ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『悪魔の子から』 使徒言行録13:4〜12

聖書研究祈祷会 2023年3月15日


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案 内

華陽教会では、マスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをしたままで、讃美歌21の309番「悪魔の子から」を歌います。諸事情でマスクを外している方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆赦しと和解をもたらす、私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。キリストの受けられた苦しみと十字架の死を思い起こす受難節に入って3週間が経ちました。どうか今、自分の過ちに気がつかず、失敗から立ち直れず、変わることを期待できない私たちに、あなたの希望と力をもたらしてください。

◆私たちの神様。怪我をしている人、病気を患っている人、障害のある人、それぞれに、あなたの癒しと助けがありますように。どうか今、必要な治療、必要なケア、必要な理解がもたらされ、痛みと苦しみから解放してください。

◆私たちの神様。卒園、卒業、修了していく園児、生徒、学生に、あなたの恵みがありますように。新たなメンバーで、同じ学年をやり直す人も、あなたの祝福がありますように。どうか今、みんなの出発を導いてください。

◆全ての者をとりなされる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録13:4〜12の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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メッセージ

聖書の中で、ある人が「悪魔の子」と呼ばれてしまうって、なかなかインパクトのある出来事です。キリスト教徒が誰かに対し、「悪魔の子」と言ったら、もう相当な侮蔑を含んでいます。神の敵、正義の敵、滅ぶべき者……よほど憎んでいる相手にしか、こういう言葉は吐けません。

 

だからこそ、この話を読むとドキッとします。聖霊を受けたパウロから「悪魔の子」と言われたバルイエス、またの名を魔術師エリマ……この人がしてしまったことを、自分もしないように気をつけなければならない。そうじゃないと、自分も神の使徒から「悪魔の子」と呼ばれてしまう。神の敵と言われてしまう。救いから外されてしまう……。

 

そんな恐怖が襲ってきます。事実、魔術師エリマは、パウロとバルナバから神の言葉を聞こうとしている総督セルギウス・パウルスを信仰から遠ざけようとして、目を見えなくされてしまいます。今まで預言者を名乗って、不思議な業を見せて、人々に頼られてきた男は、途端に何もできない、手を引いてもらわなければ、歩けない男に変えられます。

 

自分もこうなったら嫌だなと、誰もが思わずにいられません。人々を騙して、自分を預言者だと偽った、奇跡を起こせると偽った人物が、それ相応の報いを受けたのなら、仕方ないかもしれません。でも、彼自身が本当に、自分を預言者だと思っていたら、自分は神の声を聞いていると思っていたら、この出来事は余計にショックな話です。

 

私たちだって、神の言葉と思って受けとめたものが、本当は、自分がそう思っているだけだったかもしれません。神によって導かれた選択だと思っているものが、本当は、自分がそう感じているだけだったかもしれません。偽預言者とまではいかなくても、自分に都合の良い言葉を神の言葉だと受けとめて、本当は間違えていることがあるかもしれない。

 

牧師にとって、この話は非常に恐ろしく感じます。なぜなら、私自身も、自分に都合の良い言葉を神の言葉と受け取って、皆さんに語っているかもしれないからです。知らず知らずのうちに、偽預言者をしている恐れがあるからです。不思議な出来事を神の導きだと語るとき、人々を惑わす魔術師になっているかもしれないからです。

 

実際、魔術師エリマに向かって、「悪魔の子」と叫んだ使徒パウロは、自分もかつて、神の子であるキリストから、「なぜわたしを迫害するのか?」と叫ばれた人間でした。自分は神の意志に従っていると思っていたのに、神の子から「そうじゃない」と言われた人間でした。

 

よく見ると、魔術師エリマと使徒パウロは、驚くほど重なる要素を持っています。二人ともユダヤ人で、二人ともキリストを信じる者と出会ってすぐに敵対します。二人とも人々から二つの名前で呼ばれています。バルイエスという名の偽預言者が、魔術師エリマとも呼ばれたように、サウロという名の宣教者も、またの名をパウロと呼ばれます。

 

エリマも、サウロも、キリスト者の信仰を邪魔しようとしたとき、その場で目を見えなくされ、手を引いてもらわなければ、歩くこともできなくなります。実は、魔術師エリマが、宣教者パウロにされたことは、かつて、キリスト者を迫害していたサウロ自身が、幻のイエス様にされたこと同じでした。彼と自分が重なります。

 

「ああ、あらゆる偽りと欺きに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵、お前は主のまっすぐな道をどうしてもゆがめようとするのか」……パウロがエリマに向かってかけた言葉は、そのまま過去の自分に返ってくるものでした。私も偽りと欺きに満ちた者だった、私も悪魔の子であった、私も正義の敵になっていた、神のまっすぐな道を歪めていた。

