ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『神のせいで苦しんだ』 使徒言行録9:10〜19a

聖書研究祈祷会 2022年11月16日


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案 内

華陽教会では、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の526番「苦しみ悩みの」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆命と力の源である、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。召天者記念礼拝で、久々に顔を合わせた人や、最近新しく来られた人との出会いを感謝致します。どうか今、私たちの間にできたつながりが、より豊かに用いられ、互いに恵みを分かち合うことができますように。

◆私たちの神様。今週は、芽含幼稚園の収穫感謝記念日として、子どもたちが自分で切った野菜を使って、豚汁をいただきました。この時を感謝致します。どうか今、あなたからもたらされた成長をみんなで喜び、新たな発見と楽しみを得ていくことができますように。

◆私たちの神様。来週は、華陽教会でも収穫感謝礼拝が行われます。それぞれが、野菜、果物、穀物などを自由に持ち寄って、会堂の前に飾ります。どうか今、共にいただいた恵みに感謝し、その喜びを多くの人と分かち合うことができますように。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録9:10〜19aの新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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Jerzy GóreckiによるPixabayからの画像

メッセージ

神のおかげで助かった、神のおかげで守られた、神のおかげで救われた……聖書からそういう話を聞くと、何となく、ありがたい気持ちになるかもしれません。自分も神に守られている、神に支えられている。そう思えば、ちょっと信じてみようかな……という気になるかもしれません。

 

でも、時として聖書は「本当に信じさせる気ありますか?」と思わせる、厄介な話もしてきます。たとえば、タイトルにつけたような「神のせいで苦しんだ」人の話とか……誰の話かというと、キリスト教会では誰もが知っている、世界的な宣教者、パウロの身に起きた事件です。サウルやサウロとも呼ばれていますが、同じ人物を指しています。

 

そう、彼は、神によって窮地を救われたとか、神に敵から守られたとかで、キリストを信じるようになったわけじゃありません。彼は、神から苦しみを受け、神のせいで苦しんで、キリストを信じるようになっていった、ちょっと可哀想な人間です。

 

パウロはもともと、イエス・キリストを神の子だとは信じていない人でした。むしろ、キリストを信じる者は、神を冒涜している異端者だと思い、処刑するために捕まえて回る迫害者でした。その彼が、ある日キリストの幻と出会い、「サウル、サウル、なぜ私を迫害するのか」と問われます。

 

突然の光と天からの声に「あっ、これは間違いなく神の声……」と思ったパウロは、「あなたはどなたですか?」と問いかけ、自分が敵対してきたイエスであると返されます。まるで、水戸黄門の登場みたいですよね。あっ、自分は間違ったことをしていたんだ。これから私は裁かれるんだ……というターンです。

 

実際、彼は時が来るまで、目を見えなくされてしまいました。イエス様のおかげで、見えなかった目が見えるように、動かなかった足が動くようになった人たちは、礼拝でもたくさん紹介されます。でも、今回は真逆です。イエス様のせいで、健康なパウロは見えなくされて、自由に動き回れなくなり、人の手を借りないと目的地まで進むこともできなくなりました。

 

言わば、呪いを受けたような状態。これで信じたのだとしたら、神様から罰を受け、その罰を免除されるために信じたような、これ以上、重い罰を受けないために信じたような「脅しと恐怖による信仰」みたいに思えてしまいます。

 

実際、キリスト教を信じる人の中には、地獄に落ちるのが怖いから、神の怒りを招きたくないから、信じる人もいるでしょう。確かに、「信じたら助けてもらえる」「呪いを受けなくて済む」「悪いことを避けられる」「素敵なハッピーライフが手に入る」……そう言われたら、喜んで信じたくなります。

 

けれども、幻のイエス様は、パウロについてこう言います。「あの者は、異邦人や王たち、またイスラエルの子らにわたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。わたしの名のためにどんなに苦しまなくてはならないかを、わたしは彼に示そう。」

 

