ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『破壊した者、変えた者』 使徒言行録6:8〜15

聖書研究祈祷会 2022年9月21日


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案 内

華陽教会では、感染症拡大を防ぐため、初めて参加する方のみ、お問合せいただき、10〜15名以内になるよう人数を調整して、少人数で配信と並行した聖書研究祈祷会を行っています。共に今、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の545番「まことの神」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。台風14号によって、深刻な被害を受けた人たちに、あなたの癒しがありますように。また、二次災害が起きないよう、必要な注意を向けられますように。どうか今、適切な対応をもたらしてください。

◆私たちの神様。来週には、27〜29日まで、教団総会が行われます。多くの課題を抱えておりますが、少しでも誠実に建設的な協議ができるように助けてください。どうか今、送り出された信徒と牧師一人一人を導いてください。

◆私たちの神様。来週から、中部学院大学の新学期も始まります。様々な感染症対策をしつつ、対面での授業が行われます。どうか今、学生たちの学びと経験が豊かにもたされますように、後期もあなたが導いてください。

◆私たちを支え、導き、送り出すイエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録6:8〜15の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Steve BuissinneによるPixabayからの画像

メッセージ

かつて、教会で食事の世話をする者として選ばれた7人の一人、ステファノは、いつしか、イエス様の中心的な弟子であった12使徒と同じように、伝道の最前線へ出て行くようになりました。華陽教会でたとえるなら、礼拝後のハレルヤランチの配膳係が、新来者のサポートをしているうちに、伝道師の役割も負うようになっていた感じです。

 

この時点で、外国出身の人々を蔑ろにしていた地元のユダヤ人たちは、自分たちの居場所が崩されるような危機感を覚えたかもしれません。我々は食事の世話をする者として、雑用として、あの7人を選んだのに、なぜ彼らは使徒たちと同じように振る舞うのか? それは、外国出身の彼らでなくて、我々の仲間が中心となってやることではないか?

 

大人しく、食事の世話をしていればいいのに、彼らが教会の働きの中心に出てくるのは正直気持ちが落ち着かない。何でヘブライ語を、地元の言葉を、話さないような人たちが、我々の世話ではなく、我々を導く立場になっているのか……軽んじられていた人々が、思ってもみない働きを担うようになると、当然、居心地の悪くなる人々が出てきます。

 

教会内の最初の軋轢が見えてから、初代教会は内側からも外側からも揺り動かされる日々を送るようになりました。先ほど読んだ聖書の箇所は、一見、教会の外側から、ステファノたちの仲間でない者から、攻撃され、立ち向かうことになった話に思えます。しかし、よく見ると、ステファノを攻撃してきた人々は、これまでの敵とは違います。

 

復活したイエス様が、天に昇って見えなくなった後、地上でイエス様の教えと業を伝えるようになった弟子たちに敵対していたのは、多くの場合、伝統的な信仰を持つユダヤ人でした。外国人への伝道や、外国出身のユダヤ人信徒と衝突するのも、ヘブライ語を話すユダヤ人でした。

 

けれども今回、ステファノに対して議論を持ちかけ、彼を逮捕し、裁判を起こしたのはステファノと同じように、ギリシア語を話すユダヤ人か、外国出身の異邦人と思われます。キレネとアレクサンドリア出身の者たちが入っていますから、間違いなく、異邦人と交流を持ってきた人々です。

 

加えて、地元で暮らしてきたユダヤ人たちからは、そんなに良い扱いを受けていたとは思えない、解放奴隷も含みます。解放奴隷とは、戦争捕虜としてローマに連行され、のちに奴隷身分から解放されたユダヤ人とその子孫です。日本で言う、在日朝鮮人と少し似ているかもしれません。

 

つまり、ヘブライ語を話すユダヤ人から軽んじられていた人々、ステファノのようなギリシア語を話すユダヤ人が、守ろうとした、助けようとした人々と、アイデンティティが重なっている者たちです。どちらかと言うと、ステファノの話を快く聞いてくれても良さそうな人たちが立ち上がり、反抗し、彼に敵対していきます。

 

実はこの箇所、最初から話の通じない人たちに挑んで、敵対した話ではないんです。むしろ、ステファノたち、ギリシア語を話すユダヤ人が、伝道の最前線に立って、真っ先に受け入れてもらおうとした、仲間に加わってもらおうとした、近しい相手の者たちから、捕えられ、偽の証人を立てられ、訴えられてしまった話なんです。

 

彼らは人々を唆して、「わたしたちは、あの男がモーセと神を冒瀆する言葉を吐くのを聞いた」と言わせ、民衆、長老たち、律法学者たちを扇動して、ステファノを襲わせます。かつては、民衆を扇動してキリストを捕らえさせた長老や律法学者が、今回は外国出身の人々によって扇動され、キリストの弟子を捕らえさせられます。

