ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『この信仰がやばい』 マタイによる福音書3:13〜17

聖書研究祈祷会 2021年4月7日 


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案 内

華陽教会では、現在の医療提供体制を踏まえて、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の人数調整をした上で、聖書研究祈祷会も短く開いています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の351番「聖なる聖なる」を歌いましょう。讃美歌21をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美をささげましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆復活と希望の主である私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて水曜日の聖書研究祈祷会に集まることができ、感謝致します。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を受けようとしている人を祝福してください。

◆私たちの神様。今日は今年度最初の聖書研究祈祷会です。今回から、受洗勉強会と平行して、毎月テーマ別の聖書研究を行います。どうか今、キリスト教に興味がある人、聖書に触れてみたい人、信仰に入ろうとしている人を招き、導いてください。

◆私たちの神様。日曜日には、キリストの復活を記念するイースターをお祝いすることができ、感謝致します。今度の日曜日も、一度に集まれなかった人たちと2回目のイースターを礼拝します。どうか今、一人一人にあなたの恵みと喜びを与えてください。

◆私たちの神様。コロナ禍も収束することなく、新年度が始まりました。去年とは、また違った変化や事件が起きています。どうか今、変わるべきことと、変わってはならないことを私たちに気づかせ、必要な選択と判断をさせてください。

◆私たちを送り出される、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。マタイによる福音書3:13〜17(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

 

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Thomas B.によるPixabayからの画像

メッセージ

華陽教会では昨年度まで、教団の聖書日課に沿って、その日に読むよう定められている記事を読んで、水曜日の聖書研究を行ってきました。今年度は、洗礼(キリスト教の入信)を希望している人が、コロナのために直接教会へ来るのが難しい状況なので、受洗勉強会と平行して、毎月設定したテーマ毎に聖書研究を進めていこうと思います。

 

洗礼を受ける気がない人も、別にここで入信を勧めることはありませんので、キリスト教の基本的な教えや知識について、聖書から一緒に学んでいけたらと思います。なお、4月のテーマは「信仰と聖書」です。2021年度、第一回目の本日は『この信仰がやばい』と題して、キリスト教が何を信じているのか見てみようと思います。

 

まあ、キリスト教と名のつくとおり、教会で信じられているのは、イエス・キリストという方についての教えです。「キリスト」というのは「救い主」という意味の称号で、いわゆる苗字(ラストネーム)とは違います。ちなみに、「イエス」という名前も「私は救い」という意味なので、「救い主・救い」みたいなちょっとくどい訳になります。

 

まあ、こんな訳し方する人いないと思いますが、ようするに、キリスト教というのは、イエスという方を救い主と信じている宗教です。このイエスって何者なのか? それをドラマティックに表しているのが、先ほど読んだ聖書箇所、マタイによる福音書3:13〜17です。

 

このシーンで、洗礼を受けにやって来たイエス、そのイエスに降ってきた神の霊(いわゆる聖霊)、そして天からイエスに向かって「これはわたしの愛する子」と宣言してきた父なる神、三者が登場します。そう、「三位一体」という言葉で有名な「父なる神」「子なる神」「聖霊なる神」が一堂に会する特別なシーン。ある意味「三密」ですね。

 

ここでちょっと疑問に感じた人もいるはずです。あれ、キリスト教は唯一の神しか認めない唯一神教じゃなかったっけ? 神様3人出てきちゃったけど、これじゃ多神教じゃないの? そう、ここが聖書の厄介なところ……「神は唯一絶対である」と言いながら、その神は「父なる神」と「子なる神」と「聖霊なる神」とも教えられる。

 

「三者いるけど、唯一だ」という訳わからない話になっています。「三位一体」というのは、この三者、神もイエスも聖霊も、同じ本質、一つの意志を持っている……という教えです。

 

たぶん、一回聞いただけではほとんど分からないと思うので、上智大学の岩島忠彦先生の言葉を借りて説明するなら、「見えない神」「見える神」「感じる神」として覚えていただけたらいいと思います。つまり、イエス様は「見えない神」から生まれた「見える神」「子なるキリスト」「救い主」なわけです。

 

なるほど、じゃあイエス様って「人の子」じゃなくて「神の子」なのか……って普通は考えますよね。でも、聖書は繰り返し、イエス様のことを「人の子」と記してきます。天使みたいに直接天から降りてきた存在じゃなくて、マリアという女性から生まれた人間の子どもとして登場します。

 

しかも、先ほど読んだ聖書箇所では、神の子なのに人間から洗礼を受けています。このときの洗礼って、神様に罪を犯した人間が、悔い改めて新しく生まれ変わることを表すものでした。つまり、罪を犯したことのない神の子なら、受ける必要がないものを受けたんです。しかも、父なる神からじゃなくて、人間のヨハネから神の子が洗礼を受ける。

 

たとえるなら、大学の名誉教授が学生の研究発表で教えを乞うてきたような気まずさです。人々に悔い改めの洗礼(バプテスマ)を授けていたヨハネも慌てます。「わたしこそ、あなたから洗礼を受けるべきなのに、あなたが、わたしのところへ来られたのですか」……救い主でしょう? 神の子でしょう? 私を助ける神様が、何で私から悔い改めのしるしを受けるんですか?

