ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『後は頼みます』 使徒言行録20:25〜35

聖書研究祈祷会 2023年11月15日


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案 内

華陽教会では、賛美中のマスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、讃美歌21の141番「主よ、わが助けよ」を歌います。諸事情でマスクの着用ができない方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆世界を創造し、愛される神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝致します。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。今週の土曜日には、芽含幼稚園と華陽教会の共催で、子どもたちのお楽しみ会が開かれます。在園生の子どもたちと、父母の会の大人たちに、あなたの恵みと祝福が、豊かにありますように。どうか今、良い思い出と交流ができますように。

◆私たちの神様。来週の日曜日には、聖隷クリストファー大学宗教主任の永井英司先生がメッセージをしてくださいます。どうか今、永井先生をはじめ学校関係者の方々、生徒、学生、子どもたちに、あなたの支えと導きが豊かにありますように。

◆私たちの神様。治療のため、通院している人、療養している人、これから入院される人に、あなたの助けがありますように。どうか今、一人一人の不安が和らぎ、痛みや辛さが取り除かれ、順調に、癒しと回復がもたらされますように。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録20:25〜35の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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メッセージ

「どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください」……これは、パウロがエフェソの教会の長老たち、つまり、教会の運営や指導を担う人たちへ、最後に贈ったメッセージです。彼は、アジア州での宣教を終えて、エルサレムへ帰ろうとしていましたが、今戻ったら、自分がタダでは済まないこと、死の危険があることを分かっていました。
 
エルサレムでは、アジア州以上に、キリスト教に対するユダヤ人やローマ帝国の迫害が激しくなり、逮捕、投獄、下手すれば、処刑される可能性もありました。パウロはもともと、祭司長やユダヤ人と手を組んで、キリスト教徒を捕まえて、投獄していた人間ですから、向こうからすれば、裏切り者、キリスト教に寝返った悪人です。
 
実際、彼は今まで何度も殺されかけており、敵の本拠地へ戻ったら、今度こそ無事では済まない状況でした。そんな中、今まで教えてきた、育ててきた教会の長老たちへ「後は頼みます」というふうに、遺言のような言葉を送ります。聞いている方も緊張します。本人から「皆もう二度とわたしの顔を見ることはない」と言われたんですから。
 
怖いのは、単なる応援だけでなく、弟子たちを突き放すような教師の言葉が続くことです。彼は長老たちに対し、自分がみんなに、イエス様の教えと業を、神の国の教えを宣べ伝えたことを振り返り、はっきりとこう言いました。「だれの血についても、わたしには責任がありません」「神の御計画をすべて、ひるむことなくあなたがたに伝えたからです」
 
聞きようによっては、「これだけ言っても、信じない奴は仕方ない」「分からないなら、そいつが悪い」「後は野となれ山となれ……」というふうに、放り出したように感じます。「わたしには責任がない」「教えたことを守らなければ、自業自得だと思え」というふうに従えなかった人たちを見放したように感じます。
 
しかし、後に、パウロの名によるエフェソの信徒への手紙が書かれたように、パウロがアジアを離れてからも、その気遣いと心配は、彼らに向けられ、仲間が派遣されていきました。もう、私はタッチしないよ……という責任放棄の宣言ではなく、もっと力強い意味が、この言葉には込められています。
 
それは、長老たちへの信頼です。私が御国の言葉を伝えきれなかった、私が信じてもらえなかった、話ができなかった人たちに、今度はあなたがたが、イエス様の教えと業を伝えるんだ……パウロは言います。「聖霊は、神が御子の血によって御自分のものとなさった神の教会の世話をさせるために、あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです」
 
自分だから、アジアの人々に神の言葉を伝えられたわけじゃない。聖霊が共にいて、遣わし続けてくれたから、あなたがたに神の教えを語ることができたんだ。私がここで会えなかった、避けられていた、信頼してもらえなかった人たちにも、聖霊が、あなたがたを押し出して、語らせてくださる。私が居なくなった後も……。
 
