ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『語らなかった相手に』 使徒言行録11:19〜26

聖書研究祈祷会 2023年2月8日


www.youtube.com

 

案 内

華陽教会では、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の401番「しもべらよ、み声きけ」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆思いと言葉と行いを導く私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」が一週間前倒しで解除され、私たちの教会も、来週から「三密を避けた会衆礼拝」を再開することになりました。どうか今、ここへ集まる一人一人の健康と安全を守りつつ、祈りと賛美を合わさせてください。

◆私たちの神様。入園、入学、進級、進学する子どもたちに、あなたの祝福がありますように。どうか今、新しい生活に向けて必要な準備が進められますように。また、自宅やフリースクールで過ごす子どもたちにも、あなたの恵みが豊かにありますように。

◆私たちの神様。卒園、卒業、修了を間近にした子どもたちに、あなたの慈しみがありますように。どうか今、残された時間、恵み豊かな日々を過ごし、新しい出発に向けて力を養えますように。周りの保護者や教師、スタッフの方々も恵まれますように。

◆私たちを支え、導き、送り出すイエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録11:19〜26の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

www.bible.or.jp

jacqueline macouによるPixabayからの画像

メッセージ

イエス様を信じる弟子たちが、初めて「キリスト者」と呼ばれるようになったのは、神の民として選ばれたイスラエル人の土地ではなく、イスラエルを占領しているローマ帝国の大都市アンティオキアで教会ができたときでした。もともと異なる信仰を持っていた、神様に敵対していた、異邦人の土地ド真ん中です。

 

そこで初めて、信仰者が「キリスト者」と呼ばれるようになった……「キリスト者」というのは「キリストに属する者」という意味で、イエス様を神の子と信じる者、イエス様の教えを守り、弟子として歩んでいる者を指しました。それまで、ユダヤ教の一派と見られていた人たちが、初めて「キリスト者」というアイデンティティを持ったわけです。

 

しかも、最初にキリスト者と呼ばれたアンティオキアの人たちは、もともと、エルサレムの迫害から逃げてきた人々が、伝道するつもりのなかった相手でした。19節にこうあります。「ステファノの事件をきっかけにして起こった迫害のために散らされた人々は、フェニキア、キプロス、アンティオキアまで行ったが、ユダヤ人以外のだれにも御言葉を語らなかった……」

 

ちなみに、フェニキア、キプロス、アンティオキアは、いずれも異邦人の土地として有名です。フェニキアは「悪霊に憑かれた娘を助けてほしい」とイエス様に訴えたギリシャ人の女性の出身地で、ユダヤ人にとって、関わってはならない、接触してはならない、異教の民の土地でした。

 

キプロスは、使徒言行録でも何度か名前が出てきますが、まじないや魔術が登場する地域として有名です。これも、旧約聖書で禁じられた、忌むべき行為の蔓延る場所でした。そして、アンティオキアはシリアの総督がいるところで、イスラエルを占領し、支配している勢力の重要な都市でもありました。

 

迫害を受けて、エルサレムから逃げてきた弟子たちは、そこに住んでいる異邦人には目もくれず、ユダヤ人だけにイエス様の教えを語りました。基本的には、フェニキアも、キプロスも、アンティオキアも、異邦人が住む土地で、異邦人の生活する場所なのに、誰一人、異邦人に向けてイエス様の教えたことや、なさったことを語った者はいませんでした。

 

ところが、エルサレムから来た弟子たちが、ユダヤ人に向けて、イエス様の言葉を語っていると、そこにいた異邦人の耳にも、イエス様の教えと業が入ってきました。弟子たちは、異邦人に語っている意識はありませんでしたが、ユダヤ人に紛れて話を聞いていたキプロス島やキレネ出身の者たちは、アンティオキアへ行き、ギリシア語を話す人々にも語りかけます。

 

実は、最初に「キリスト者」と呼ばれた人たちへの伝道は、最初から洗礼を受けて、信仰を告白していた弟子たちによってではなく、ユダヤ人に向けて語られた言葉をたまたま聞いていた異邦人、未受洗者によって行われました。彼らは、宣教の対象から外れていたにもかかわらず、自ら御言葉を受け取って、周りの人たちへ伝えていきました。

 

エルサレムの教会出身の人々が、ユダヤ人だけにイエス様のことを語っている間、シリア、フェニキア、アンティオキアでギリシャ語を話す異邦人たちは、どんどん神様に立ち返り、イエス様を信じるようになっていきました。神様も彼らを助け、エルサレムの教会に噂が届くほど、信仰者の群れは大きくなりました。

 

ちょうどその頃、エルサレムの教会では、カイサリアで異邦人も聖霊を受けたこと、洗礼を受けて、ペトロたちの仲間に加わったことが話題になっていました。今まで「清くないもの」「汚れているもの」として関わってはならないと思っていた異邦人が、神の民としてユダヤ人へ遣わされ、新しい命を与えられたことに、教会は衝撃を受けていました。

 

