ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

新使徒運動・繁栄の福音・似非スピ・心理療法カルト

2020年12月11日

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Sophie JanottaによるPixabayからの画像

 

新使徒運動と似非スピ・心理療法カルト

今年の6月に、ウィリアム・ウッド著『新使徒運動はなぜ危険か? 神に成り代わり大統領にも指示する「支配神学」とは?』いのちのことば社……が発行されてから、こちらのブログでも「教会がカルト化する運動と神学」(1)(2)の記事がたくさん読まれるようになりました。

 

 

bokushiblog.hatenablog.com

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日本ではまだあまり知られていませんが、2015年から2017年にかけて騒がれていた神社仏閣の油まき事件も、この運動の影響を受けており、今後も、行き過ぎた権威主義、聖書の軽視、極端な経験主義、偽預言による被害の拡大が懸念されています。

 

NAR(新使徒運動/新使徒的改革)は、相談者を巧みにコントロールする占い師が「使徒」や「預言者」の名を借りて、聖書に書いていないことも「神から受けたメッセージ」として信者に語り、操作するのと似ています。

 

悪質なスピリチュアルや心理療法カルトとも親和性が高く、「使徒」や「預言者」になりたい人が受けられるセミナーも、資格商法のような形で増えていくと思われます。実際、国内でも、新使徒運動を支持する教会から輸入した方法で「あなたも預言できる」「癒しを経験できる」と謳い、支持を集めているところもあります。

 

一見、大きな事件を起こしていないように見えても、自分の受けた「預言」や「癒し」で「治った」「よくなった」と思い込み、心療内科や病院の治療を受ければならない人が、適切な医療を受けなくなってしまうこともあります。

 

さらに怖いのは「預言や癒しの方法を学んだ」人たちが、その方法で、別の誰かの相談に乗ったり「治そう」としてしまうことです。

 

キラスピ、エセスピと呼ばれる界隈で、教祖のセミナーや学校を出た信者が、新たなスピリチュアル or 心理カウンセラーとして出発し、検証不十分な根拠のない手法によって、ミニカルトが量産される現状と同じことが起きないか心配です。

 

繁栄の福音と似非スピ・心理療法カルト

そして、以前も紹介しましたが、国内で増えつつある既存教会にカルト化をもたらす運動として、もう一つ「繁栄の福音/繁栄の神学」があります。新使徒運動と同様に、警戒すべきムーブメントです。

 

繁栄の福音は、簡単に言えば「正しい信仰を持つ者は神から健康と富を得る」という内容で、「思いは現実になる」という《積極思考》《引き寄せの法則》と根っこは同じです。

 

繁栄の福音を支持する教会は、「献金すればするほど自分自身も豊かになる」「病気や貧困はその人のネガティブから来るもので、神に信頼してポジティブに生きれば、病は治り、金持ちになれる」と教えます。

 

繁栄の福音を教えるリーダーは、「祝福を受けるためには全収入の10分の1献金、献身的な奉仕、礼拝出席の厳守が必要だ」と強調し、信徒は祝福を受けるため、借金してでも献金を続けさせられます。

 

そして、たくさんささげる信徒は褒められますが、しない信徒は蔑まれるため、深刻なパワハラ、精神的・経済的被害が出てきます。これは「使えば使うほど、お金は入ってくる」と言って、高額なセミナーやセッション、グッズを買わせるキラスピ・エセスピ・心理療法カルトの特徴とよく似ています。

 

繁栄の福音を教えている教会も、入った当初は、そこにいるみんながキラキラしているように見えますが、献金や奉仕ができなくなってくると、「祈りが足りない」「信仰が足りない」と仲間外れにされていき、心を病んでいく人もいます。

 

そのため、繁栄の福音は2010年のローザンヌ世界宣教会議で「麻薬のように働いて現実感覚を麻痺させる」と懸念が表明されており、国内外の破壊的カルトの専門家からも警戒が呼びかけられています。

 

www.lausanne.org

事実、繁栄の福音を支持する教会で世界的に知られているメガチャーチのいくつかも、牧師のマネーロンダリングや巨額背任の罪で有罪判決を受けており、今後も被害が拡大していくと思われます。

 

最近の現状

現在、日本でも短期間に教勢を伸ばしている教会や、若者を一気に増やしている教会の中に、繁栄の福音を採用しているところがあります。一年で多くの人が入ってきては、多くの人が去っていきます。

 

教会に残る人たちは、去った人との連絡を禁止されるため、問題意識を持ちにくい傾向があります。また、傷ついた人はこのことを話すのも辛いため、(+関わっていたことを知られたくないため)実態がなかなか表に出てきません。

 

さらに、教会へたくさんの新来者を連れてくることが奨励されているため、教会の集会であることを隠して友達を誘ったり、ダミーサークルを用いた勧誘が、各大学で行われていたりします。

 

最近では、こういった団体も大学キャンパスから警戒され、表立って勧誘できなくなってきたため、中高生など、さらに年齢層の低いところがターゲットになりつつあります。

 

一度か二度、教会を見ただけでは危険なところに見えないため、メディアの取材を受けて好意的に紹介されたり、著名人が宣伝に協力してしまうところもあります。カルトの知識を持っていても、パッと見ではなかなか分かりません。

 

ただし、「カウンセリング」「ヒーリング」「癒し」「預言」「病気が治った」……これら全ての言葉を使って、集会・セミナー・勉強会への参加を勧める教会は、国内外で医療拒否、金銭トラブル、虐待などの被害を引き起こしている運動や団体に関連している可能性が高いです。

 

正体と目的を隠した勧誘、やたらと奉仕や献金を促す教え、特定の者との接触禁止、癒しや富が得られないのは信仰が足りないからだという主張……これらが確認できた場合は、速やかにそこを去り、異端・カルト110番やJSCPR(日本脱カルト協会)などの専門機関に相談していただけると幸いです。

 

被害の報告、相談事例を積み重ねることで、実態を知られていない団体への対処が少しずつ可能になっていきます。相談機関にはもちろん守秘義務があるので、金銭的・精神的・身体的被害を増やさないために、ご協力いただけると嬉しいです。