 

エリマに対するパウロの呼びかけは、単なる侮辱ではありません。彼の呼びかけは、自分自身のかつての姿を告白したものでもあるんです。あのとき、復活の主の幻に言われたことは本当だった。私は罪を犯していた、私は偽預言者だった、私は魔術師をやってしまった。信仰者を捕まえて、邪魔して、喜んでいたのは、神の導きでも何でもなかった。

 

パウロはエリマに向かって宣言します。「今こそ、主の御手はお前の上に下る。お前は目が見えなくなって、時が来るまで日の光を見ないだろう」……時が来るまで、あなたは目が見えなくなって、周りの人に手を引いてもらうことになる。私がアナニアに手を置いて祈ってもらうまで、みんなに手を引いていかれたように、あなたも誰かに手を置いて祈られるまで、みんなに手を引かれ、導かれる。

 

今まで見えていなかった道を、今度こそ正しい道を歩けるように……目が見えなくなって、手を引いてもらおうと歩き始めたエリマの姿は、自分が迫害していたイエス様の仲間に迎えられるため、手を引いていかれたパウロの姿と重なっていきます。「悪魔の子」と呼びかけたパウロの叫びは、単なる呪いじゃありません。「悪魔の子」魔術師エリマが、本来の名前である「イエスの子」バルイエスに立ち返るための宣言です。

 

振り返って、私たちはどうでしょうか? 誰かに対して、「悪魔の子」と呼びかける信徒の姿は、色んなところで見聞きします。けれども、そのとき、自分も「悪魔の子」であったことを告白する準備ができているでしょうか? 「悪魔の子」と叫んだ相手が「イエスの子」として導かれるように、とりなす準備があるでしょうか?

 

「退け、サタン」……イエス様からそう言われた人物がもう一人いました。私たちもよく知っている、弟子たちの中心的な人物、使徒ペトロです。彼もまた、悪魔の子であると訴えられ、ショックを受けた人間でした。しかし、イエス様はペトロをサタンのままにはしておきません。自分を見捨てるペトロのために、祈って、とりなし、聖霊を送ります。

 

今、私自身も告白します。私自身も、偽りと欺きに満ちた者、悪魔の子、正義の敵である姿を持っています。にもかかわらず、キリストが出会ってくださった、手を引いてくださった、目を開かせてくださった者の一人です。もし、あなたが「悪魔の子」と呼ばれることが出てきたら、どうか、思い出してください。

 

あなたも見えないキリストに手を引かれ、「イエスの子」として受け入れられ、新しく、キリストの証人として変えられていくことを。イエス様は誰一人、「悪魔の子」のまま、置いていくつもりはないことを。迫害する者と、迫害してきた者が、和解し、つながり、新たな群れとなるように、いつも導いてきたことを。

 

「時が来るまで日の光を見ないだろう」と宣言された人々は、同時に、この言葉を聞くでしょう。「神の国は近づいた。悔い改めて、福音を信じなさい」……イエス様があなたへ出会いにやって来ました。悔い改めて、良い知らせを信じましょう。キリストの復活を記念するイースターまで3週間、「イエスの子」となる準備ができますように。アーメン。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(埼玉県和光市の埼玉和光教会)のために、幼稚園のために、教会学校のために、保護者のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆埼玉県和光市の埼玉和光教会のために祈ります。コロナ禍をはじめ、様々な事情で教会に集えない人たちに、あなたの平安がありますように。連携する幼稚園の新たな歩みを、あなたが支え導いてくださいますように。

◆幼稚園のために祈ります。芽含幼稚園をはじめ、全国の幼稚園、保育園、認定こども園の子どもたちが守られ、保護者と先生、スタッフの健康が支えられますように。特に、病気や事故から、みんなの命が守られますように。

◆教会学校のために祈ります。華陽教会の子どもたちをはじめ、それぞれの教会につながっている子どもたちに、あなたの恵みがありますように。子どもたちが友達と一緒に来たい教会へなれるように、私たちが新しくなれますように。

◆保護者のために祈ります。教会学校へ子どもと一緒に来たいと願いながら、日々の忙しさや疲労によって、なかなか礼拝へ行けない大人たちに、あなたの慈しみがありますように。子育て中のお母さん、お父さんが、子どもと一緒に来やすい教会へなれますように。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをしたままで、オンライン賛美歌3番「閉じこもる私たちに」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった4名、同時に視聴された4名、計8名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

聖書研究祈祷会が終わった後、受洗志願者と一緒に受洗勉強会も15:30まで行っています。受洗する気はないけど興味のある人、既に受洗したけど出てみたい人も、自由に参加できるようにしています。どうぞ気軽にお越しください。

 

それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。