そこへ、今度はシリア、フェニキア、アンティオキアで、イエス様を信じるようになった人たちが増えているという知らせが入ります。しかも、自分たちが誰も、御言葉を語ろうとしなかった、伝道しようとしなかった者たちの間で、信仰者がたくさん起こされているという知らせです。

 

もはや、誰も止められません。自分たちが語らなかった相手が、いつの間にか、自ら神様を信じるようになり、イエス様の弟子となり、さらに多くの人へ伝道しています。自分たちが語ろうとしなかった人たちへ、どんどんイエス様の教えと業を伝えています。最初に「キリスト者」と呼ばれたのは、まさにこの人々でした。

 

宣教の対象にもならなかった異邦人……礼拝に誘う人も、洗礼を授けに来る人もいなかった非ユダヤ人……しかし、そこにイエス様は来ていました。2人または3人が、キリストの名によって集まり、その教えと業について、聞いたことを共有し、信じる心を与えられるとき、彼らは紛れもなくキリスト者として立てられていました。

 

ついに、エルサレムの教会からも、正式に教師バルナバが派遣され、アンティオキアの教会と一緒にやっていくことが決まります。タルソスにいた元迫害者のサウロも、バルナバと共に、アンティオキアへ連れてこられ、2人で一緒に、まる一年、この教会で多くの人を教えます。

 

よく考えたら奇妙なコミュニティーです。誰も宣教するつもりのなかった人たちが、「清くない」「汚れている」と思われていた人たちが、弟子たちを迫害する側だった人間が、最初に「キリスト者」と呼ばれる群れになりました。最初に、異邦人伝道、世界宣教の拠点となる教会になりました。

 

もしも今、教会から、相手にされない人たちが、「清くない」「汚れている」と思われている人たちが、関わってはならないと、遠ざけられている人たちが、イエス様の教えと業を、聖書の言葉を耳にするなら……神様は彼らに手を伸ばし、助けられ、外から教会へ遣わされる者となるでしょう。教会へ変化をもたらす者となるでしょう。

 

私たちはそのとき、互いに仲間を遣わすことができるでしょうか? 聖霊と信仰に満ちている、自分たちの教師を送り出すことができるでしょうか? 自分たち自身が、避けてきた人と恵みを分かち合いにいけるでしょうか? ユダヤ人でも、異邦人でもなく「キリスト者」として、一緒に立つことができるでしょうか? 

 

「キリスト者」と呼ぶつもりのなかったあの人が、私を変えにきたキリスト者かもしれません。「キリスト者」と名乗れなかったあなたこそ、教会を新しくする、イエス様の弟子かもしれません。私たちの間に、イエス様が立っています。私たちを、互いに遣わす方が立っています。

 

主から離れることのないように、あなたも、私と一緒に来てください。あなたも、一緒に聞いてください。語られなかった御言葉が私たちの間を満たしますように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(茨城県牛久市の牛久教会)のために、被災した人のために、事故に遭った人のために、事件に巻き込まれた人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆茨城県牛久市の牛久教会のために祈ります。コロナ禍が落ち着き、子どもや高齢の方が安心して礼拝へ参加できるようになりますように。会衆と、牧師と、パートナーの健康が守られ、健やかな一年を過ごすことができますように。

◆被災した人のために祈ります。様々な地域で、地震、台風、豪雨、旱魃、虫害、噴火などによって、被災している人たちに、あなたの憐れみがありますように。復旧と復興が進み、新しい日常を築いていくことができますように。

◆事故に遭った人のために祈ります。事故に巻き込まれてしまった人、事故を起こしてしまった人たちに、あなたの慈しみがありますように。特に、心と体の傷が癒やされ、希望と回復がもたらされ、新しい日常を生きていくことができますように。

◆事件に巻き込まれた人のために祈ります。悪意に晒され、暴力を受け、恐怖に怯える人たちに、あなたの癒しがありますように。十分なケアと休息を得て、安心できる仲間と居場所がもたらされ、新しい日常を回復することができますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌15番「わたしたちは旅人」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった3名、同時に視聴された2名、計5名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

聖書研究祈祷会が終わった後、受洗志願者と一緒に受洗勉強会も15:30まで行っています。受洗する気はないけど興味のある人、既に受洗したけど出てみたい人も、自由に参加できるようにしています。どうぞ気軽にお越しください。

 

なお、華陽教会では、水曜日13時半からの聖書研究祈祷会、日曜日9時15分からの教会学校こども礼拝、第3金曜日14:30からのキリスト教ABC講座は、平均5名前後の出席であるため、感染症対策をした上で、誰でも集まれるようにしています。

 

日曜日10時半からの主日礼拝は、19日から「三密を避けた会衆礼拝」の再会を予定していましたが、5日に「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」が一週間前倒しで解除されたことを受け、来週12日から再開します。

 

既に、教会員の方々には連絡網でお知らせしていますが、今度の日曜日からは、感染症対策をした上で、誰でも集まれるようにしています。ぜひ、体調と相談して自由にお越しください。それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。