ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『伝道すると分裂する?』 使徒言行録14:1〜7

聖書研究祈祷会 2023年4月19日


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案 内

華陽教会では、賛美中のマスク・消毒・換気・加湿・三密回避の座席調整をした上で、聖書研究祈祷会を配信と並行して行っています。共に今、教会にいる人も、配信を見ている人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、讃美歌21の327番「すべての民よ、よろこべ」を歌います。諸事情でマスクの着用ができない方は、歌うのをご遠慮いただき、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

◆復活と希望をもたらす私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて、聖書研究祈祷会を始めることができ、感謝いたします。どうか今、ここに集まった人たちと、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を求めている人を導いてください。

◆私たちの神様。先週も様々な問題や困難を、あなたが一緒に担ってくださったことを感謝致します。どうか今、一人一人の抱えている、痛み、葛藤、苦しみが、軽く小さくなるように、あなたの軛を負わせてください。

◆私たちの神様。今週も様々な疑問や課題を、あなたが一緒に担ってくださることを感謝致します。どうか今、分からないこと、悩んでいること、つまずいていること、一つ一つに、誠実な向き合い方ができるよう、必要な気づきと発見をもたらしてください。

◆私たちの神様。来週の日曜日には、定期教会総会が開かれます。礼拝や教会学校、聖書研究祈祷会など、様々な活動を振り返り、これからどうしていくか、みんなで協議していきます。どうか今、誠実な伝道ができるよう、私たち一人一人を導いてください。

◆私と共に居てくださる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。使徒言行録14:1〜7の新共同訳と聖書協会共同訳を朗読します。

*日本聖書協会の「ホームページ等への聖書の引用について」に基づき、聖書の引用を適切な範囲内で行うため、配信終了後に聖書箇所のみ記載し、本文をカットしています。該当する聖書箇所を「聖書本文検索」で「書名」と「章」まで入力し、「節」入力を省略すれば、章全体を参照できます。

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MichaによるPixabayからの画像

メッセージ

神様を信じる人が、家庭で、職場で、学校で、周りの人を伝道しようとして、上手くいかなかったとき、かえって危険な目に遭ったとき、多くの場合、「試練」や「迫害」という言葉が頭の中に浮かんできます。一生懸命、伝道しようとしたけれど、理解してもらえなかった、拒絶されてしまった、悪意を抱かれてしまった……。

 

このまま誰にも理解してもらえないのか? 同じ信仰を共有することはできないのか? 私のやり方が間違っているのか?……そんなふうに落ち込むとき、イエス様の弟子たちが同じように迫害を受け、悪意を抱かれ、困難な目に遭ったことを聞き、自分も頑張ろうと励まされる信徒もいるでしょう。

 

一方で、ちょっとドキッとするのは、一生懸命、伝道した結果、家族が、仲間が、友人が、「理解してくれる者」と「理解してくれない者」に分裂してしまう……「受け入れる者」と「受け入れない者」に分かれてしまう……ということを、正当化しているように見えることです。

 

伝道したら、周りの者が「敵」と「味方」に分かれてしまう。自分と同じ側につく者とそうでない者に分裂し、家族関係や友人関係が壊れてしまう。けれども、伝道とは、そういうもので、そうなって仕方のないもので、むしろ、こういった困難にぶつかることは、正しい信仰を持っている証である……そういうふうに、捉えてしまっていいものか?

 

けっこう悩みどころです。というのも、こういった聖書のエピソードは、教会で伝道を奨励するとき、家族や友人を礼拝へ誘ってみるよう促すとき、信徒を励ます目的で、度々読まれてきたからです。身に覚えがある人もいるでしょう。家族を礼拝へ誘おうとして、喧嘩になってしまったり、拒絶されてしまったりした。

 

友人に聖書の話をして、警戒されてしまったり、関係が悪化してしまったりした。けれども、それは、あちこちで伝道していたパウロやバルナバも同じだった。彼らが伝道した町も分裂し、ユダヤ人の側につく者と、使徒の側につく者へ分かれてしまった。しかし、弟子たちは負けないで語り続け、多くの人が従うようになっていった。

 

確かに、励まされる話です。今は理解してもらえなくても、いつか多くの人が信じてくれるようになると、がんばって伝道していく原動力になるかもしれません。しかし、同様のエピソードを用いて、伝道に励むカルトもあります。家族が反対しようと、友人が拒絶しようと、負けないで伝道を続けるよう、メンバーを鼓舞するカルトもあります。

 

去年の7月に、いわゆる「宗教二世」によって、銃撃事件が起こされてから、既存のキリスト教会も、改めて自らに問いかける機会が増えました。私たちの伝道は、カルトとどう違うのだろうか? カルトの伝道が批判されるとき、私たちの伝道は批判されずに済むのだろうか? 