 

ここに出てくる人々は、もう単純に、権威や指導者に振り回される可哀想な市民たちではありません。むしろ、その権威や指導者を扇動して、自分たちが受け入れられない人物を捕らえさせ、訴えさせてしまう、積極的な敵対者として行動します。

 

ギリシャ語を話すユダヤ人が7人に選ばれた直後に、ギリシャ語を話すユダヤ人や異邦人の悪質な姿が見せられる……単純に、ヘブライ語を話すかギリシャ語を話すか、ユダヤ人か異邦人かで、神様の意志に沿う者か沿わない者かを分けられない、人々の揺れ動く姿が描かれます。教会も信仰者も揺れ動くし、世間も民衆も揺れ動く。

 

一貫して正しく動けた信仰者の姿も、一貫して正しく歩めた教会の姿も、聖書の中には出てきません。聖書に記されるのは、一貫して正しく歩めない私たちに、何度も介入し、付き合い続けてきた神様の、聖霊の姿です。皮肉にも、ステファノを貶めようとした人々は、真理を口にします。

 

「わたしたちは、彼がこう言っているのを聞いています。『あのナザレの人イエスは、この場所を破壊し、モーセが我々に伝えた慣習を変えるだろう』」……そう、確かにイエス様は破壊します。誰かを蔑ろにし、偽証人を立てて、気に入らない者を訴えてしまう神殿や教会を……確かに、イエス様は変えられます。人間が回復されるためではなく、裁かれるために利用される掟や慣習を……

 

そうやって、私たちの人も、教会も変えられてきました。ルターが立ったとき、ウェスレーが立ったとき、ボンヘッファーが立ったとき、「この場所が破壊される」と危機感を覚え、彼らに反抗し、訴えたのは、私たち信仰者の仲間でした。身内に目を覚ますよう呼びかけた人々を捕らえ、追い出し、攻撃したのは、仲間の私たちでした。

 

今も、私たちは無意識に、民衆や長老や律法学者を扇動する者となって、この場所を変えようとする聖霊の働きを拒絶しているかもしれません。私たちは、神の憐れみを受けた異邦人、解放奴隷の側であると思いながら、自分たちに新しい命と生き方をもたらすステファノの声を、黙らせようとしているかもしれません。

 

しかし、神様はなお、私たちに呼びかけ続け、揺るがし続け、新しい生き方をもたらします。私たちに付き合い続け、共にこの場所を新しくすることを望まれます。だから、どうぞ、自分の居心地が悪くなったとき、自分の居場所が破壊されると感じたとき、ステファノに言葉を与えた聖霊が、私たちに語りかけてないか、耳を澄ませましょう。

 

「変えるべきものを変える勇気」と「変えることのできないものを受け入れる平静」「変えることのできないもの」と「変えるべきものとを識別する知恵」を神様が与えてくださいますように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(東京都あきる野市の五日市伝道所)のために、病気にかかった人ために、障害のある人のために、高齢者のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆東京都あきる野市の五日市伝道所のために祈ります。教会員とその家族の健康が支えられますように。信仰を共有する兄弟姉妹が新たに招かれますように。みんなで真の礼拝がささげられますように。

◆病気にかかった人のために祈ります。それぞれの痛みや、疲労や、不自由さが、和らぎますように。苦痛が少しでも解消され、しんどい状況から解放されますように。そのために必要な治療や、ケアや、サポートが、これから得られますように。

◆障害のある人のために祈ります。精神障害、身体障害、発達障害のある人たちに、適切な助けがありますように。当事者と身内と周りの人が、健全な関係を築きつつ、生きやすい日常を手にすることができますように。

◆高齢者のために祈ります。身体が衰えたり、認知症が出てきたり、だんだん孤立してきた人に、あなたの慈しみがありますように。頼れるところと、一緒に何かを楽しめる相手が、近くで出会えますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌13番「恐れ惑うこの身に」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。主の祈り。

 

主の祈り93-5A

天にまします我らの父よ。
願わくは御名をあがめさせたまえ。
御国を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を今日も与えたまえ。
我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。
アーメン。


日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳

天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン。

 

報 告

本日も、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。来週の聖書研究祈祷会も、初めて参加する方のみ、お問合せいただき、10〜15名以内になるよう人数を調整して、配信と並行した聖書研究祈祷会を行います。

 

日曜礼拝も、奉仕者6〜7名、教会員3〜4名、新来者1〜4名の計10〜15名で集まる『調整型小規模礼拝』を行っています。教会員の方は、礼拝出席希望表や牧師とのメール、電話で、出席する日を調整していきます。

 

新来者の方も、毎週一家族分、出席できるように枠を用意しています。始めて教会に来る方は、日曜日は問い合わせなしで参加できるので、ぜひお越しください。また日曜日まで、皆さん一人一人に、神様の平和がありますように。