ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『帰ったり別れたり』 使徒言行録15:30〜40

聖書研究祈祷会 2023年6月21日


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案 内

華陽教会では、賛美中のマスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、讃美歌21の462番「はてしも知れぬ」を歌います。諸事情でマスクの着用ができない方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆愛と力の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。急に気温が上昇し、湿度も高い中、体調を崩してしまう人たちに、あなたの癒しがありますように。どうか今、療養中の人も、病み上がりの人も、心身の健康が守られるように、適切なケアと休息をとらせてください。

◆私たちの神様。新たに、岐阜地区の教会へ来るようになった人たちや、中部教区の教会へ加えられた人たちに、あなたの祝福がありますように。どうか今、それぞれが迎えられた教会で、良い出会いと変化がもたらされますように。

◆私たちの神様。来週の日曜日には、教会のワックス掛けや大清掃を行います。久しぶりに、人数を制限しないで礼拝後に集まります。どうか今、一人一人が無理なく、安全に、奉仕と交流を持てるよう、教会の歩みを導いてください。

◆私たちを新たに送り出す、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録15:30〜40の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Ryan McGuireによるPixabayからの画像

メッセージ

救い主イエス・キリストの弟子たちが、最初に伝道した相手は、同じ国、同じ民族の同胞であるユダヤ人でした。しかし、母国イスラエルで、ユダヤ教の異端として排除され、迫害を受けるようになった信者たちは、首都エルサレムから逃げ出して、諸外国で異邦人を相手に伝道するようになりました。

 

当初、ユダヤ人が中心だった教会の中では、ユダヤ人でない信者の扱いに差があったり、異邦人に対して、ユダヤ人と同様の生活スタイルが求められたりしていました。しかし、最初の教会会議と呼ばれる使徒会議を経て、ユダヤ人も異邦人も関係なく、共に、教会へ受け入れられ、一緒にやっていくことが確認されました。

 

以前、エルサレムからやってきた、ユダヤ人の信者から「自分たちと同様、モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と言われていた、アンティオキアの信者たちは、「割礼を受けなくても、そのままキリスト教徒として受け入れられる」という公式の励ましを知って、たいへん喜びました。

 

今まで、パウロとバルナバ以外のユダヤ人からは、異邦人の自分たちが救われること、受け入れられることを、公式に語られてこなかったので、エルサレム教会の信者たちも、満場一致で、同じキリスト教の仲間であると言ってくれて、ホッとしたんだと思います。彼らにとって、手紙と口頭の両方で、公式の知らせを受けたことは、とても重要でした。

 

さらに、パウロとバルナバに同行して、エルサレムから派遣されたユダとシラスは、使徒会議の決定を知らせてからも、すぐに帰らないで、しばらく滞在し、異邦人の信者たちを励まし、力づけて過ごしました。エルサレム教会の指導的立場に居た人間が、率先して異邦人の信者と交流し、関係を築いていったことは、大きな影響を及ぼしました。

 

教会は、この後も繰り返し、ユダヤ人と異邦人の立場を巡って衝突しますが、その度にこの日の出来事を思い出して、この日の光景に立ち帰って、対話と協議を重ねながら、自らの姿勢を改めていったんです。やがて、ユダとシラスはアンティオキアの信者たちから送別の挨拶を受けて見送られ、自分たちを派遣したエルサレム教会へ帰っていきました。

 

ところが、ユダヤ人と異邦人が和解して、一緒に歩み始めた出来事の直後、残念な展開が待っていました。それは、アンティオキアに残ったパウロとバルナバが激しく衝突し、ついに別行動を取るようになった、という展開です。その衝突とは、以前、宣教の途中で自分たちから離れてしまったマルコと呼ばれるヨハネの同行を認めるか認めないかでした。

 

バルナバは、マルコと呼ばれるヨハネを一緒に連れて、全ての町を訪問したいと思いましたが、パウロの方は、一度、自分たちから離れた者を、一緒に連れて行くべきではないと考えました。どうやら、パウロは自分の過ちを赦されて、使徒の仲間に加えられたにも関わらず、仲間の過ちは赦せなくなっていたみたいです。