回心した人が、自分を信じた人が、自分のために伝道する者が、そのせいで、どんなに苦しむか、どんなに苦労するか、知ることになる……これって、仲間を増やしたい人の台詞じゃないですよね? 仲間にしたい人へ、「私の仲間になれば苦労するよ」「苦しむことになるよ」なんて普通言いません。

 

以前、キリスト教概論を受けている学生から、こんな質問を受けました。「授業と関係ないですが、先生がなぜキリスト教に入ったのか知りたいです」……その場では、ちゃんと答えられませんでした。私は牧師家庭に生まれました。教会で起きる様々な問題を見てきました。牧師の父が双極性障害になり、何度も病院へ運ばれるのを見てきました。そんな父から言われた言葉が忘れられません。

 

「牧師は素晴らしい仕事だぞ」……いやいや、死にたくなってるじゃん。上手くいかないで困ってるじゃん。僕らの前でも泣いてきたじゃん。イエス様の教えと業を語って、キリストの仲間を増やそうとして、そのせいで苦しむことになるのを見せてきたじゃん。どこが素晴らしいって言えるんだよ?

 

不思議なものですよね……確かに見てきたんです。このめちゃくちゃな世界を。信じたものを伝えようとして傷つけ合い、信じたとおりにできなくて悩み、正直に誠実に生きようとしたら誤解される。パウロもまさに、そういう人生を進んできたし、そういう姿をさらしてきました。それなのに、神のせいで苦しんだ人がこれだけいるのに、やっぱり私はこの方の遣わす先に行きたいな……と思うようになったんです。

 

目を見えなくされたパウロは、ものも言えない状態のまま、人に手を引かれて、自分が捕まえようとしていたキリストの弟子に出会います。彼は、無防備な自分を蔑むことも、恨みごとを言うこともなく、ただ、目が見えるように、聖霊に満たされるように祈ってくれます。

 

それは、見えているときに、見えていなかった世界でした。仲良くなりたくなかった相手に、とりなしを受ける。仲間を処刑してきた自分に手を置いて祈られる。その手は震えていたかもしれません。アナニアも、自分たちを迫害してきたパウロを仲間に迎えるのを神様に反対していました。2人ともありえないと思っていました。でも、それが実現する。苦しんで、悩んで、神に嘆いて、新しい生き方が生まれていく。

 

だから、私も正直に告白します。神のせいでたくさん苦しんできたことを。この道がどんなに険しいものかを。教育に、医療に、リハビリに携わっている人たちが、ありのまま現場で起こっていることを、自分が直面してきた問題を伝え、その中で変えられてきた考え方、生き方を語っているように……。

 

さあ、出かけていきなさい。食事をして元気になりなさい。あなたの苦しみは罰ではなく、神があなたを受け入れる、あなたを自分の業に遣わされているしるしです。あなたの道をこの地が知り、御救いを全ての民が知るように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(東京都足立区の西新井教会)のために、医療従事者のために、子どもたちのために、各家庭のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆東京都足立区の西新井教会のために祈ります。この教会の伝道、教育、奉仕の働きが豊かに用いられますように。付属の保育園が支えられ、地域の人々とつながって、神様の愛と平和が広がりますように。

◆医療従事者のために祈ります。様々な現場で、病気や怪我、感染症の治療のために、激務をこなしている人たちに、あなたの慈しみがありますように。少しでも負担が和らぎ、休む時間と心の回復がもたらされますように。

◆子どもたちのために祈ります。保育園、幼稚園、学校に通う子どもたちが、様々な事故や感染症から守られますように。子どもたちを預けている保護者や、預かっている先生、スタッフの上にも、あなたのお守りがありますように。

◆各家庭のために祈ります。子育て、介護、病気、借金、進学、就活、失業など、たくさんの課題と直面している各家庭に、あなたの憐れみがありますように。それぞれに必要な助けと支えがもたらされ、一人一人に平和が訪れますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌16番「苦難のはざまから」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も、教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の聖書研究には、教会に集まった5名、同時に視聴された6名、計11名が参加されました。後から動画を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。