ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

あなたはカルトを見分けられる?

<雑談>2018年6月25日

 

今回は「破壊的カルトの見分け方」と「どれだけカルトに気づきにくいか」という話をしようと思います。

 

 少し前に、こんな記事を載せました。

bokushiblog.hatenablog.com

すると、色んな方がSNSでシェアしてくださった他、いつの間にかSmartNewsさんにも掲載されたみたいで、たくさんの方からアクセスをいただきました。

 

ただ、破壊的カルトはSNSでの勧誘だけでなく、もちろん直接誘って来る場合があります。

 

「怪しい勧誘ならすぐ断れる」

「そもそも宗教に入るつもりはないから大丈夫」

 

そう思われる方がいるかもしれません。しかし、それは間違いです。

 

なぜなら、破壊的カルトの多くは正体を隠して近づいてきますし、そもそも「宗教」という形をとっていないカルトも存在するからです。

 

 

【カルトは宗教カルトだけじゃない】

実は、破壊的カルトには、

 

◯思想・政治カルト

◯商業カルト

◯心理療法カルト(自己啓発セミナー)

◯宗教カルト

 

といった種類があり、どれも最初は自分たちの名前を伏せ、活動内容を隠して声をかけてきます*1

 

小学校か中学校の頃、授業で習った「マルチ商法」も商業カルトの一つです。

 

これらは決して「怪しげだから」「奇異だから」という理由ではなく、マインド・コントロールによってメンバーの思考、感情、行動を支配し、社会的・身体的・精神的・金銭的被害をもたらすゆえに、「破壊的カルト」と呼ばれます。

 

実は、誘われた当初、「怪しい集団だ」なんて感じなかった人がほとんどなのです。

 

たとえば、ある日自分の家に募金箱を持った誠実そうな人が訪ねて来ます。

 

「難民救済のための募金をお願いします」

「震災で苦しむ人たちのために寄付を集めています」

 

……あなたは、何もしないで帰すのは気が引けます。それに、夕方か夜遅くまで、あちこちを回ってきたであろうその人に、何とか報いてあげたいと思います。

 

しかし、あなたが同情して募金箱にお金を入れた相手は、十中八九、破壊的カルトの資金集めをさせられている人なのです。

 

宗教色なんて一切出ていないボランティア活動、クラブの茶話会、健康食品の販売など、「どこでもやっていそうなこと」をしている人々が、破壊的カルトの入り口です。

 

「私は絶対カルトに引っ掛からない」と言うのは、「私は病気になんて絶対かからない」と言うようなものなのです。

 

よく、きちんとした信仰を持っている人、正統な教会のクリスチャンなら破壊的カルトには引っ掛からないと思われていることがあります。

 

しかし、それも間違いです。

 

私が前回の記事で紹介したSNSで勧誘してくる破壊的カルトのメンバーも、既存宗教の信徒をターゲットに、自分たちの組織へ引き込もうとする人たちがいます。

 

また、宗教団体そのものを長期間かけて「乗っ取る」という形で勢力を増やしている破壊的カルトもあります。

 

破壊的カルトを見分けることは、それほど簡単ではないのです。

 

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【どれがカルトの勧誘でしょう?】

では、実際にカルトの勧誘がどんなものか、例を紹介してみたいと思います。

 

次のうち、ある大学で実際に行われている破壊的カルトの勧誘パターンがあります。皆さんはどれか分かるでしょうか?

 

1)「こんにちは、地域交流サークルです。授業の後、学生会館のロビーで茶話会をやっているので、よかったら来ませんか?」

 

2)「ボランティアとか社会に貢献したい人の意識調査をしています。アンケートお願いできますか?」

 

3)「金曜日にG号館の201号室に来たら、無料で英語の勉強を見てもらえるよ。一緒に行かない?」

 

4)「放課後に学生の有志で聖書を読む会を開いています。興味があればあなたも来ませんか?」

 

5)「アットホームなテニスサークルです。練習もきつくないし、和気藹々としたメンバーたちが待ってるよ」

 

……さて、この中で実際に破壊的カルトのメンバーが使っている勧誘文句はどれか分かったでしょうか?

