ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『急いで来てくれ!』 使徒言行録9:36〜43

日曜礼拝 2020年7月12日


『急いで来てくれ!』日曜礼拝 2020年7月12日

 

 

招 詞

露のようにわたしはイスラエルに臨み、彼はゆりのように花咲き、レバノンの杉のように根を張る。(ホセア書14:6)

 

讃美歌

讃美歌21の419番を歌いましょう。前後左右の人と十分に距離を取って、マスクをしたまま歌います。マスクをしておられない方は、受付で使い捨てマスクをお受け取りください。諸事情でマスクを外しておられる方は、飛沫感染を避けるため歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を味わいましょう。

 

お祈り

共に祈りを合わせましょう。

 

◆愛と力の源である私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて日曜日の礼拝に集まることができ、感謝いたします。どうか今、始めて来た人、久々に来た人、一緒に来た友人や家族を祝福してください。

◆私たちの神様、場所や時間を同じくすることができなくても、離れたところで、共にあなたを礼拝している仲間がいます。どうか今、自宅で、職場で、施設で、屋外で、あなたの言葉を受けようとしている人を祝福してください。

◆私たちの神様、熊本県南部を始めとして、各地で激しい雨による被害がもたらされました。高山や白川の方でも、避難した信徒や牧師のご家族がいます。どうか今、被災した一人一人を慰め、救助と復興にあたる人を助けてください。

◆私たちの神様、新型コロナによる影響で、被災した人、孤立した人、困窮する人たちに手が届かず、さらに追い詰められている現場があります。どうか今、必要な助けと励ましが届くように、適切な知恵と勇気をもたらしてください。

◆私たちに現れたイエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖 書

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録9:36〜43(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

 

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Moshe HaroshによるPixabayからの画像

メッセージ

急いで来て欲しい時

牧師や宣教師が急に呼び出されるシーンと聞いて、一番に何を思い浮かべるでしょう? 私は真っ先に「葬儀かな?」と考えます。朝一に電話が鳴って「先生、急いで来てほしいんですが……」と切り出された場合、後に続くのは十中八九「誰かが亡くなった」あるいは「危篤になった」という知らせです。

 

たいていの人は慌てています。次にどうしたらいいか困っています。ずっと前から覚悟して、用意していた家族でさえ、早く誰かに来てほしいと願います。亡くなった人に、何をしてあげればいいでしょう? 他の身内や親戚に、どう声をかけたらいいでしょう? こういうとき、何て祈ればいいでしょう? どうぞ急いで来てください!

 

移動しながら、私自身も考えます。さあ、あっちに着いたら何て言おう? 取り乱したり、泣き叫んだらどうしよう? あるいは落ち着いていたとしても、身内を亡くしたばかりの人に、どう話しかけたらいいだろう? こういうことが、どれだけ巡ってこようとも、なかなか慣れるもんじゃありません。ペトロもきっとそうだったでしょう。

 

「ヤッファでみんなの世話をしていた、タビタという女性が亡くなりました」「急いでわたしたちのところへ来てください」……息切れする2人の使者から知らせを受けて、ペトロはすぐに出かけます。彼女はたくさんの善い行いや施しをしてきた女性です。夫に先立たれ、生活に困る女性たちをずっと助けてきた人です。その人が病気で息を引き取った。

 

思ったとおり駆けつけてみると大勢の人が泣いています。タビタが一緒にいたとき、自分たちのために作ってくれた、下着や上着を持って来て、「彼女がこれを作ってくれた」「彼女がこれを残してくれた」と語ります。みんな思っています。私たちも、彼女に何か報いたい。でも、タビタは死んでしまった。先生、彼女のために何ができます?

 

期待されていること

ペトロは、タビタの遺体が「階上の部屋」に安置されているのを知って、すぐに気づいたことでしょう。やもめたちが何を期待しているか……かつてサレプタという町で、あるやもめが、先立たれた息子をエリヤに甦らせてもらった。かつて異邦人であるシュネムの女性が、死んだ息子をエリシャに甦らせてもらった。

 

その時も、遺体は「階上の部屋」に置かれていた……タビタの遺体はきれいに「清めて」ありましたが、本来遺体に塗るはずの油は塗られていませんでした。やもめたちは、自分たちと同じ未亡人、異邦人に起こされた奇跡を、ここでも起こしてもらうことを願い、ペトロが来る前、速やかに準備したんです。埋葬ではなく、復活の準備を。

 

そう、彼女たちは覚えていました。神様は困窮し、虐げられる女性たちに、癒しと回復の奇跡を起こしてきた。神の子であるイエス様も、ナインという町でやもめの息子を生き返らせ、ガリラヤでヤイロの娘を甦らせた。それらの出来事は常に「もう手遅れだ」「どうしようもない」「見捨てられた」と感じるところで起きてきた。

 

治療が間に合わなかった娘、既に冷たくなった子ども、埋葬される直前の青年……誰もが「お手上げ」「もう頼めることはない」「望みは断たれた」と感じる中、神様はそのただ中で、預言者を、イエス様を遣わされ、命を回復してきました。「私たちにも、神様はあなた、ペトロを遣された!」と言うんです。ペトロにとっては、だいぶ無茶振りですよね? 

