ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『こんなのあり?』 ホセア書2:20〜3:5

聖書研究祈祷会 2021年1月27日


『こんなのあり?』在宅聖研祈祷会 2021年1月27日

 

案 内

華陽教会では、感染拡大による岐阜県の医療提供体制の逼迫を受け、聖書研究祈祷会も、配信等による在宅聖研として行っています。場所も時間もバラバラですが、神様によって見えない教会に集められたことを覚え、共に聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

最初に、讃美歌21の125番「いかに幸いなことだろう」を歌いましょう。讃美歌21をお持ちでない方は、そのままお聞きいただき、心で賛美を味わいましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、水曜日の聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝致します。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を受けようとしている人を祝福してください。

◆私たちの神様。今月、最後の水曜日となりました。2021年最初の1ヶ月を、今日まで導いてくださり、感謝致します。どうか今、これから先のことに不安を覚える全ての人に、あなたの助けをもたらしてください。

◆私たちの神様。今年、受験を迎える生徒たちや、就職活動をする学生たち、周りで支えている保護者や職員に、あなたのお支えがありますように。どうか今、くじけそうになっている一人一人に、新しい力を与えてください。

◆私たちの神様。新年早々、新型コロナや各地の災害に、気が滅入っている人たちに、あなたの癒しがありますように。どうか今、脱力し、困惑し、期待が持てない人たちに、変化と回復の光を照らしてください。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。ホセア書2:20〜3:5(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

www.bible.or.jp

 

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Ryan McGuireによるPixabayからの画像

メッセージ

預言者ホセアって、教会の人なら誰のことか、パッと思い出せるでしょうか? 預言者と言えば、イザヤ、エレミヤ、エゼキエルが有名ですが、その他の人物、いわゆる「小預言者」と言われる人たちは、聖書の中でもあまり多くを割かれません。12人いる彼らを空で言える人って、なかなかいないと思います。

 

ですが、ホセアという名前には、ある程度、聞き覚えのある人がいるでしょう。と言うのも、「象徴預言」と呼ばれる彼の行動は、非常に印象的だから……教会に長年通っている人であれば、一度は聞いたことがあるはずです。娼婦をしていた女性を妻に迎え、その妻が自分を捨てて娼婦に戻った後、彼女の身請け料を払って連れ戻し、再び妻に迎えた男。

 

ホセアがこのような行動をとったのは、神に命じられたからです。「行け、淫行の女をめとり、淫行による子らを受け入れよ。この国は主から離れ、淫行にふけっているからだ」ひどい命令ですよね? 異教の神々を拝む偶像礼拝に陥った人々を、娼婦をしていたゴメルに重ね、彼女との関係を通して、イスラエルと神との関係を表すように命じたわけです。

 

ホセアは黙って従いますが、いくら神に選ばれた預言者とは言え、そう簡単に容認できる話じゃありません。よく素直に言うことを聞いたな……と彼に同情する人が多いでしょう。しかし、この命令によって自分の意志を無視された人は、彼だけではありません。結婚したゴメル自身も、おそらくホセアの妻になることを望んではいなかった。

 

そりゃそうです。「淫行の女をめとれ」と言われて自分と結婚する男に、良い印象なんて抱きません。そもそも、父親の名前を知られている彼女は、単なる売春婦というよりも、制度的に身分の保証された神殿娼婦と思われます。彼女の仕事を「淫行」とみなしうるのはホセアの立場からであって、彼女自身は自分の属する家の巫女のような存在でした。

 

しかも、彼女が信仰していたのはイスラエルの神ではなく、バアルの神と思われます。それなのに、自分の信仰と異なる神から命じられた、と言うホセアに、妻となるよう迫られる……「こんなのあり?」ってなりますよね。さらに、自分とホセアの間に生まれた子どもにも、不名誉な名前がつけられます。

 

かつて、無実の者が殺された地名をつけられたイズレエル、「憐れまれぬ者」という名をつけられたロ・ルハマ、「わが民でない者」という名をつけられたロ・アンミ……ここまでされたら、そりゃ逃げ出したくなりますよ。案の定、ゴメルはホセアと離婚して、神殿娼婦に逆戻りします。

 

おそらくこの話は、広くキリスト教会で、次のように捉えられてきたでしょう。自分を捨てて、娼婦に戻ったゴメルを買い戻し、再び妻に迎えたホセアの姿は、憐れみ深い、寛容な行動を示している。神様が、自分を捨てて、偶像礼拝に陥った人々を、なお受け入れて愛そうとする、慈しみ深い姿と重なっている。

 