 

 

 

実はこれ、全て私が大学1年生の頃に受けた勧誘と、私の後輩が受けた勧誘の最初に言われた言葉です。(*後者は特定されないように少し文言を変えています)

 

もちろん、どの文句も一般的なサークル、部活、ボランティア団体などで使われてもおかしくない言葉です。

 

そう、勧誘された当初は他の団体とほぼ見分けがつかないのが破壊的カルトです。

 

最初から名前を出し、宗教色を隠さない破壊的カルトもありますが、そんなに分かりやすく勧誘してくれるところばかりではありません。

 

むしろ、被害が多いのは上記のような他の団体と区別のつかない勧誘をしているところです。

 

【破壊的カルトの勧誘プロセス】

もし、自分が破壊的カルトに勧誘されて、気づかないままその集団に入っていったらどうなるのでしょう? 

 

ここから「マインド・コントロール」が始まっていきます。

 

その流れを分かりやすく、乱暴に例を載せるとこんな感じです。

(*全てがこれに当てはまるわけではありません!)

 

〈マインド・コントロールの流れ〉(例)

 

1)普通のサークルやクラブを装って勧誘する。

      ↓

2)相手の話を丁寧に聞いて、悩みや不安を打ち明けさせる。

                ↓

3)簡単には離れたくないと思わせるような人間関係をつくる。

                ↓

4)カルトの傘下にある団体やサークルに所属させる。

                ↓

5)合宿やセミナーに参加させる。

                ↓

6)簡単には帰れない状況を作り、睡眠不足や疲労などで判断力を奪う。

                ↓

7)さらにセミナーに来続ける必要があるように思わせ、参加を約束させる。

                ↓

8)自分で考えて判断決定することを悪いことのように思わせていく。

                ↓

9)自分で考える力を奪うために、考えることに強迫観念を植え付ける。

                ↓

10)カルト団体にとって好ましくない行動を取ろうとすることが危険であると思わせる。

      ↓

11)そのカルト団体が正しいゆえに、世間や家族、友達から迫害されるように思わせる。

                ↓

12)自分の職場や友達に勧誘させる(被害者から加害者へ)。

                ↓

13)お金や人間関係を奪い、カルト団体なくして生活できないようにさせる。

 

 

誤解しないでほしいのは、破壊的カルトのメンバーは「怪しい人」どころか「誠実で優しい人」ばかりです。

 

あなたの悩みや不安を真剣に受け止め、アドバイスし、一生懸命自分たちのグループに繋ぎとめようとします。

 

そして、自分たちのグループに入らなければ、その人の悩みや不安を解決できないんだと思わせます。

 

「あなたの悩みを解決してくれる機会・仲間・場所がある」

「それは今しかない」

「これを逃したら2度とチャンスはない」

 

そんなふうに繰り返し声をかけて、あなたから信頼を勝ち取ります。

 

そして、メンバーからの誘いには断りづらくなってきたところで、あなたをメンバー個人の家やマンションに連れていって、ビデオ鑑賞や講演会、勉強会に参加させます。

 

声をかけられた当初は明かされていなかった活動が、ここで始まります。

 

あなたは、メンバーとの交流を深めながら、カルトの教えを少しずつ刷り込まれ、違和感に慣らされていきます。

 

そして、ある程度経ったところで、「合宿」や「研修会」という名前で、3泊〜1週間程度の集会に連れて行かれます。

 

厄介なのは、基本的に一人で帰れないような場所に連れていかれることです。メンバーの車やバスに乗って行くと言われ、目的地を知らされないこともあります。

 

さらに、電話が通じなかったり、外の人と連絡が取れないような状況に置かれることが多いです。そうやってカルトの中で話されることだけを信じさせようとするわけです。

 

ちなみに、こういったカルトの合宿では、初めて来た人同士は話せないように、別々のグループに分けられてしまいます。

 

初めて来た人同士が話そうとすると、すかさず離れ離れにさせます。メンバー以外と連絡も取れません。

 

自分の中に出てきた違和感を共有することが許されず、違和感を持つことがおかしいんだと思わされます

 

さらに、合宿のスケジュールは非常にシビアで、あなたは疲労と睡眠不足に陥ります。これが極端に判断力を鈍らせ、カルトのいうことを信じ込む環境が整ってしまうのです。

 

『周りじゃなくて自分の方がおかしいのかもしれない』

 

そう思うようになってきたら、いよいよ最終段階です。

 

カルトのメンバーは、あなたにこれからも次のセミナーや会合に必ず参加しなければならないかのように思わせ、ついにはそう約束させてしまいます。

 

このように、あなたが徐々に自分で考える力を失っていくと、逆に自分で考えたり判断したりすることを悪いことだと思わされ、最終的にはカルト団体の言いなりになってしまいます。

