今週のお題「チョコミント」<雑談>2018年6月27日
チョコミント……それはキリスト教とはあまり関係がないように思われるお菓子の一つである。
しかし、実はキリスト教と切っても切れない関係が存在する……という話は特に聞かない。
なにせ、チョコミントの発祥については多くが謎に包まれており、チョコミントを愛してやまないチョコミン党の人たちでも、その起源を知る者はほとんどいないという。
ネット上では、アメリカのサーティーワン発祥という説や、ミント発祥の地トルコが起源だという説も流れているが、いずれもはっきりはしていない。
ところで、全米菓子協会は2月19日を「チョコミントの日」に制定している。
奇しくも、269年に殉教した聖ヴァレンティアヌスに由来する(とされる)ヴァレンタインデー(2月14日)に近い日だ。
そう、「チョコ」はキリスト教の祝日に、「ミント」は聖書に出てくる植物に関係し、何となくキリスト教の話題とこじつけることが可能なのだ。
新共同訳聖書において、ミントは「薄荷(はっか)」*1という名前で出てくる。
ファリサイ派の人々が、その宗教的熱心さを示すために、「薄荷、いのんど、茴香の10分の1を献げる」というところで、マタイによる福音書とルカによる福音書の両方で言及されている。
どちらも、「儀式的な行為は大事にするが、最も重要な正義・慈悲・誠実さはないがしろにしている人々」の姿を批判する箇所で現れる。
そう……なかなか苦い話である。
ちなみに、ここで引用されている薄荷は馬薄荷(ホースミント)と考えられており、パレスチナの至る所に自生している*2。
茎の高さは1メートルにもおよび、過越の祭り*3に食される苦菜の一つにされたらしい。
古代の人々は、これを風邪薬や調味料として用いていた。
風邪薬と言えば、「苦い」「まずい」である。
もともと苦菜として食されていたことからも、やはりミントの苦さが思い出される。
思い返せば、ヴァレンタインデーの起源(とされている)キリスト教の祝日も、もともとは婚姻を禁止された兵士たちのため、内緒で結婚式を行なったヴァレンティアヌスが処刑された日のことであった。
歴史の中の苦い思い出の一つである。
チョコミントは、キリスト教の歴史と聖書の記述双方において、私たちにほろ苦い話題を思い起こさせる。
しかし、人は苦いだけではやっていけない。苦い記憶、苦い言葉を消化するには、私たちの心と舌に慰めも必要である。
小さい頃は苦手だったチョコミントが、大人になって、たまに味わいたくなってきたのは、そういったほろ苦さと甘さを併せ持つ味だからなのかもしれない……