 

実際、初代教会の伝道の過程で起こったことは、カルトにおける伝道の過程で見られることと、よく似ています。そこで伝道することを反対され、悪意を抱かれ、伝道した先々で人々が分裂していく……信じない者たちから、出ていくように迫られても、メンバーは長くそこにとどまり、あちこちに仲間を増やしていく。

 

カルトの場合は、その際に起こる迫害を「正しい信仰の証」として受け取ります。これらの悪意や批判は、本当の神を信じているからこそ、本当の神を伝えているからこそ、悪魔から攻撃に遭い、サタンから反対を受けているんだと説明します。困ったことに、それは聖書を読んでいても、度々出てくる説明です。

 

しかし、カルトの伝道と初代教会の伝道には、大きな違いがあります。それは、人々が分裂した理由です。パウロとバルナバが伝道する町で反対を受け、悪意を抱かれ、人々が分裂していったのは「何を信じているか」の違いが理由でした。イエス・キリストを神の子として受け入れるか、受け入れないかで分裂していました。

 

一方で、私たちが今、「カルト」と呼んでいる団体が批判され、反対されているのは、「何を信じているか」ではなく「何を行っているか」が問題とされています。カルトが人々に分裂をもたらすのは、信じる内容がおかしいからというよりも、正体や目的を隠した勧誘や、信者を家族から引き離して、都合良くコントロールするからです。

 

パウロとバルナバは、信じようとしない者たちをむりやり改宗させようとしたり、正体や目的を隠して信じさせようとはしませんでした。むしろ、正面から、自分たちが何を信じているかを伝え、聞いた人が、自分の意志で「信じるか」「信じないか」を決心できるようにしていました。

 

反対する人たちを強制的に連れて行ったり、暴力を振るったりしませんでした。自分たちが石を投げつけられ、追い出されても、仲間に報復させようとはしませんでした。むしろ、近くの町へ行って、そこでもイエス様のことを語りました。自分たちに反対した人たちが、後から来る誰かによって、イエス様と出会うことを期待しながら。

 

今、私たちが誰かと信仰を共有しようとするときも、おそらく分裂は起こるでしょう。理解してもらえなかったり、拒絶されることがあるでしょう。しかし、それは、家族の関係や友人関係が壊れることを厭わないで、伝道しなさいという話ではありません。その人を信じさせるために、正体を隠したり、目的を偽ったりしないで、正面から誠実に伝えることが促されているんです。

 

私の言葉で信じてもらうことができなくても、イエス様は必ず、この人を信仰へと導いてくださる。その信頼を捨てないで、誤った方法を使わないで、みんなで伝道していくことが、教会の誠実な姿勢です。もう一度そのことを思い出しながら、弟子たちの歩みを振り返りたいと思います。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(東京都世田谷区の頌栄教会)のために、離れている人のために、初めて会う人のために、身近にいる人のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆東京都世田谷区の頌栄教会のために祈ります。この教会が「世に遣わされ、世に仕える教会」というテーマに、一年間、真摯に取り組むことができますように。毎週、礼拝へ来られない人にも、あなたの恵みが豊かにもたらされますように。

◆離れている人のために祈ります。仕事や引っ越しのため、病気や怪我のため、トラブルや疲れのため、教会から離れている人に、あなたの慈しみがありますように。それぞれの心と体、関係と環境が整えられ、新しく、恵みを分かち合うことができますように。

◆初めて会う人のために祈ります。この一年、新しく出会っていく人に、あなたの祝福がありますように。出会い方で、誰かをつまずかせてしまったとき、その人に癒しがもたらされますように。また、私たちに必要な変化をもたらしてください。

◆身近にいる人のために祈ります。家族や友人、先輩や後輩、部下や上司、同僚に、あなたの恵みがありますように。私たちが、上手く関係を築けないところに、新たな気づきと助けをもたらしてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

マスクをお付けいただき、オンライン賛美歌22番「神よ 諦めない心」(©️柳本和良)を歌います。

 

 

主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。オンライン賛美歌の後ろの方の4頁にも掲載しています。主の祈り……

 

 

報 告

本日も教会に集まって、また配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、感謝致します。先週の聖書研究祈祷会は、教会に集まった4名、同時に視聴された4名、計8名が参加されました。後から動画や原稿を見て祈りを合わせてくださった方も感謝致します。

 

配信終了後、時間のある方は14:30まで、聖研の質問や感想、キリスト教について気になっていることなど自由に聞ける第二部「分かち合い」の時を開きます。人前でお祈りするのを遠慮したい方は、飛ばしてもらうこともできます。よかったらぜひご参加ください。

 

なお、来週は、礼拝後、定期教会総会を開催します。教会員の方で、当日出席することが困難な方は、「委任状を伴う議決権行使書」を渡しますので、牧師までお申し出ください。それではまた、日曜日まで、皆さん一人一人に、神様の平和がありますように。