ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『どこから湧いて出た?』 使徒言行録18:24〜28

聖書研究祈祷会 2023年10月4日


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案 内

華陽教会では、賛美中のマスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、讃美歌21の8番「心の底より」を歌います。諸事情でマスクの着用ができない方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆慈しみに富む、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。病気や怪我、障害や衰えに苦しんでいる人たちに、あなたの癒しがありますように。どうか今、適切な治療が進められ、十分な休息と療養を受け、回復の希望と実感が湧くよう、一人一人を助けてください。

◆私たちの神様。介護や看護、ケアやサポートをしている人たちに、あなたの助けがありますように。どうか今、家族や身内、施設の利用者を支えておられる人たちに、あなたの知恵と力がもたらされ、一緒に頼れる人たちが周りに増えていきますように。

◆私たちの神様。孤独や孤立、支配や抑圧、貧困や暴力に苦しんできた人たちに、あなたの慈しみがありますように。どうか今、適切な相談先や、状況を整理する力、周りの気づきと変化がもたらされ、頼れる仲間と自立の道が整えられますように。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録18:24〜28の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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👀 Mabel Amber, who will one dayによるPixabayからの画像

メッセージ

アレクサンドリア生まれのユダヤ人で、聖書に詳しいアポロという雄弁家……突然出てきた人物に、私たちは困惑します。初代教会の歩みについて、使徒言行録を18章まで読み進めてきた人たちは、ペトロやヨハネをはじめとする、イエス様の弟子たちや、宣教者パウロと直接出会って、同行するようになった人たちを見てきました。
 
マルコと呼ばれるヨハネ、シラスとテモテ、アキラとプリスキラ……彼らは、パウロが直接訪れたり、パウロの話を直接聞いて、一緒に、宣教へ出かけるようになった同労者です。そろぞれ、自分の町に留まって、人々にイエス様の教えと業を語り伝えただけでなく他の町にも出ていって、時には外国まで行って、イエス様の教えを宣べ伝えていました。
 
その役割は、使徒やパウロが常駐できない村や町で、信徒を励ます巡回教師や、キリスト教を知らない土地で、開拓伝道をすることでした。きちんと、イエス様の弟子たちからレクチャーを受け、訓練を積み、その活動が、エルサレムの教会にも報告される、正規の教師、宣教師です。
 
ところが、誰から教えられたのか分からない、どこで知識や訓練を積んだのか分からない、背景不明の人間が、いきなり教師の一人として出てきました。「アポロ」という名前が出てくるのはここが最初で、見るからにギリシア人っぽい名前です。実際、彼は当時の世界で「第二の都市」と言われていたアレクサンドリアの出身でした。
 
いわゆる、異邦人の町で生まれた者です。しかし、パウロと同じく、ユダヤ人でもありました。しかも、「聖書に詳しい雄弁家」と出てきます。おそらく、小さいときから、母や父から教えを受け、アレクサンドリアの町にあった、ユダヤ人の会堂でも、熱心に聖書の言葉を聞いていたんでしょう。
 
問題は、彼がいつ、どこで、誰から、イエス様の教えと業を聞いたのか、分からないということです。使徒言行録には、エルサレムの教会がユダヤ人の迫害を受け、壊滅的な被害を受けたとき、各地へ逃れた信徒によって、異邦人の町にもイエス様の教えが伝わっていったと記されています。

おそらく、エフェソの町にも、パウロが訪れる以前に、誰かがキリスト教を伝え、アポロもそれを信じて、みんなへ教えるようになったんでしょう。「彼は主の道を受け入れており、イエスのことについて熱心に語り、正確に教えていた」とあるように、非常に心強い仲間です。
 
一方で、アポロは「ヨハネの洗礼(バプテスマ)」しか知らなかった……ともあります。ヨハネの洗礼は、救い主イエス・キリストを迎えるための準備をする「悔い改めの洗礼」で、イエス様が、私たちのために十字架にかかり、復活して、永遠の命を与えてくださったことを告白する、現在の洗礼とは、少し異なるものでした。
 
ヨハネの洗礼が「イエス様に会うための準備」だとすれば、現在の洗礼は「イエス様と出会ったことを告白し、新しくされるもの」です。それをまだ、アポロが知らなかったということは、イエス様の教えを熱心に語りながらも、イエス様の命じた「父と子と聖霊の名によって」授けられる洗礼を、まだ受けていなかったということです。
 
どうも、教師として各地へ宣教するには不安があります。実際、アポロから、イエス様の教えと業を聞いた人々は、のちに、パウロから質問を受けたとき、「聖霊があるかどうか聞いたことがない」と答えていました。さらに、アポロが教えた人々も、ヨハネのバプテスマを受けており、父と子と聖霊の名によるバプテスマは受けていませんでした。
 
