ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『苦しまなきゃいけない?』 使徒言行録14:21〜28

聖書研究祈祷会 2023年5月17日


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案 内

華陽教会では、賛美中のマスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、讃美歌21の528番「あなたの道を」を歌います。諸事情でマスクの着用ができない方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆愛と平和の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの友なる神様。友人に傷つけられた人、友人を傷つけてしまった人に、あなたの憐れみがありますように。どうか今、孤独から解放され、健全な変化がもたらされ、仲間との関係が回復しますように。

◆私たちの母なる神様。母親に傷つけられた人、我が子を傷つけてしまった人に、あなたの憐れみがありますように。どうか今、安全な居場所が与えられ、必要なケアがもたらされ、適切な距離と和解がもたらされますように。

◆私たちの父なる神様。父親に傷つけられた人、我が子を傷つけてしまった人に、あなたの憐れみがありますように。どうか今、状況が正しく理解され、保護と治療が行き届き、命と尊厳が守られますように。

◆私たちと共におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録14:21〜28の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Dean MoriartyによるPixabayからの画像

メッセージ

「わたしたちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なくてはならない」……まるで、苦行を勧められているような気分になる言葉が、パウロとバルナバから残されています。神の国に入って救われるには、それだけ苦労しなければならない……多くの苦しみを経なければ、神の国には入れない……そんな厳しい言葉に聞こえてきます。

 

何だかカルトっぽくて、警戒心も湧いてきます。神の国に入りたいなら、生活が苦しくなるほど献金したり、一日の大半を奉仕の時間に費やしたり、周りに嫌われてでも新しい人を教会へ連れて来たり、苦しいことを自ら進んでしなければならない……こういうふうに言われていると、頭の中で変換してしまう人もいるかもしれません。

 

最初に言っておきますが、もちろんこの言葉は、苦行を勧めたり、理不尽な指示に従わせたり、信者を奴隷にするために語られたものではありません。各地で迫害に遭っている仲間や、伝道がうまくいかない人たちへ「信仰に踏みとどまるよう」励ますために語られた言葉です。

 

とはいえ、イエス様を信じるようになったばかりの人たちが、この言葉で、信仰に踏みとどまることができたのか、ちょっと疑問が湧いてきます。だって、イエス様を信じるようになったのに、今ある苦しみから、即解放されるわけじゃなく、むしろ、多くの苦しみを経なくてはならないって言われるんです。

 

嫌ですよね? 現代でも、キリスト教を信じる多くの人が、色んな悩みや困難を抱えながら教会へやって来て、苦しみから解放されるために、洗礼を受けていきます。クリスチャンになったら、信仰者になったら、今まで煩わされていた悩みや葛藤から解放されて、平安に生きていくことができる……そう期待している人も多いと思います。

 

実際、神様を信じれば、何でも解決すると言って、伝道している人もいます。信仰を持てば、立派な人間になって、周りとの関係も良くなって、成功を収められるようになる……とアピールする人もいます。そこにいる人たちは皆、生き生きとして、輝いていて、どんな困難にも負けないような、明るい人生を送っているように見えるかもしれません。

 

自分も信仰を持てば、洗礼を受ければ、この人たちみたいに充実した、成功した人生を送れるかもしれない。病気が良くなって、家族や職場の関係も良くなって、生活苦からも解放されるかもしれない。ところが、いざ信仰生活を始めてみると、新たな病気が見つかったり、相変わらず関係性で悩んだり、失敗を繰り返すこともあります。

 

信仰を持ったはずなのに、信じて祈り続けているのに、苦しさから解放されず、生き生きとした人生を送れず、立派な人にもなれてない……これは自分がおかしいのか? 十分な信仰を持ててないのか? 私は本当の信仰者でも、キリストの弟子でもないんだろうか? このまま教会に通っていても、信徒で居続けても、意味はないんだろうか?

