ぼく牧師 〜聖書研究・礼拝メッセージ、ときどき雑談〜

*聖書の引用は特別記載がない限り、日本聖書協会『聖書 新共同訳』 1987,1988 から引用しています。

『イスラエルってどんな国?』 詩編102:19〜23、申命記7:6〜11

聖書研究祈祷会 2021年9月8日 


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案 内

華陽教会では岐阜県の医療提供体制を受けて、会衆が集まる集会を休止し、配信等による在宅聖研を行っています。共に今、自宅にいる人も、後から見る人も、互いのために祈りを合わせ、聖書の言葉を味わいましょう。

 

讃美歌

讃美歌21の395番「建ちては崩るる」を歌いましょう。同居している方がいるところは、念のため、マスクをつけて歌われるか、心で賛美を合わせましょう。

 

お祈り

ひと言お祈りをします。共に心を合わせましょう。

 

◆愛と平和の源である私たちの神様。今日もまた、あなたによって守られて在宅聖研祈祷会を始めることができ、感謝致します。どうか今、自宅で、施設で、職場で、屋外で、あなたの言葉を探している人を導いてください。

◆私たちの神様。今週も、多くの方が自由に外へ行き来できず、閉じこもる生活をしてきました。どうか今、会いたい人、話したい人、行きたい所へ行ける未来が、速やかに取り戻されますように。そのために必要な行動を取らせてください。

◆私たちの神様。ミャンマーのクーデターや、ウイグル自治区への迫害、香港の民主化運動に対する弾圧など、各地で様々な人権侵害が起きています。どうか今、子どもから大人まで、一人一人の命と自由が守られるよう、各国の政治を導いてください。

◆私たちの神様。国内でも、入管施設における差別や暴力、技能実習生の待遇や境遇が問題視されています。どうか今、私たちの隣人である滞日、在日の外国の方々に、明るい未来がもたらされるよう、この社会全体を導いてください。

◆人と人との間におられる、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

聖書朗読

聖書の言葉を聞きましょう。詩編102:19〜23、申命記7:6〜11(新共同訳より抜粋)

*当ブログ全体における聖書の引用を適切な範囲内で行うため、後ほど聖書箇所のみ記載し、本文をカットすることがあります。後からご覧になる方は、該当する聖書箇所を日本聖書協会の「聖書本文検索」か、手元に新共同訳聖書がある方はそちらからお読みください。

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svetlanabarによるPixabayからの画像

メッセージ

聖書を読んでいると、世界の中でもイスラエルって、神様から特別な扱いを受けていると感じるかもしれません。イスラエルと言えば、諸国の中から神に選ばれた民として旧約聖書に何回も登場します。神様から祝福され、律法を授けられ、何度も敵から守られて、その教えを語り継いできた、聖なる、選ばれた人々だと。

 

キリスト教圏の国々も、イスラエルは神に選ばれた特別な民だから、彼らの信じる神との約束が、実現するようにしなければ……と考える風潮がありました。かつて神様が彼らに与えると言った土地は彼らのものに、かつて神様が再建すると言った国は彼らのために建てなければ、全ての人に約束された神の国も、やって来ないと考えたんです。

 

つまり、聖書に書かれているとおりのことが、字義通り、現実に起きないと、自分たちも神の国、天国に入れないと思う人が、今も一定数いるわけです。そのイメージが影響して、イスラエルを取り巻く、様々な戦争や紛争が起こされました。キリスト教の黒歴史の一つです。

 

しかし、そもそも神様が、みんなの中から誰かを選び、特別に扱うってどういうことか疑問を持つ人もいると思います。神様がイスラエルを選び、依怙贔屓したからこそ、自分たちは特別だ、という選民思想が生まれたり、各国がイスラエルを特別視して、戦争が拡大したり、色々な出来事があったんじゃないか?

 

「神の民」「神に選ばれた民」「イスラエル」は、なぜ、どうして、選ばれたのか? 何のために選ばれたのか? そして、現代における「神の民」とは何なのか? 今日改めて考えたいと思うんです。まず、イスラエルという名前は、もともと神様が個人につけた、新しい名前のことでした。

 

そう、アブラハムの孫である、ヤコブにつけられた名前です。彼は、喧嘩して別れた兄弟のもとへ帰る途中、夜明けまで正体不明の男と戦い、明け方に自分が戦っていた相手から、「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ」(創世記32:29)と言われます。

 

どうやら、正体不明の相手は神様だったみたいです。言葉通り、ヤコブにつけられた「イスラエル」という名前は「神に勝つ者」という意味です。びっくりしますよね。「神に勝つ者」って、なんて大胆で皮肉な名前をつけたんでしょう?

 

「神に勝つ者」と呼ばれながら、実際には、ヤコブは夜明けまで勝つことができず、腿の関節を外されて、負傷までしています。どう見ても彼は神に負けています。それなのに負けを認めず、「祝福してくださるまでは離しません」と粘る彼。めちゃくちゃ往生際が悪い。そんな彼に付き合って、神様はイスラエル「神に勝つ者」という名を与えたわけです。

 

今後、この名前で呼ばれるということは、愚かにも「神と気づかず、神を相手に闘って、勝ちを譲らせようとした」という出来事が、記憶されていくことになります。そして、彼の子孫全体も、神と闘っちゃった者……「イスラエル」と呼ばれるようになりました。名前の由来を思い出す度、神に対する自分たちの態度を振り返って、赤面しますよね?