これって、現代の教会でやったら、大問題になると思います。イエス様の命じた「父と子と聖霊の名によるバプテスマ」を受けてない人が、キリスト教を伝えるために、教師として各地を回り、そこで教えを受けた人たちも、聖霊を、本来のバプテスマを、知らないままでいる……下手すれば、「異端」と言われそうです。
 
現実に、日本でも「宣教師」や「牧師」を名乗りながら、所属している教団や宣教団体、出身神学校が分からない、背景不明の人たちがおり、正体や目的を隠して、各大学のキャンパスで勧誘したり、伝道していることがあります。中には、学業よりも自分たちの活動を優先させたり、学生を危険な地域へ派遣して宣教させるグループもあります。
 
実は「どんな背景で活動してるか分からない」って、けっこう恐ろしいんです。当然、そんな教師は警戒されますし、注意しなければなりません。ただ、アポロが、エフェソで宣教していた頃は、初代教会の成長期で、キリスト教を体系的に学べる神学校や組織体制もありませんでした。みんな手探りで伝道していました。
 
最初にできた教会の多くは、名前も知らないどこかの誰かが、自分の見聞きしたイエス様の教えと業を宣べ伝え、それを信じた人たちが集まって、後から、巡回してくる使徒や教師の助けを受けて、少しずつ、少しずつ、形になっていったんです。アポロも、そんな人物の一人でした。
 
ある時、彼がユダヤ人の会堂で、大胆に教え始めたとき、そこに、パウロの同労者、プリスキラとアキラが来ていました。2人は、アポロを自分たちのもとへ招き、もっと正確に神の道を教えます。彼の知らない、聖霊について、父と子と聖霊の名によるバプテスマについて説明します。
 
アポロも、2人に協力し、さらに一生懸命、イエス様の教えと業を伝えるようになります。プリスキラとアキラは、アポロが孤立しないように、アカイア州の弟子たちに、彼を巡回教師として歓迎してほしいと手紙を書きます。背景不明の宣教者は、こうして、弟子たちの輪に加わって、一人ではなく、連携しながら、伝道していくようになりました。
 
このように、健全な宣教は、自分のやり方に固執せず、足りないところを教え合って、補い合って、形成されていったんです。よく見ると、使徒言行録に出てくる、各地の信徒や教会は、代わる代わる、色んな教師と出会いながら、色んな人から教えを受けて、成長していきます。パウロ一人に囲われることも、アポロ一人に囲われることもありません。
 
ある地域には、教会の種を蒔くためにパウロが派遣され、芽が出てきた頃に、次の地域へ遣わされます。そして、水を蒔くためにアポロが派遣され、成長してきた頃に、また次の地域へ遣わされます。パウロに欠けていたもの、アポロに足りなかったものが、次の宣教者によって補われ、キリストの体である教会が築かれていきます。
 
私たちの教会にも、色んな人たちがやって来ます。私だけでなく、鈴木先生や他の教師も来てくれます。遣わされるのは、牧師だけではありません。まだ、洗礼を受けてない人から、私たちが教えられることもあります。同時に、私たちも知っていることを、ここへ来た人たちに伝えます。私たちは互いに派遣され、一緒に共同体を築く者として、神様に出会わされています。
 
どこから湧いて出たのか、分からないままの証人ではなく、キリストにつながる教会の群れとして、互いに支え合い、迎え合い、遣わし合っていきましょう。「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように(コリント一1:3)」アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(秋田県秋田市の秋田高陽教会)のために、カルトの被害者のために、災害の被害者のために、事故や事件の被害者のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆秋田県秋田市の秋田高陽教会のために祈ります。3年ぶりに、教師を招くことができた教会に、あなたの祝福がありますように。秋田伝道が支えられ、こども園の子どもたちや関係者が恵まれますように。

◆カルトの被害者のために祈ります。宗教カルト、商業カルト、思想政治カルト、心理療法カルトなど、様々な集団から被害を受けた人たちに、あなたの癒しがありますように。それぞれの当事者、身内、二世の上に、必要な助けと励ましがありますように。

◆災害の被害者のために祈ります。地震、台風、豪雨、津波、旱魃、飢饉、噴火など、様々な自然災害や、人災によって引き起こされた損害に、あなたの憐れみがありますように。傷や痛みで、今も苦しむ人々に、回復がもたらされますように。

◆事故や事件の被害者のために祈ります。不注意や過失、故意や悪意によって、傷つけられた人々に、あなたの慰めがありますように。間違いが正され、二次被害が防がれ、適切なケアとサポートが受けられますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、オンライン賛美歌15番「わたしたちは旅人」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった2名、同時に視聴された6名、計8名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。