 

おそらく、デルベからリストラ、イコニオン、アンティオキアへ引き返しながら、パウロとバルナバと一緒に伝道していた弟子たちも、多くの苦しみを抱えていました。家族と上手くいかない、伝道しても上手くいかない、かえって敵を作ってしまった、かえって仲間を減らしてしまった、自分がここにいてもみんなの苦しみを増やすだけだ……。

 

そんな中、パウロとバルナバは、はっきり告げます。「わたしたちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」……信仰者になったから、キリストの弟子になったから、苦しみがなくなるわけじゃない、上手くいくようになるわけじゃない。むしろ、多くの苦しみを経ることになる。困難や問題とぶつかっていく。

 

私たち、パウロとバルナバの2人だって、仲間だったヨハネと一緒にいることができなくなり、別れてしまった。たくさんの人が話を聞いてくれた翌週に、その町から追い出されてしまった。仲良くなった異邦人たちも、対立しているユダヤ人たちに扇動されて、悪意を抱かれるようになってしまった。石で打ち殺そうとされるほど、憎まれてしまった。

 

何なら今だって、イエス様の教えと業を、御言葉を語っているけれど、教会を建てられない地域がたくさんある。上手くいっていないから、引き返して、もう一度御言葉を語っている。一緒に伝道してきた弟子たちと仲違いになって、別々になることもある。それでも、神様は、私に、あなたに、ゆだねて送り出している。神の国に向かって歩ませている。

 

あなたが多くの苦しみに遭っているのは、不信仰で、神の国に入れないからではありません。あなたが多くの苦しみに遭っているとき、あなたはイエス様と一緒に、神の国へ続く道を歩んでいます。信じても上手くいかない、祈っても願いどおりにならないとき、あなたが信仰者でいることは、キリストの弟子を名乗ることは、意味のないことではありません。あなたから信仰の門が開かれていく、大きな出来事の中にいます。

 

今まさに、苦しくて、しんどくて、そんな状況から解放されず、平安な気持ちになることができず、「私は神様を信頼しきれていないんだろうか?」「こんな気持ちから解放されないのは、不信仰なんだろうか?」と苦しんでいるあなたに言います。その苦しみを経てあなたは神の国へ至る道を歩んでいます。神様はあなたと共にいて、あなたを自分の子、自分の弟子、自分の兄弟と呼んでいます。

 

どうか、一人一人が信仰に踏みとどまることができますように。痛みから、苦しみから解放される道を、キリストと共に歩んでいくことができますように。確かに今、その途上にいることを、神様と共にいることを、知ることができますように。あなたと共におられる主イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(宮城県石巻市の石巻栄光教会)のために、被災者のために、高齢者のために、病人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆宮城県石巻市の石巻栄光教会のために祈ります。東日本大震災から生じた課題を、今も共有しながら生きる人々に、あなたの慈しみがありますように。精神の病と高齢化の中で生きる人々に、あなたの希望が与えられますように。

◆被災者のために祈ります。各地で発生している地震、大雨、疫病などの災害から、一人ひとりが守られますように。特に、ニュースにならない地域や、関心が薄くなっている地域の人に、必要な助けと協力が与えられますように。

◆高齢者のために祈ります。施設に入っている方や自宅から出られない方、一人で暮らすのが困難になっている人に、あなたのお守りがありますように。教会でなかなか会えない人たちにも、会いにいく機会、話す機会が増えますように。

◆病人のために祈ります。入院している人、療養している人、治療中の人、リハビリ中の人、それぞれに、あなたの癒しと回復がありますように。毎日、新しい発見や喜びがあるように、私たちの言葉や行いやつながりを用いてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、オンライン賛美歌9番「たくさん悩んでみたけれど」(©️柳本和良)を歌います。

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖研は、教会に集まった3名、同時に視聴された3名、計6名が参加されました。後から動画や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝いたします。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

なお、来週24日の水曜日は、中部教区総会のため、聖書研究祈祷会はお休みです。次回は5月31日(水)13:30から予定しています。また、明後日19日(金)には、14:30からキリスト教ABC講座を2階集会室で配信と並行して行っています。

 

来週の水曜日はお休みですが、今週の金曜日、興味のある方はぜひ、教会へお越しいただくか、配信を通してご参加ください。それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。