 

誰かが息を引き取る度、呼び出される牧師や神父にも緊張が走ります。「私の大切な人が亡くなりました。先生、急いで来てください」……きっとそこで、悲しみが癒されることを期待されてる。立ち直る力や希望が与えられることを願われている。でも自分は、何をもたらすことができるのか? 何を言うことができるのか?

 

正直、これを言えば希望が持てる、元気が出てくる対応なんて、最初から持ち合わせてません。イエス様に遣わされた弟子たちが、下着を2枚以上持たされなかったように、私たちも、悲しむ人にすぐ差し出せるような、何重にも重ねたあったかい言葉を持っているわけじゃないんです。

 

希望への案内人と宣教者

ところが、時々不思議なことが起こされます。何も持っていない私が遣わされ、言葉が全然出てこない中、残された人たちから、故人との思い出が差し出される。「彼女はこんなことをしてくれました」「彼とこんなこともありました」……それらの証が積み重なり、イエス様の話と重なって、私にも告げるべき言葉が示されていく。

 

ペトロにも、そのとき語るべき言葉が示されました。彼を階上の部屋に案内したやもめたちが、タビタの復活を期待したやもめたちが、ペトロに思い出させたイエス様の言葉……「娘よ、起きなさい」……そうだ、私も彼女に語らなければ……「タビタ、起きなさい」……すると、彼女は目を開き、手を取って起こされ、やもめたちの元へ帰されます。

 

震える声で「急いで来てください」と頼まれるとき、悲しみや嘆きを共有されるとき、もともとそこになかった希望が、見つからなかったメッセージが、思い出され、導かれ、語らされていきます。キリスト者に示される希望は、余裕のない、切迫した人の叫びから、嘆きから、案内され、導かれるものでもあるんです。

 

あなたもまた、何も持たずに遣わされるとき、あるいは急いで誰かを呼び寄せるとき、そこになかった希望が、励ましがもたらされることを、どうか諦めず期待してください。悲しみの内にいる人も、戸惑いの中にいる人も、希望に至らせる案内人、希望を知らせる宣教者として、今も遣わされているからです。

 

紹 介

本日、初めて教会に来られた方、久しぶりに来られた方で、紹介をご了承いただいた方のみ、受付の方と一緒にお立ちください。今日は( )名の方が来てくださいました。配信に乗らないようにお名前は後ほど紹介させていただきます。神様の平和が皆さんと共にありますように。

 

とりなし

共に、礼拝につながった者として、とりなしの務めを果たしましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、わたしたちがささげる祈りをお聞きください。

◆世界の国民と政府のために祈ります。主よ、政治に携わる人々に、知恵と勇気と良心を与え、全ての場所に、自由と平和をもたらしてください。

◆世界に広がる全ての教会のために祈ります。主よ、教会を聖霊によって力づけ、その信仰を新たにし、私たちの一致と結びつきを強めてください。

◆教会員のために祈ります。主よ、私たち全てを、御言葉によって豊かに養い、あなたの愛と平和を伝える者として送り出してください。

◆一緒に礼拝できなかった人のために祈ります。主よ、病気や衰え、仕事や様々な事情のために、一緒に礼拝できない人たちを、あなたが癒し回復してください。

◆身近な人のために祈ります。主よ、私たちの家族や友人、仲間たちが、あなたの愛を知れますように、私自身を用いてください。

◆幼稚園、教会学校、地域の子どもたちを覚えて祈ります。主よ、子どもたちの健康と安全を守り、疲れを癒し、安らぎと成長をもたらしてください。

◆苦しんでいる人のために祈ります。主よ、病気や怪我、悩みや苦しみを抱える人たちに、あなたからの平安と、必要な助けを与えてください。

◆今も生きておられ、とりなしてくださる方、主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

主の祈り

共に、イエス・キリストが私たちに教えられた、最も基本的な祈りを祈りましょう。

主の祈り。

 

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。

御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。

アーメン。

 

献 金

感謝の献げ物として献金をします。礼拝のライブ配信に参加されている方は、また後日、教会に来られたときにおささげください。

 

(*新来者が来られたとき)献金は神様の恵みに対する感謝の応答です。教会の維持や運営、地区や教区の働き、福祉や慈善活動への寄付に使われます。金額に定めはありません。持ち合わせのない方は、受付で配られた袋をそのままお入れください。

 

讃美歌

オンライン讃美歌『閉じこもる私たちに』(©柳本和良)を歌いましょう。先ほどと同じく、前後左右の人と十分に距離を取って、マスクをしたまま歌います。諸事情でマスクを外しておられる方は、飛沫感染を避けるため歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を味わいましょう。

 

祝 福

共に、神様の祝福を受けましょう。

 

永遠の契約の血による羊の大牧者、わたしたちの主イエスを、死者の中から引き上げられた平和の神が、御心に適うことをイエス・キリストによってわたしたちにしてくださり、御心を行うために、すべての良いものをあなたがたに備えてくださるように。栄光が世々限りなくキリストにありますように。アーメン。(ヘブライ人への手紙13:20、21)