実際、彼の行動は繰り返し賞賛されてきました。けれども、神に背いたイスラエル人と重ねられているゴメルの方は、不名誉な称号を引きずっています。よく知られた神殿娼婦が預言者の男と再婚する。一度、自分から裏切って逃げ出したことも知られている。ホセアの妻でいることは、イスラエルの中で、一生その責めを意識し続けることになる。

 

にもかかわらず、「わたしのもとで過ごせ」と言うホセアのもとに、彼女は帰ってくるわけです。すごい決断ですよね? 言うことを聞かないで、また逃げ出すのが普通だと思います。もう二度と、夫に頭が上がらない。夫の言うことに逆らえない。そんな支配関係に身を置くことになりかねない。

 

イエス様のたとえ話に出てくる放蕩息子を思い出します。家を出て、放蕩の限りを尽くした弟が、財産を失い、父親のもとに帰ろうと決心する。自分から家を出たのに、息子として戻ることはもうできない。奴隷でいいから雇ってもらおう……あの有名なたとえ話のように、ゴメルの頭にも、夫の奴隷という言葉がよぎったんじゃないでしょうか?

 

そういえば、彼女の仕えるバアルの神は「我が主人」という名前でした。今度はそれがホセアという別の主人に変わるだけです。ところが、神の言葉を語るホセアは、18節でそれを否定して見せました。「その日が来ればと/主は言われる。あなたはわたしを『わが夫』と呼び、もはや、『わが主人(バアル)とは呼ばない』。わたしは、どのバアルの名をも/彼女の口から取り除く。もはやその名が唱えられることはない。」

 

そう、ホセアからの「自分のもとで過ごすように」という呼びかけは、「私を主人とするように」という呼びかけではありませんでした。私はあなたの主人ではなく、あなたの夫と呼ばれたい。神が、そのような関係を望むように……彼女はこれを聞いて、勇気を出して戻ってきます。自分を奴隷にしていた生き方から解放され、神の民となるために。

 

もしかしたら、ゴメルには「夫といたときの方が幸せだった」と思う機会があったのかもしれません。それを示唆するような記述が、9節にも出てきます。パンと水、羊毛と麻、オリーブ油をくれていた愛人たちが、自分のもとに来なくなり、追いかけても見つからない……誰も自分に手を伸ばさない。

 

それでも、実際、彼のもとに帰ろうと思うのは難しい。自分から出てきた、自分から離れてきたのだから。しかし、そんな私たちに、神様は不安から解放し、戻ってくるための呼びかけを続けておられます。神様の方から買い戻しにやってきて、「わたしのもとで過ごせ」と言ってきます。今日も、その言葉を静かに噛み締めたいと思います。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(兵庫県芦屋市の芦屋三条教会)のために、家から出られない人のために、隣人と会えない人のために、一人で暮らす人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆兵庫県芦屋市の芦屋三条教会のために祈ります。この教会に集う一人一人の身近なところに、あなたの平和が実現されますように。それぞれに与えられた賜物が活かされ、あなたの愛と赦しを広く伝えていけますように。

◆家から出られない人のために祈ります。医療危機事態宣言、非常事態宣言、緊急事態宣言が発令される中、不安とリスクから、家を出られなくなった人たちに、あなたの憐れみがありますように。今こそ、あなたの平安がもたらされますように。

◆隣人と会えない人のために祈ります。同僚や友達と会えず、親戚や家族と会えず、親しい人との付き合いが失われてしまった人の上に、あなたの慈しみがありますように。どうか今、新しい出会いとつながり方をもたらしてください。

◆一人で暮らす人のために祈ります。身寄りがおらず、丸一日誰とも話さない日々が続く人、会話の成り立つ相手がいない人に、あなたの励ましがありますように。どうぞ今、あなたの呼びかけと、あなたの遣わす隣人の呼びかけを与えてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

オンライン賛美歌「すべてを売り払い」(©️柳本和良)を歌いましょう。オンライン讃美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

 

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主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。主の祈り。

 

天にまします我らの父よ。

願わくは御名をあがめさせたまえ。御国を来たらせたまえ。

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。

我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、 我らの罪をも赦したまえ。

我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。

国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。アーメン。

 

報 告

本日も、配信を通して在宅聖研にご参加くださり、ありがとうございます。先週の在宅聖研は、私と奏楽者の2名、同時に視聴されていた5名、計7名の出席でした。後から配信や原稿を見て、祈りを合わせてくださった方も感謝します。

 

来週の水曜日も、配信等による在宅聖研を行う予定です。日曜日も、このチャンネルから在宅礼拝を行っています。他に、ビデオ通話による小礼拝を希望される方、牧師と話がしたい方は、教会の電話番号か、ホームページの問い合わせフォームからご相談ください。

 

また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。