすかいつも悩んでいる人たちに、あなたの助けと喜びがありますように。

 

遠隔授業や在宅ワークを始めた人たちのために祈ります。主よ、今までと違う働き方に、疲労と困難を覚えたとき、あなたの助けと休息がありますように。

 

礼拝や集会に集まれない人たちのために祈ります。主よ、緊急事態宣言が延長され、引き続き、教会に集まれない人たちに、あなたの助けと慰めがありますように。

 

今も生きておられ、とりなしてくださる方、主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

讃美歌(565)番「働く人びと」を歌いましょう。こちらも権利関係に配慮して動画内では歌いませんが、『讃美歌21』をお持ちの方はぜひ、この賛美の応答の思いに心を合わせましょう。

 

主の祈り

共に、主イエス・キリストが弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、 我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。アーメン。

 

以上で聖書研究祈祷会を終わります。また日曜日まで、あなたの一日一日が支えられますように。