 

神様が特別に選んだ人たちって、神に反抗した者たちでもあったんです。彼らが選ばれるということは、愚かな者、敗北した者も、変わらず大事に愛される、神様の慈しみを全世界に示すことでもありました。実際、申命記にはイスラエルの選びについて、このように書いてありました。

 

「主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない」「あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった」「ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが支配する奴隷の家から救い出されたのである……」

 

「神に選ばれた民」というのは、神が依怙贔屓する民ではないんです。むしろ、神様の愛がどこまで深く、大きく、広いかを表す「選び」なんです。もとから、自分たちは特別だという選民思想は、神に求められていませんでした。選ばれた民、イスラエルに求めたのは、その神を賛美することでした。彼らは詩編にこう残しています。

 

「後の世代のために/このことは書き記されねばならない。『主を賛美するために民は創造された』」……どの民族が立派だとか、どの国民が特別だとか、そういう態度じゃなく、神様はどんなときにも私たちに付き合ってくれた、いつも願いを受けとめてくれた、あなたのことも大切にされる慈しみ深い方なんだ……そういう賛美をすることが、選ばれた民の役目なんです。

 

一方で、申命記には、神様が選んだ民に対しても「御自分を否む者には、ためらうことなくめいめいに報いられる」という恐ろしい言葉もありました。ですが、聖書を読んでいくと、実際には、ためらい続けた神の姿が描かれています。神様は、言うことを聞かず、背きてきたイスラエルに、何度も「滅ぼし尽くす」ことを宣言しました。

 

しかし、そう言いながらも、みんなが滅びることのないように「残りの者」を選んだり、裁きを遅らせたり、悔い改めて滅びを免れるよう促してきました。この方が選んだ人たちは、何度も、何度も裏切って、期待に背いた者たちです。でも、どこまでも新しい生き方ができるように、神様は付き合い続けてきたんです。

 

現代では、そんな人々への憐れみを受けとめ、恵みに感謝し、神様を信じる全ての人が「神の民」「新しいイスラエル」として立てられています。特別な信仰を持っているから、特別立派で正しい人だから、これらの人が選ばれるわけじゃありません。みんな、一人一人、神様から愛されて、どこまでも付き合ってもらえる深い慈しみを示すために、新たに選ばれ続けているんです。

 

どうか、あなたも、その民の一人であることを、神様から選ばれ、呼びかけられ、招かれている存在であることを思い出してください。主の愛が、あなたの心と、体と、社会に届きますように。

 

とりなし

共に、神様から与えられたとりなしの務めを果たしましょう。本日は『信徒の友』の「日毎の糧」で紹介されている(京都府京都市の京都西大路教会)のために、幼稚園のために、学校のために、施設のために、祈りを合わせましょう。

 

◆神様、あなたは祈りに応えて恵みを与えてくださいます。どうか今、私たちがささげる祈りをお聞きください。

◆京都府京都市の京都西大路教会のために祈ります。教会に来ている一人一人が、あなたによって守られて、日々の信仰生活を送ることができますように。聖書の言葉を心と体で引き受けて、誠実に実践することができますように。

◆幼稚園のために祈ります。各地の保育園・幼稚園で、子どもたちや保護者の間にも新型コロナウイルスが広がっています。自宅療養を余儀なくされ、家族への感染を防ぎにくい人たちもいます。どうか、子どもから大人までみんなの健康を守ってください。

◆学校のために祈ります。小・中・高・大学と、それぞれの教育機関でも、部活や寮のクラスターが発生しています。先生たちも対応が難しくなっています。どうか、生徒たちも職員も、健康と安全が回復するように助けてください。

◆施設のために祈ります。高齢者施設や病院、学童やデイサービスなど、色んなところで人手不足や賃金の問題が出ています。どうか、働きを担う一人一人の待遇が改善され、利用者と健全な関係が築けるように、様々な環境を整えてください。

◆今も生きておられ、私たちをとりなしてくださる方、イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

 

讃美歌

オンライン賛美歌15番「わたしたちは旅人」(©️柳本和良)を歌いましょう。オンライン讃美歌の楽譜は、著作者の許可を得て掲載しています。

 

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主の祈り

共に、イエス様が弟子たちに教えられた最も基本的な祈りを祈りましょう。讃美歌21の93-5Aです。主の祈り。

天にまします我らの父よ。
願わくは御名をあがめさせたまえ。
御国を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧を今日も与えたまえ。
我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなく汝のものなればなり。
アーメン。

 

報 告

本日も、配信を通して、聖書研究祈祷会にご参加くださり、ありがとうございます。先週の在宅聖研祈祷会は、ライブ配信の奉仕者3名、同時に視聴された2名、計5名が参加されました。

 

来週も配信等による在宅聖研を行います。会衆が集まる礼拝の再開は2週間毎に検討し、決定次第、教会員への連絡網とホームページ等でお伝えします。また日曜日まで、皆さん一人一人に神様の平和がありますように。