 

ここだけ見ると、パウロの方に大きく非があるように感じますが、ガラテヤの信徒への手紙で、パウロ自身が残した言葉によると、どうも、衝突の原因はそれだけではなかったみたいです。異邦人の信者と一緒に食事をすることについて、割礼を受けたユダヤ人から非難が来るのを恐れてしまい、身をひこうとする態度が、バルナバにも見られたことが出てきます。

 

バルナバはバルナバで、他のユダヤ人を信頼できなかったり、異邦人を守りきれなかったり、色々な弱さがあったみたいです。実は、この衝突は、どちらか一方が正しくて、どちらか一方が間違っていたから起きたのではなく、両者にそれぞれ弱さや愚かさがあることを赤裸々に記しているんです。

 

パウロも、バルナバも、一貫して誠実な姿勢を貫けたわけではありませんでした。衝突が起きたのも、別行動を取るようになったのも、ただ自分の信念を貫こうとしたからでなく、保身や頑固さも関わっていました。あらゆる教会に、教区に、教団に起きていることと同じです。

 

しかし、神様はこの2人の分裂を、ただの分裂で終わらせません。2人一緒だったものが、1人ずつ別れたままでいることを赦しません。バルナバは、かつて自分たちと別れたマルコと呼ばれるヨハネと関係を回復し、彼を連れて、一緒にキプロス島へ出発します。一方、パウロは、一旦エルサレムへ帰ったはずのシラスを呼び戻し、エルサレムの人間と共に、シリア州やキリシア州を回って、教会を力づけていきます。

 

2人は別々になって終わったんじゃありません。その先で、かつて別れた者と一緒になり、先に帰った者と再び組んで、宣教の業を新しくしていったんです。キリスト教会が、多くの教派に分かれた歴史も、その延長にあります。私たちは衝突します。別れて行動するようになります。しかしその先で、再び一緒になったり、新たな仲間を加えていきます。

 

帰ったり、別れたり、それだけを見ると、負の歴史にしか見えないものが、実は、別れただけで終わらない、離れただけで終わらせない、神の導きを思い出させる、証の歴史になっています。今、私たちの間で起こる衝突も、分裂も、神様は、ただの分断で終わらせません。これまでの歴史が、目を凝らしたとき、そのことを証明しています。

 

どうか、世の中に絶望し、教会に失望し、自分にも期待できなくなっている人たちへ、神様の導きが、働きが、呼びかけが、力強く示されますように。私自身が、諦めることのないように、希望を捨てることのないように、皆さんと共に、歩んでいくことができますように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(宮城県仙台市の仙台南伝道所)のために、被災した人のために、カルト被害者のために、迫害されている人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆福島県福島市の信夫教会のために祈ります。高齢化のため、教会へ来ることが困難になった人たちへ、あなたの癒しと励ましがありますように。教会と地域のつながりが豊かにされ、あなたの恵みをたくさんの人と分かち合えますように。

◆被災した人のために祈ります。地震、津波、豪雨、台風、旱魃、虫害、噴火など、様々な災害によって、傷ついた人たちに、あなたの慈しみがありますように。被害の拡大が抑えられ、復旧と復興が進むように、必要な知恵と支援をもたらしてください。

◆カルト被害者のために祈ります。破壊的カルトに入ってしまった本人やその身内、周囲の人たちに、あなたの助けがありますように。特に、親子関係で悩んでいる人、関係の制限を受け、社会とのつながりが希薄な人たちに、解放と回復がもたらされますように。

◆迫害されている人のために祈ります。人種、民族、ルーツによって、信仰、思想、立場によって、理不尽で不合理な扱いを受ける人たちに、あなたの励ましがありますように。問題に対する適切な理解と認識が進み、和解と平和がもたらされますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、オンライン賛美歌22番「神よ、諦めない心」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった3名、同時に視聴された3名、計6名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。