 

そう、イエス様って「神の子」なのに「人間」として振る舞います。じゃあ、ギリシャ神話のヘラクレスみたいに、神と人との間に生まれた「半分人間で半分神」の存在なんでしょうか? ところが、キリスト教会では「まことの神」だけど「まことの人間」っていうよく分からない説明を聞かされます。

 

イエス様は、神が人に変化したものでも、人が神に変化したものでもなく、神と人とが混ざったものでもない。現人神でも、半神半人でも、キメラでもないって言うんです。もう、こっちの理解が追いつきません。キリスト教で信じられている救い主は、潔く言えば理解不能な存在なんです。

 

神のくせに誘惑を受ける、神のくせに虐められる、神のくせに見捨てられる、神のくせに裏切られる。痛いのが平気じゃない、涙を流すし、憤るし、置いていかれるのが辛い。この救い主はスーパーマンでも、英雄でもありません。神と同じ意思を持って、人間と同じ弱さを持って、両者の関係を回復する、強くて弱い神の子です。

 

私を助けてくれる方は、私と同じように痛み、私と同じように苦しみ、私と同じように辛い思いをする。だけど、そこから解放してくれる力がある。こういう信仰なんです。いじめられっ子が、転校してきた文武両断の優等生に助けられるのとは違います。こっちと同じくからかわれ、こねくり回され、苦しんできた人が肩を貸す。

 

攻撃の対象が自分へ向くのが怖くて、思わず見捨てた人、裏切った人が助けにくる。そういう信仰なんです。私から説教を受ける必要はないのに、正しいと思うことを語ってくれ、やってくれと言ってくる。あなたの手を貸し、協力してくれと言ってくる。神の子が、人間に、です。

 

キリスト教の信仰って、けっこうヤバいんです。何で神様がそんなことするの?……って疑問に思うようなことを、「そうしたんだ」って信じる宗教なんです。今年度、この信仰がやばいってところを、いっぱい学びながら、それでも信じる人たちの伝えてきたもの、残してきたものを一緒に見ていきたいと思います。

 

あなたの手が、キリストの愛と平和で満たされますように。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(兵庫県美方郡の香住教会)のために、ミャンマーにいる人のために、香港にいる人のために、台湾にいる人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆兵庫県美方郡の香住教会のために祈ります。この教会に通われている2人の信徒と、療養中の代務者の上に、あなたの癒しと祝福がありますように。香住教会の光が消えることなく、必要なところへ届くように、あなたが導いてください。

◆ミャンマーにいる人のために祈ります。市民の安全と権利が守られ、デモ隊と軍隊の衝突が防がれ、お互いが怪我や暴力から守られますように。平和的な解決と建設的な対話ができるように、あなたが導いてください。

◆香港にいる人のために祈ります。若者も、子どもも、年長者も、対立と分断で疲弊し、弱っているところへ、あなたの慰めがありますように。重なる思いと目的を見つけ、立ち向かうべき問題に連帯して臨むことができますように。

◆台湾にいる人のために祈ります。異なる主張がぶつかるときに、命と尊厳が大切にされ、子どもたちの未来が守られるように、私たち大人を導いてください。手段と目的が誠実であるように、政治家も市民も導いてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌「あなたが共にいること」(©️柳本和良)を歌いましょう。オンライン讃美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

 

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主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。主の祈り。

 

天にまします我らの父よ。

ねがわくはみ名をあがめさせたまえ。み国を来らせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を、今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを 我らが赦すごとく、我らの罪をもゆるしたまえ。

我らをこころみにあわせず、悪より救い出したまえ。

国と力と栄えとは 限りなくなんじのものなればなり。アーメン。

 

 

 

報 告

本日も教会に集まって、配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の受難日礼拝は、配信11名、出席2名、計13名が参加されました。後から動画や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

今度の日曜日には、小規模礼拝Bグループのイースター礼拝が行われます。教会の集会に初めて参加される方は、三密回避の人数調整のため、電話かメールでお問い合わせください。また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。