10月29日の教会研修会では、二世問題のことに触れながら、誠実な信仰継承とは何か、みんなで考えるときを持ちました。自分の子どもや孫たちに、親や兄弟、友人に、思わず、強引な信仰継承をしようとするのは、「自分が居なくなったら、もうこの人を導いてくれる人はいないんじゃないか」という不安もあると思います。
 
私が信仰継承に失敗したら、伝道を達成できなかったら、救われない人たちがいる……そんな恐怖です。実際、何とか教会へ連れてきたいと願いながらも、妻に、夫に、恋人に、子どもや兄弟、姉妹たちに、自分の言葉じゃ、声掛けじゃ上手くいかず、信仰を共有できない……という人は、決して珍しくありません。
 
パウロもそうです。自分の言葉だけじゃ、信じてもらえない人たちが、エフェソにも、アジアにも、ヨーロッパにも、たくさんいました。自分が行けなくなったところへ、弟子や仲間を送ったり、手紙で「彼らを助けてください」と頼んだり、たとえ自分にできなかったことでも、神様はこの群れを通して叶えてくださると信じていました。
 
あなたの隣人への伝道は、あなた一人が責任を負っているものではありません。あなたが居なくなったあとも、あなたが離れているときも、教会全体で担うものです。パウロは自分一人で責任を負い続けませんでした。自分が居なくなったあとにも、責任を持って、言葉を届けさせる人が、聖霊によって立てられ続けると信じていました。
 
実際、私は生前、「家族に信仰継承ができなかった」と呟いていた人の身内が、亡くなってから、葬儀を経て、教会へつながった出来事をいくつか知っています。息子は洗礼を受けなかったけど、息子を通して、祖母が話していた教会学校のメッセージを知り、聖書を開くようになった孫を知っています。
 
群れの力を信じずに、聖霊の導きを信頼せずに、自分の力で強引に信仰継承をするのではなく、自分が居なくなったあとも、聖霊によって立てられる人たちを信頼し、誠実に、愛と平和を伝えることが、私たちに求められている伝道です。もちろん、教会の中にだって、信頼できない不安な要素がは々出てきます。
 
パウロも、自分が去った後に、残忍な狼どもが、キリスト教の迫害者が、外からやってくるばかりでなく、教会の中からも、邪説を唱えて弟子たちを従わせようとする、偽教師や偽預言者が出てくる心配に気づいていました。しかし、後を託す仲間たちが、目を覚まして、弱い者を守り、みんなを立ち返らせてくれると、信じて送り出します。
 
本当に、私が居なくなったあとも、この人を導いてくれる群れだろうか? 私が連れてこられなかった身内、つなげられなかった友人に、みんな関心なんてないんじゃないか? そんな思いが向けられる群れから、安心して、信仰継承を託していける、誠実な伝道を続けていける、暖かい群れへと、一緒に育っていきましょう。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(北海道江別市の野幌教会)のために、働いている人のために、働けない人のために、休めない人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆北海道江別市の野幌教会のために祈ります。教会、幼稚園、児童会、そして、地域への働きが豊かに祝福されますように。世にある希望の教会として、歩み続けることができますように。

◆働いている人のために祈ります。病気や怪我はしてないものの、疲れや悩みが積み重なっている人たちに、あなたの慈しみがありますように。職場だけでなく、家庭や町内、人と人との関係で、様々な働きを負う人たちに、あなたの助けがありますように。

◆働けない人のために祈ります。事故や事件、怪我や病気、挫折や失敗などをきっかけに働くことが困難になった人たちに、あなたの支えがありますように。明確な理由が分からないものの、動けない人たちにも、必要な力とつながりができますように。

◆休めない人のために祈ります。経済的な事情や人手不足、介護や子育て、家事や勉強のため、なかなか休めない人たちに、あなたの憐れみがありますように。休むこと自体が不安な人、休み方が分からない人たちに、あなたの平安がもたらされますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、オンライン賛美歌22番「神よ 諦めない心」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった5名、同時に視聴された3名、計8名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

なお、今週の第三金曜日には、14:30からキリスト教ABC講座を行います。会場は、2階集会室から3階集会室へ変更になったので、当日来られる方はご注意ください。それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。