 

たとえ、この集団にまだかすかな違和感を持っていたとしても、今度は自分が新しい人を勧誘する番になり、「自分のやっていること、メンバーのやっていることは正しい」と思わなければやっていけない状況を作られます。

 

こうして、新しい勧誘員ができあがっていくのです。

 

【怪しい勧誘の見分け方】

最後に、どうしたら破壊的カルトを見分けられるのか、いくつかポイントを紹介します。

 

その前に、特に皆さんに覚えていてほしいのは、カルトの勧誘をする人たちはみんな本気であなたにとってそれが一番良いと思って勧誘してくることです。

 

マインド・コントロールをしている張本人たちも、自分がマインド・コントロールをさせられていることに気がつかないでやっています。

 

なので、どれだけいい人で優しく丁寧に話を聞いたり声をかけたりしてきても、違和感を感じたら絶対についていかないでください。

 

 

さて、「破壊的カルトを見分けるポイント」と言いましたが、 ぶっちゃけ勧誘初期の段階では、ほぼ分かりません。

 

違和感を覚えたら即、その団体について調べる以外に方法はないのが現実です。

 

ただ、私の場合、事前に先に述べたようなプロセスで勧誘してくることを脱会活動に関わる牧師先生から聞いていたので、違和感に気づきやすくなりました。たとえば、

 

・アンケートと言っているのに、アンケート用紙がなくメモもとらない。

・正式に許可された場所で活動していない。

・空き教室や個人のマンションの部屋で活動している。

・団体の名称がコロコロ変わっている。

・このチャンスは今しかない、二度とないと強調される。

・最初に誘ってきた内容と違う活動へ連れて行かれる。

・親や知人にどこへ合宿、研修に行くのか言わせてくれない。

・他の人と連絡を取らせてくれない。

 

といった特徴を知っていると、怪しさに気づきやすくなります。

 

ただ、一番の安全策は、とにかく知らない団体に自分の住所や連絡先を教えないことです。できれば自分の本名もなるたけ簡単には教えないでください。

 

カルトはどこの大学にもほぼ絶対にいるので、新入生の方も、ただのサークルだと思って個人情報を教えるのはできる限り控えてください。

 

そしてもし、友達や知り合いにカルトに入ってしまった人がいたら、できるだけ早く相談してください。

 

『日本脱カルト教会』で検索するとホームページが出てくるので、そこで情報を知ることもできます。学校でしたら、学生サポートセンターに相談するのもいいです。

 

他にも身近な先生や大人に聞いてください。ただし、できるだけその人の親戚や親に突然話すのは避けてください

 

カルトのメンバーは親が子どもをカルトから抜け出させるために他の所に連絡を取られることを一番恐れているので、本人が親からカルトに入っていないか心配されたことを聞いた時点で両親と子どもを引き離しにかかります

 

特に、親はまず自分の子どもの言うことを聞きたくなるので、できるだけ親より先に脱カルトを支援している組織に相談するようにして、指示を仰いでください。

 

【注意が必要な団体】

最後に、日本脱カルト協会から出ている『カルトからの脱会と回復のための手引き』遠見書房、2009年、68〜76頁に紹介されている「注意が必要な団体」を挙げておきます。

 

ただし、破壊的カルトの多くは、名前を隠して近づいてくるということを忘れずに、参考にしていただければ幸いです。

 

・紀元会(大和神社)……リンチ殺人

・ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)……輸血拒否

・次世代ファーム(真光元神社)……医療拒否

・オウム真理教(アーレフ)……温熱修行で死亡、地下鉄サリン事件

・ケロヨンクラブ(オウム真理教分派)……修行で致死、児童虐待

・摂理(JMS、キリスト教福音宣教会)……性的虐待

・聖神中央教会……性的虐待

・統一協会(世界平和統一家庭連合、旧世界基督教統一心霊協会)……金銭収奪

・神世界……霊感商法

・幸運の光(高島易断系)……金銭強奪

・富士大石寺顕正会……勧誘の強要

・ラジニーシ運動……過激な瞑想と心理療法

・UFOカルト……マインド・コントロールによる心身の悪影響

・浄土真宗親鸞会……正体を隠した勧誘活動で問題を起こしている団体

・サイエントロジー…… 〃

・ホームオブハート……    〃

 

*1:日本脱カルト協会編『カルトからの脱会と回復のための手引き』遠見書房、2009年、68〜77頁参照。